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一週間後(その五)
しおりを挟む「とにかくユリちゃんに会わなきゃ! 桜南署だったよね? ユリちゃんの勤務先。今日はまだ休みだから、明日の朝に行ってーー」
「ダメだ」
「なんでさ!」
「考えてみろ。ユリは、アイツーー成田とのことでずっと辛い思いをしてきたんだ。署に俺たちが行ってみろ。また変な噂の的になるだろ」
「うっ、そうか……。じゃあさ、仕事終わりに尾行して家まで行って……」
「仮にも刑事のユリにそれが通用するのか?」
「うっ」
「それにーー」
「それに?」
「ユリが……俺たちに会うことを望んでいると思うのか?」
「じゃあ、どうすんのさ! ……このまま僕たち、ユリちゃんに二度と会えないの⁉︎」
そもそもなんでユリはここを出ていった?
二度と会わない、なんて。
「……錬。ユリちゃんは僕たちのこと、好きって言ってくれたよね。……僕は、これからずっと一緒にいられると思っていたよ。なのに、なんで……」
「……ああ、なんでかな」
俺もずっと一緒だと思ってた。
ユリ、なんでだ。
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