6 / 7
「ゆかり」と「わたし」
しおりを挟む
ゆかりはいつも笑顔だ。いつも元気でニコニコしている。ゆかりは誰とも同じように話をする。誰か1人と話すことが多いということはなく誰とでも同じくらいの時間を話す。もちろんわたしも例外ではない。わたしにも他の人と同じくらいの時間をかけて話をしてくれる。記憶を辿ってみても怒っていることがあまりなかったと思う。ゆかりに会うとなぜか安心するのだ。
ゆかりともたくさん一緒に散歩した。ゆかりとの散歩は大変だ。色んな人が話しかけてくる。「おばちゃん」と呼ぶ人や「友達」と呼ぶ人、毎回誰かしら声をかけてくる。正直、声を掛けられるのはあまり好きではない。反射的にいつも吠えてしまう。しかし、ゆかりはすぐにわたしを落ち着かせる。そして会った人にわたしの紹介をする。照れ臭くてしょうがない。でも、色んな人から話しかかられるゆかりを見るのは好きだった。なぜならみんなからゆかりは好かれていると実感ができるから。もちろんわたしもゆかりが大好きだった。
ゆかりはおそらく「いい子」なのだと思う。周囲の誰もがゆかりを悪くいうことはなく、そしてなにか意見を聞く時、物事を頼む時には一番最初に名前が呼ばれる。それは利用してるのではなく頼られているとわたしは感じていた。そんなゆかりもわたしには愚痴を言った。公園に散歩に行くとベンチに座り、学校のことや働きだしてからは仕事の不満をわたしに話した。
「ビビにだけ話すんだけどさ~」
わたしはこの言葉から始まる話が大好きだ。実際に同じ内容を他の人間に話すことを聞いたことはなかった。わたしだけに打ち明けてくれている。ゆかりがわたしを頼ってくれている、そう思うと嬉しくて仕方がなかった。楽しそうに話すゆかり、俯いて話すゆかり、涙目になりながら話すゆかり。学校というところに行っていた時も会社というところに行くようになってもずっと変わらないゆかり。
ゆかりの今日の表情は、、、あの話をした時の表情と似ている。これからも変わらないでいてほしい。
ゆかりともたくさん一緒に散歩した。ゆかりとの散歩は大変だ。色んな人が話しかけてくる。「おばちゃん」と呼ぶ人や「友達」と呼ぶ人、毎回誰かしら声をかけてくる。正直、声を掛けられるのはあまり好きではない。反射的にいつも吠えてしまう。しかし、ゆかりはすぐにわたしを落ち着かせる。そして会った人にわたしの紹介をする。照れ臭くてしょうがない。でも、色んな人から話しかかられるゆかりを見るのは好きだった。なぜならみんなからゆかりは好かれていると実感ができるから。もちろんわたしもゆかりが大好きだった。
ゆかりはおそらく「いい子」なのだと思う。周囲の誰もがゆかりを悪くいうことはなく、そしてなにか意見を聞く時、物事を頼む時には一番最初に名前が呼ばれる。それは利用してるのではなく頼られているとわたしは感じていた。そんなゆかりもわたしには愚痴を言った。公園に散歩に行くとベンチに座り、学校のことや働きだしてからは仕事の不満をわたしに話した。
「ビビにだけ話すんだけどさ~」
わたしはこの言葉から始まる話が大好きだ。実際に同じ内容を他の人間に話すことを聞いたことはなかった。わたしだけに打ち明けてくれている。ゆかりがわたしを頼ってくれている、そう思うと嬉しくて仕方がなかった。楽しそうに話すゆかり、俯いて話すゆかり、涙目になりながら話すゆかり。学校というところに行っていた時も会社というところに行くようになってもずっと変わらないゆかり。
ゆかりの今日の表情は、、、あの話をした時の表情と似ている。これからも変わらないでいてほしい。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
真実の愛ならこれくらいできますわよね?
かぜかおる
ファンタジー
フレデリクなら最後は正しい判断をすると信じていたの
でもそれは裏切られてしまったわ・・・
夜会でフレデリク第一王子は男爵令嬢サラとの真実の愛を見つけたとそう言ってわたくしとの婚約解消を宣言したの。
ねえ、真実の愛で結ばれたお二人、覚悟があるというのなら、これくらいできますわよね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる