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二日目(その三)
しおりを挟む「さて、ところでユリちゃん。今日は僕となにして過ごす?」
一階の浴室を借り、届いたばかりのトレーナーとジーパン、そして中のキャミソールも着替えてリビングに戻ると、環くんにきかれる。
ダンボールはすっかり片付けてくれたようだ。
そうだ、今日は環くんとふたりきり。
うーん、今スープをいただいたばかりだから、ランチって感じでもないし……
「あっ、環くん。お昼ご飯は? 朝、早く食べたんでしょ? お腹空いたよね」
「いや、ユリちゃんを待ってたから、食べたのは少し前だよ」
うっ、ごめんなさい。
「そうか、そうしたら晩ご飯の準備にはまだ早いし。……あの、環くんはお菓子なんかも作ったりするの?」
「そうだなあ、時々作るよ。クッキーとかスコーン、蒸しケーキとか……簡単にできるものなら」
「そうしたら私、お菓子を作りたい! 昔は作っていたこともあったんだけど、ここ数年ずっと作っていなくて。ダメ?」
「ふふ、いいよ。じゃあ一緒に作ろっか。なにがいい?」
「材料はなにがあるの?」
「小麦粉、米粉、白玉粉、ココアにベーキングパウダー、なんでもあるよ」
「えーと、じゃあ……蒸しケーキはどう?」
「いいね、了解」
* * * * * *
それから環くんとキッチンに向かうと、具材をどうするなんやかんや話をして、結局ココアと板チョコを使うことにした。
ボウルに小麦粉、ココア、砂糖、牛乳(私は豆乳が好きなんだけど)、ベーキングパウダーを計って入れると泡立て器でグルグルと混ぜ合わせ、クッキングシートを敷いたプリン型に七分目を目安に流し入れる。
仕上げに砕いた板チョコを適当に中に押し込み、表面にも少し散らしてはい、できあがり!
「すごいっ、環くん。あっという間だね」
「僕は適当だからね。ちゃんと作りたいなら、粉物だけ最初に混ぜてから最後に牛乳がいいよ。それから板チョコも、生地を型に半分くらい入れたところで一回入れると、仕上がりがキレイかも」
「わかった。今度作るとき……いつになるかわからないけど、そうしてみるよ」
環くんは深めの鍋を持ってくると、数センチほどの水を張り、コンロにかけて火をつけた。
「すぐに沸くからね。そうしたら後は入れて待つだけだよ」
すると、その言葉どおりすぐにシュンシュンと音を立て沸騰してくる。
鍋に蒸し皿を入れると、その上に生地の入ったプリン型を乗せてフタをした。
「さて、これでタイマーを十五分かけて、後は待つだけ」
「楽しみだねー」
「じゃあ、お茶を淹れるから、向こうで待とうか」
「うん」
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