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20話 私は、私のままで
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「あー……えっと、実は兄さんは昔っからかなり俺のことには過保護でさ」
「うちのセオドア兄様みたいですね」
「う、反論できない」
私が仕事復帰してから数日。
久しぶりの城下町デートで隣を歩くウィル様は少し恥ずかしそうに苦笑した。
なんとなくそうじゃないかと思っていたから驚かないけど。私もシスコンの兄を持つ身なので。
早くにお母様を病気で亡くしたことで、ブラッド様はウィル様を守らなくてはと強く決心したらしい。それで今でもとても仲が良いのだ。
「あ! 騎士様だ!」
可愛らしい声の聞こえた方に視線を向けると、通りを歩く母親に連れられた小さな男の子がウィル様をきらきらとした瞳で眺めて指さしていた。他にもチラチラとウィル様を見ている人がたくさんいる。やっぱり人気者ってすごいなあ。
でもこんなかっこよくて皆に憧れられてるウィル様が実はお兄さんに溺愛されてるなんてちょっと不思議だ。
「ウィル様、あれ見てください。ちょっと可愛くないですか?」
「何? どこどこ?」
男の子ににこやかに手を振っていたウィル様が素早く振り向いた。
小さな雑貨屋の店先には可愛いぬいぐるみが山盛りかざられている。
「可愛い~!」
「あ、このぬいぐるみ……」
「ちょっとだけあの変身薬のぬいぐるみに似てるな」
ウィル様が抱き上げたのはタオル地のちょっとまぬけなウサギのぬいぐるみだった。変身薬でぬいぐるみになった私の姿にちょっと似ている気がする。
「あれ、そういえばこんなおおっぴらに可愛い可愛いしてて大丈夫なんですか?」
嬉しそうに瞳を輝かせてぬいぐるみを見ていたウィル様の腕をつついて私は囁いた。
だって私に土下座するほど騎士が可愛い物好きなんてかっこ悪いって言ってたのに。今日のウィル様の鞄には以前私があげたクレープ屋のウサギのマスコットキーホルダーが揺れている。まあ、私の鞄にも色違いのピンクのウサギがついているのだけれど。
ぱちりと一度瞬いたウィル様は少し照れくさそうに笑った。
「それなんだけど……変身薬の件で色々上に聞かれたろう? 俺もそれでなし崩しに婚約のことも話すことになっちゃって」
「え……!?」
レナルド殿下の事件で変身薬の存在がばれてしまって、私は研究室からもそのさらに上層部からも結構怒られていた。当たり前と言えば当たり前だけど。人の姿を自由に変えられるという効果に古代魔法の知識を使った魔法薬の研究なんて、一人でやるのは危険だと今後は国に支援してもらいながら魔法薬学研究室で公に研究することになった。
それはとてもありがたいけど、でも私達が婚約することになった理由がばれてしまったってこと?
「いや、話したのはジェレミーにだけだよ。やっぱ急な婚約だったし不思議だったんだろうな。色々つっこまれて言い訳できなくなっちゃって……でも、その時にさ『可愛い物好きの何が駄目なの?』って言われたんだ」
「別に何も駄目じゃないですよ」
「……ステラはそう言ってくれたけどさ、もっと引かれたりするのかなって思ってたんだ。だけど実際は全然そんなことなくて普通に不思議がられて、なんかこっちが拍子抜けした」
もごもごと話すウィル様はまだ少し恥ずかしそうだ。
「それで他の仲間にもこっそり聞いてみたんだけど……」
「ど、どうでした?」
「それが意外と皆普通でさ……、ベッドにぬいぐるみを置いてる奴もいた。セオドアなんて『だからどうした』って感じだったし。俺の気にしすぎだったのかな」
私はずっと思ってたけどな。男性が可愛い物が好きだって全然おかしくないし、ウィル様だと逆人気が上がっちゃうんじゃないかなって。
それにしても私が言った時は半信半疑でジェレミー殿下や仲間の言葉は信じるんだ。
そりゃ私とは信頼度が違うのかもしれないけどちょっとおもしろくない。
へー、ふーん、そーなんだ。
思わずぶすくれた顔をしてしまった。
「私は最初からそう言ってましたよ」
「う、そ、そうなんだけどさ。ステラは子供の頃からそう言ってくれたから、俺と同じでちょっと変わってるのかと思って……」
「ええー……」
変わってるのは認めるけれどそれって褒めてるのか貶してるのか微妙なところだ。少し慌てた様子のウィル様が困った様子でこちらを覗き込んでくる。
「別にステラの意見を蔑ろにしてたわけじゃないんだ。ただ、やっぱり同じ男連中の意見が気になったというか」
「まあ……それは仕方ないと思いますけど」
まだちょっと不満だけれど気持ちはわからないでもないかな……。
いつまでも不貞腐れていてもしょうがないか。
私は一度息を吐いた。
「良かったですね、ウィル様。ほっとしました」
「……うん」
なんだか少し寂しいと思うのは、きっとウィル様の秘密を知っているのが私だけじゃなくなったからだ。我ながら我儘だなあと思うけど……。
でもそんなことよりウィル様が秘密を抱えずに笑顔でいられる方がずっといい。
そんな風に思うのは、きっと私がウィル様のことが好きだからだろう。
公園のベンチに座って空を見上げる。
夕日がとても綺麗で、そういえば初めて仕事終わりに一緒に帰った日もこんな色の空だったなあと思い出す。
魔法薬学の勉強ばかりだった私が人を好きになるなんてね。
しみじみとしていた私はそこではっとあることを思いついた。
(もしかして……私ってお役御免では?)
だってウィル様の秘密はもう秘密じゃなくなった。
ということは私が婚約者じゃなくてもいいのでは?
「お待たせステラ……って、なんて顔してるんだ」
「……ど、どんな顔ですか?」
「真っ青で今にも死にそうな感じ……?」
売店で飲み物を買ってきてくれたウィル様がぎょっとしている。
震える手でホットココアを受け取ってから私は恐る恐る隣に座ったウィル様を見上げた。
「本当にどうしたんだ? どこか具合でも……」
「あの、もしかして私達って婚約解消になりますか?」
「…………は?」
目を点にしたウィル様に私は一気に話した。
「だってウィル様の可愛い物好きはもう秘密じゃなくなったわけですし、そうすると私と婚約しているメリットって全然無いような……っていたたたた」
「そんな馬鹿なこと言うのはこの口かな?」
「いひゃいですウィルさま!」
いきなり人の両頬を摘まんで引っ張った! 思わず抗議するとこんどはむにゅっと両手で頬を包まれて、ウィル様が覗き込んできた。
ど、どうしよう。
急に接近されて心臓が止まりそうだ。
「婚約解消なんて絶対するわけないだろう!」
「……へ」
いたく真剣な顔でウィル様はそう言った。
少し怒っているみたいでむすっとしたままウィル様はこちらを睨んでいる。
……そうなんだ、婚約解消しなくていいんだ。でもまだほっとするより戸惑いの方が大きい。
「あの、でも私でいいんですか……?」
私は普通の令嬢みたいに女性らしくないし洒落っ気もほとんどないし、魔法薬学にのめり込んでるし。ウィル様みたいな素敵な人ならもっと素敵な女性がいるんじゃないだろうかって思ってしまう。でも、そう考えただけでもう泣きそうになってしまった。案外私は打たれ弱いのかもしれない。
「ステラ、はっきり言うが俺は可愛い物が好きだ」
「はい、知ってます……」
「そして俺にとって世界一可愛いと思うのは君だ。そんな君を手放すわけないだろう」
「え……」
ウィル様の手が温かいを通り越して熱い。
私の頬もきっと熱くなってるからだ。
夕日のおかげで顔がお互い顔が赤くなっているかはわからないけれど。
まっすぐに伝えられた言葉の意味をすぐには飲み込めなくて、ぽかんとしているうちに気がついたらウィル様と唇が重なっていた。
「……ステラ、君は自分じゃない誰かになりたいから変身薬を作ったって言ってただろう?」
唇が離れて静かな声でウィル様が囁いた。
呆けたままの私はただ頷くことしかできない。
ウィル様は少し照れくさそうに笑った。
「だけど俺は君はそのままでとても素敵だと思う。ありのままの俺を君が認めてくれたように、俺も君は君のままでいいと思うんだ。……だからもう、不安になったり変に心配しなくても大丈夫だよ」
あれ、変だな。
なぜか視界がぼやけていく。頬に熱い涙が伝って、優しい顔をしたウィル様がそれを拭ってくれた。
私は、私のままでいいんだ。
そんな私をウィル様は好きになってくれたんだ。
いつも根暗で周囲に引け目を感じて、自分じゃない誰かになりたいと思っていた私が不思議と癒されていくようだった。
「も、もうウィル様、ずるいですよ。そんな言い方されたら本気で好きになってしまうじゃないですか」
「本気で好きになってもらわなきゃこっちが困るよ!」
ちょっと必死なウィル様の顔に泣きながらクスっと笑ってしまった。
ウィル様はすごいなあ。
キラキラの騎士様は根暗な魔女の心まで輝かせてしまうんだから。
「うちのセオドア兄様みたいですね」
「う、反論できない」
私が仕事復帰してから数日。
久しぶりの城下町デートで隣を歩くウィル様は少し恥ずかしそうに苦笑した。
なんとなくそうじゃないかと思っていたから驚かないけど。私もシスコンの兄を持つ身なので。
早くにお母様を病気で亡くしたことで、ブラッド様はウィル様を守らなくてはと強く決心したらしい。それで今でもとても仲が良いのだ。
「あ! 騎士様だ!」
可愛らしい声の聞こえた方に視線を向けると、通りを歩く母親に連れられた小さな男の子がウィル様をきらきらとした瞳で眺めて指さしていた。他にもチラチラとウィル様を見ている人がたくさんいる。やっぱり人気者ってすごいなあ。
でもこんなかっこよくて皆に憧れられてるウィル様が実はお兄さんに溺愛されてるなんてちょっと不思議だ。
「ウィル様、あれ見てください。ちょっと可愛くないですか?」
「何? どこどこ?」
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「可愛い~!」
「あ、このぬいぐるみ……」
「ちょっとだけあの変身薬のぬいぐるみに似てるな」
ウィル様が抱き上げたのはタオル地のちょっとまぬけなウサギのぬいぐるみだった。変身薬でぬいぐるみになった私の姿にちょっと似ている気がする。
「あれ、そういえばこんなおおっぴらに可愛い可愛いしてて大丈夫なんですか?」
嬉しそうに瞳を輝かせてぬいぐるみを見ていたウィル様の腕をつついて私は囁いた。
だって私に土下座するほど騎士が可愛い物好きなんてかっこ悪いって言ってたのに。今日のウィル様の鞄には以前私があげたクレープ屋のウサギのマスコットキーホルダーが揺れている。まあ、私の鞄にも色違いのピンクのウサギがついているのだけれど。
ぱちりと一度瞬いたウィル様は少し照れくさそうに笑った。
「それなんだけど……変身薬の件で色々上に聞かれたろう? 俺もそれでなし崩しに婚約のことも話すことになっちゃって」
「え……!?」
レナルド殿下の事件で変身薬の存在がばれてしまって、私は研究室からもそのさらに上層部からも結構怒られていた。当たり前と言えば当たり前だけど。人の姿を自由に変えられるという効果に古代魔法の知識を使った魔法薬の研究なんて、一人でやるのは危険だと今後は国に支援してもらいながら魔法薬学研究室で公に研究することになった。
それはとてもありがたいけど、でも私達が婚約することになった理由がばれてしまったってこと?
「いや、話したのはジェレミーにだけだよ。やっぱ急な婚約だったし不思議だったんだろうな。色々つっこまれて言い訳できなくなっちゃって……でも、その時にさ『可愛い物好きの何が駄目なの?』って言われたんだ」
「別に何も駄目じゃないですよ」
「……ステラはそう言ってくれたけどさ、もっと引かれたりするのかなって思ってたんだ。だけど実際は全然そんなことなくて普通に不思議がられて、なんかこっちが拍子抜けした」
もごもごと話すウィル様はまだ少し恥ずかしそうだ。
「それで他の仲間にもこっそり聞いてみたんだけど……」
「ど、どうでした?」
「それが意外と皆普通でさ……、ベッドにぬいぐるみを置いてる奴もいた。セオドアなんて『だからどうした』って感じだったし。俺の気にしすぎだったのかな」
私はずっと思ってたけどな。男性が可愛い物が好きだって全然おかしくないし、ウィル様だと逆人気が上がっちゃうんじゃないかなって。
それにしても私が言った時は半信半疑でジェレミー殿下や仲間の言葉は信じるんだ。
そりゃ私とは信頼度が違うのかもしれないけどちょっとおもしろくない。
へー、ふーん、そーなんだ。
思わずぶすくれた顔をしてしまった。
「私は最初からそう言ってましたよ」
「う、そ、そうなんだけどさ。ステラは子供の頃からそう言ってくれたから、俺と同じでちょっと変わってるのかと思って……」
「ええー……」
変わってるのは認めるけれどそれって褒めてるのか貶してるのか微妙なところだ。少し慌てた様子のウィル様が困った様子でこちらを覗き込んでくる。
「別にステラの意見を蔑ろにしてたわけじゃないんだ。ただ、やっぱり同じ男連中の意見が気になったというか」
「まあ……それは仕方ないと思いますけど」
まだちょっと不満だけれど気持ちはわからないでもないかな……。
いつまでも不貞腐れていてもしょうがないか。
私は一度息を吐いた。
「良かったですね、ウィル様。ほっとしました」
「……うん」
なんだか少し寂しいと思うのは、きっとウィル様の秘密を知っているのが私だけじゃなくなったからだ。我ながら我儘だなあと思うけど……。
でもそんなことよりウィル様が秘密を抱えずに笑顔でいられる方がずっといい。
そんな風に思うのは、きっと私がウィル様のことが好きだからだろう。
公園のベンチに座って空を見上げる。
夕日がとても綺麗で、そういえば初めて仕事終わりに一緒に帰った日もこんな色の空だったなあと思い出す。
魔法薬学の勉強ばかりだった私が人を好きになるなんてね。
しみじみとしていた私はそこではっとあることを思いついた。
(もしかして……私ってお役御免では?)
