171 / 189
第171話 ハーレムな状況
しおりを挟むエガートンの街に転移し、先にリリスさん達のパーティハウスに向かったところ留守だったので、そのままエガートンの街の冒険者ギルドにやってきた。
「マサヨシお兄ちゃん!」
「おっ、マサヨシ!」
「マサヨシ様!」
「マサヨシ兄さん!」
冒険者ギルドの食堂のほうに行くと、リリスさん達Aランク冒険者パーティの万緑の風のみんなと、イアンさん達鋼の拳のみんな、そして俺の訓練を手伝ってくれた2人の冒険者が一緒の席にいた。
「マサヨシさん、無事に勝てたんだな、おめでとう!」
「まあマサヨシさんに勝てるやつなんていないと思っていたっすけどね!」
「みなさんのおかげで、無事に決闘に勝つことができました! 本当にありがとうございました」
「マサヨシ様なら当然のことですわ!」
「ああ、敵も瞬殺だったらしいしな。さすがは真の大魔導士を継ぐ者だな!」
「……いや、イアンさん。その噂は実は大袈裟に話されていただけで……」
ブラッドリーの街だけでなく、エガートンの街でも間違った噂が広まってしまっているようだ。
「まあなにはともあれ、まずは乾杯しようぜ! マサヨシが決闘に勝利したことを昨日聞いて、今日は昼からみんなで飲んでいたんだよ」
なるほど、それでリリスさん達やイアンさん達や俺の訓練を手伝ってくれた冒険者達が一緒の席で飲んでいたわけか。
「はい!」
「それじゃあ、マサヨシの勝利を祝って乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
リリスさんが乾杯の音頭をとって、コップを掲げみんなで乾杯をする。先程のブラッドリーの街でもそうだが、こうやってみんなで祝ってくれることは本当に嬉しく思う。
「しっかし、ハイエルフに転移魔法に極大魔法か……世の中広いもんだなあ……」
「なんだかマサヨシさんに助けてもらった時のワイバーンの群れが可愛く見えてくる……」
「懐かしいな。俺達も今ならあのワイバーンの群れに勝てるよな」
「俺達の場合はドラゴンだったな。今でもあのドラゴンには勝てる気がしねえけどな……」
「……そうですわね。少しずつ削っていくにしてもあのブレスをそう何度も防ぐのは難しいでしょう」
「へえ、リリスさん達はドラゴンと戦ったんすね!」
「マジっすか!? すげえっす!」
「まあ今考えると無茶をしたよな。いくら時間がなかったとはいえ、本当ならもっと装備を整えて人を大勢集めて、作戦を立てて討伐に向かうべきだったんだよ。あ、マサヨシ兄さん、あの時に助けてもらったこの街の領主のマリーもすっかり良くなって、今度直接お礼を言いたいから、少しだけ時間を作ってほしいってさ」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ」
この街の領主様か。無事に秘薬のおかげで病気は治ったようだ。今度時間のある時にリリスさん達と一緒に会いにいってみるかな。今回決闘の訓練の時にその時の秘薬分のお金はすでに受け取っている。
「今日はたまっていた仕事を片付けているから来れにゃいけれど、すぐになんとかするって言ってたニャ」
「なるほど、わかりました。少し時間をあけてから行きますね」
「ああ、時間のある時に頼むよ。さあ、今日は飲むぞ!」
「ええ、みんなのおかげでなんとか決闘に勝てましたよ。今日は俺の奢りですからね! 好きなだけ飲み食いしてください!」
「マサヨシさん、あざっす!」
「ご馳走になります!」
「さて、ぼちぼち本題に入るとするか。マサヨシ、ひとつ聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「はい、リリスさん。何ですか?」
「この前言っていた王族の中にいる大切な人とはどういう関係なんだ?」
「「「………………」」」
あれ、なんかいきなり空気が変わったような……
「そういえば話していなかったですね。この国の第三王女であるサーラさんといいます。この国に来たばかりの時にちょっと縁がありまして、いろいろとお世話になっていたんですよ」
「いろいろとお世話か……じゃあ今は結婚しているわけでもないし、付き合っているわけでもないんだな?」
「………………ええ。ですが、好意は持っています」
「なるほど、ならまだ大丈夫ということですわね!」
「だな!」
「へっ!?」
俺の両隣にいるルルネさんとリリスさんが、俺の両腕に腕を絡めてきた。2人とも大きな胸をお持ちなので、その感触が両腕に伝わってくる。……どちらかというとルルネさんの方が大きいかな。……っじゃなかった!?
「ちょっ、あの!? 俺はサーラさんに好意を持っているって言いましたよね!?」
鈍感な俺にもリリスさん達が多少の好意を俺に向けてくれていることくらいは分かっていた。だから先にサーラさんのことが好きであると伝えたはずなのに!
「ええ。ですがマサヨシ様ほどの器量があれば、結婚なんてひとりだけとは言わずに何人でも可能でしょう?」
「ああ、もし俺達が結婚したとしても、別に本妻とかは気にしねえからな!」
そうだった! 忘れていたけれど、こっちの世界は重婚オッケーだった~!? 大魔導士もめっちゃハーレム作ってたんだ!
「ちぇっ、席取りはくじで負けちまったからしょうがないか。じゃあこっちだな」
「みんなずるいニャ。もうこっちしか空いてないニャ!」
「ちょっ、ノノハさん、ネネアさん!?」
ノノハさんが俺の後ろにやってきて腕を首にまわす。さらには小柄なネネアさんがちょこんと俺の膝の上に座る。なにこのハーレムな状況!?
この体勢は非常にまずい! 具体的に何がまずいかというと、4人の綺麗な女性に囲まれてしまうことで、ネネアさんの下にある俺の前下半身が反応してしまう!
こんな時こそ冷静沈着スキルだ! 頼む、俺の下半身よ、なんとか落ち着いてくれ!
24
あなたにおすすめの小説
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる