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第42話 福岡県② 屋台、キャナルシティ、博多ラーメン

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「なんとも賑やかじゃな。これは全部食べ物の店なのかのう?」

「そうだよ。ここは中洲の屋台街だね。屋台は移動式の小型のお店で、他の場所から店を引っ張ってきて、ここで店を出すんだよ」

「確かに店に車輪がついておるのう。なるほど、移動式の小型の店か」

 中洲と呼ばれる2つの川に挟まれた繁華街にはたくさんの屋台が出ている。ここでは屋台のラーメンや焼き鳥、おでんに餃子のような様々な屋台のお店が並んでいる。

「これだけ屋台があるから、すぐに別の店にはしごできるんだよ。中にはそのお店の常連さんになったりして大将と仲良くなったり、なんてのもあるみたいだね」

「これは素晴らしいですね! 関東のほうではもう屋台なんてめったに見ませんので」

「………………」

 喜屋武さんとか屋台好きそうだよね。冬場にはおでんと熱燗で一杯やりながら、おでん屋の大将に愚痴を言っている姿が容易に目に浮かぶ。今日の夜にでも酒に誘ってみるかな。

 ちなみに博多に住んでいた同期がいたのだが、中洲にある屋台は観光的な屋台が多くて値段が高いこともあって、地元の人はあんまりいかないらしい。いくとしても天神周辺とか別の場所が多いそうだ。

 最近は関東のほうだけでなく、ここ中洲の屋台も数が減ってきているらしい。感染症とかもそうだが、俺も含めて今の世代の人はあまり屋台には寄らない気もする。

 中洲の屋台街を一通り回って移動する。屋台で食事を取ってもいいのだが、博多にはおいしいものがまだまだたくさんあるからな。



「こ、これはものすごい場所じゃな! こんなに大きな商店は初めて見たぞ!」

「ここはお店だけじゃなくて、映画館や劇場やホテルにオフィスなんかが入った複合商業施設になるね」

「……確かに私が見た中でも今までで一番大きいかもしれません」

 キャナルシティ博多はここ九州、いや、日本でも有数の複合商業施設となる。日本の中ではこれほど大きな施設もなかなか珍しい。

 中にはたくさんのお店や映画館の他にもたくさんのオフィスやレストラン、宿泊するためのホテルまである。

 キャラクターグッズのお店もたくさんあるので、子供連れでも楽しめるような施設となっている。個人的には超有名な某アニメのショップなんかも非常に楽しめるんだよな。

「おっと、そろそろ時間だ。2人ともこっちに来て」

 ミルネさんと喜屋武さんを連れてキャナルシティの中心にある広場へと向かう。

「おお、これはどうなっているのじゃ!?」

「これはプロジェクションマッピングといって、壁や噴水に映像を映し出しているんだよ。音や噴水をうまく使うことですごい迫力を出しているんだ」

 キャナルシティでは、中央の噴水のある広場で時間ごとにプロジェクションマッピングを利用したショーを開催している。今回のは有名なアニメのオリジナルシーンらしい。

「プロジェクションマッピングを実際に見るのは初めてですが、本当にすごい迫力がありますね」

「噴水のタイミングとかもよくできているよね。それにキャナルシティの壁前面を使っているからとても大きな映画館で見ているみたいでしょ」

 本当に最近の技術はすごいよな。プロジェクションマッピングは最近いろんな場所で使われている。道後温泉でも火の鳥のプロジェクションマッピングがやっていて驚いたものだ。





「さて、福岡県のおいしい料理を食べ尽くそう!」

 福岡では飯がうまいことでも有名だ。いろんな場所で暮らしたことのある同期の友人曰く、ご飯はどこよりも地元の福岡の飯がうまいらしい。地元補正があってもそう言わしめるのはすごいよな。

「……また、いろんな料理がありますね」

「例によって少量ずつだけどね。このあともシメのラーメンを食べに行くから少しは空けておいてね」

 まずはもつ鍋だ。たっぷりのホルモンとニラを醤油ベースのスープで煮込んだ鍋がもとらしいが、今では味噌ベースや水炊きベースのスープなどもある。

 今回のもつ鍋は醬油ベースに他の野菜や豆腐なども入っている。

「おお、口の中で溶けていくようじゃ!」

「もつにはコラーゲンやビタミンもたっぷり入っているから美容にもいいんだよね」

 福岡のもつは新鮮なものが多くて、臭みがなく大きくて食べ応えがある。シメはこっちのほうだとちゃんぽん麺が一般的だ。

「こちらはパリパリとしていて、甘辛いタレがとてもおいしいですね」

「それはとりかわだね。鶏の皮を串に巻いて、焼くのとタレに漬けるのを繰り返して、パリパリになるまで焼くんだ」

 博多の名物のとりかわは何度も繰り返しタレを漬けて焼いているので、鶏の油が落ちてパリパリの食感が味わえる。値段も安いし最高に酒の肴になるんだよね。

 他にも水炊きに餃子などの様々な名物料理を楽しんだ。



「そしてシメは博多ラーメンだよ」

 やってきたのは博多ラーメンで有名なお店だ。博多ラーメンは豚骨をベースとするスープに極細のストレート麺のラーメンである。

 麺が細いのは麺とスープがよく絡むようにするためと、短時間で茹で上げて提供できるためと言われている。

 麺はバリカタ、カタ、普通、やわ、バリやわのように硬さを合わせて注文する。ちなみに福岡のほうではバリカタは固い麺ではなく、生の麺を表しているので県外から来た人は注意が必要となる。

「ほう、独特の匂いがするのう」

「博多ラーメンはこの豚骨の匂いがダメって人もいるからね。無理はしないで大丈夫だよ」

 本場の博多ラーメンのスープは匂いがかなり強いので、苦手な人は苦手らしい。俺は全然気にならないけれど、ダメな人は本当にダメらしいからな。

「うむ、妾は大丈夫じゃぞ。他のラーメンとは異なるが、クセになる味じゃのう。麺がとても細いからすんなり入っていくのう」

「まだ食べられそうなら、替え玉を頼むよ」

 博多ラーメンは基本的に替え玉の文化だ。100円とかで麺だけを追加で注文することができる。学生とかには安いお金でお腹いっぱい食べられるから本当に助かるよな。

 旅中は3~4回くらい替え玉をした。味変に紅ショウガやゴマや辛子高菜などが常備してあるのが嬉しいところでもある。

 ちなみに博多ラーメンの他にも長浜ラーメンや久留米ラーメンなどもある。実際細かい区別が難しいんだよな。あと福岡の人はラーメンだけでなくうどんも好きというのは聞いたな。本当に福岡にはうまい料理が溢れていて羨ましいものだぜ。
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