だってウィル様の秘密はもう秘密じゃなくなった。
ということは私が婚約者じゃなくてもいいのでは?
「お待たせステラ……って、なんて顔してるんだ」
「……ど、どんな顔ですか?」
「真っ青で今にも死にそうな感じ……?」
売店で飲み物を買ってきてくれたウィル様がぎょっとしている。
震える手でホットココアを受け取ってから私は恐る恐る隣に座ったウィル様を見上げた。
「本当にどうしたんだ? どこか具合でも……」
「あの、もしかして私達って婚約解消になりますか?」
「…………は?」
目を点にしたウィル様に私は一気に話した。
「だってウィル様の可愛い物好きはもう秘密じゃなくなったわけですし、そうすると私と婚約しているメリットって全然無いような……っていたたたた」
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「いひゃいですウィルさま!」
いきなり人の両頬を摘まんで引っ張った! 思わず抗議するとこんどはむにゅっと両手で頬を包まれて、ウィル様が覗き込んできた。
ど、どうしよう。
急に接近されて心臓が止まりそうだ。
「婚約解消なんて絶対するわけないだろう!」
「……へ」
いたく真剣な顔でウィル様はそう言った。
少し怒っているみたいでむすっとしたままウィル様はこちらを睨んでいる。
……そうなんだ、婚約解消しなくていいんだ。でもまだほっとするより戸惑いの方が大きい。
「あの、でも私でいいんですか……?」
私は普通の令嬢みたいに女性らしくないし洒落っ気もほとんどないし、魔法薬学にのめり込んでるし。ウィル様みたいな素敵な人ならもっと素敵な女性がいるんじゃないだろうかって思ってしまう。でも、そう考えただけでもう泣きそうになってしまった。案外私は打たれ弱いのかもしれない。
「ステラ、はっきり言うが俺は可愛い物が好きだ」
「はい、知ってます……」
「そして俺にとって世界一可愛いと思うのは君だ。そんな君を手放すわけないだろう」
「え……」
ウィル様の手が温かいを通り越して熱い。
私の頬もきっと熱くなってるからだ。
夕日のおかげで顔がお互い顔が赤くなっているかはわからないけれど。
まっすぐに伝えられた言葉の意味をすぐには飲み込めなくて、ぽかんとしているうちに気がついたらウィル様と唇が重なっていた。
「……ステラ、君は自分じゃない誰かになりたいから変身薬を作ったって言ってただろう?」
唇が離れて静かな声でウィル様が囁いた。
呆けたままの私はただ頷くことしかできない。
ウィル様は少し照れくさそうに笑った。
「だけど俺は君はそのままでとても素敵だと思う。ありのままの俺を君が認めてくれたように、俺も君は君のままでいいと思うんだ。……だからもう、不安になったり変に心配しなくても大丈夫だよ」
あれ、変だな。
なぜか視界がぼやけていく。頬に熱い涙が伝って、優しい顔をしたウィル様がそれを拭ってくれた。
私は、私のままでいいんだ。
そんな私をウィル様は好きになってくれたんだ。
いつも根暗で周囲に引け目を感じて、自分じゃない誰かになりたいと思っていた私が不思議と癒されていくようだった。
「も、もうウィル様、ずるいですよ。そんな言い方されたら本気で好きになってしまうじゃないですか」
「本気で好きになってもらわなきゃこっちが困るよ!」
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※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
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