某国の皇子、冒険者となる

くー

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第4章 古代遺跡探索行

2. しあわせな夢

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師にしばらく留守にしますとあいさつし、ウィルとエトワール、そしてジンとともに屋敷を出た。
「馬車で行こうか…」
「使者は至急って言ってたぞ」
「じゃあ、森の出口までは転移魔法で行こう。今日は馬車に乗りたい気分なんだ」

俺の気まぐれは今に始まったことじゃない――ウィルは慣れたもので、他のふたりも少し困ったように笑うだけだった。ふたりは人間より寿命が長いせいか、心が広いというか寛大な性質を持っていた。


街道で辻馬車をつかまえて乗り込む。窓辺の席に腰かけた。
風を感じながら、移り変わる景色に目を楽しませる。

「最近は移動と言えば転移魔法ばかり使っていましたが、こういうのもいいですね」
「だろー」
エトワールは病から回復し、すっかり元気になっていた。
よかった、ほんとうに……


馬車の規則正しいリズムに、俺は眠気を誘われ始めた。

「ノア、ここに横になってください」
エトワールは自身の太ももをポンポンと叩いて、俺を招いた。ひざまくら……?
「え…いいの?」
「ノア~♪俺のところに来なよ」
「ジンのは筋肉で堅そうだからいやだ……」
「ノア、俺の方に」
「ウィルだって似たようなもんだろ……」
「ぐぬぬぬ……」

「おじゃましまーす」
「どうぞ」
俺はエトワールの太ももに頭を預けた。エトワールもよく鍛えているから柔らかくはないが、適度な弾力があってちょうどいい。
「はあ……エトワールは、なんかいい匂いがするよね……森の匂い?」
「エルフですから」
「……そうだった」

(エルフですから、じゃねーよ!)
(このエルフ…常に持ってっちまうよね……)

馬車のゆれと、エトワールの膝枕から伝わるあたたかさの中で、俺はいつの間にか舟をこいでいた。



きょうは、にいさまがかえってくる日だ。

こわいおじさんやおじいさんがいる、がっこうってところに、ずっとお出かけしていて、ぼくとはすこししかあってくれない。

ちちうえは、おしごとがいそがしい。ぼくはとおくからみるだけ。
ははうえは、ぼくにちっともあってくれない。ずっとどこかでかくれんぼしている。

とってもさびしい…

ぼくはこんなにもにいさまにあいたいのに……にいさまはぼくにあいたくないの?

「ルクス!」
「にいさま!」

にいさまだ!にいさまだにいさまだ!

「ただいま、ルクス」
「おかえりなさい、にいさま」
ぼくがだっこしてとおもうと、にいさまはぼくをだっこしてくれた。
わーい!にいさまのおかお、きれいだなぁ……かみはキラキラしてる。


「いい子にしてたかい?」
「はい!ぼくとってもいいこにしていました!」
「ふふっ…ルクスは可愛いね」
「えへへ……」
「今日から夏休みなんだ。だから、毎日ルクスと遊べるよ」
「えーーー!ほんとですか、にいさま!」

にいさまはぼくのほっぺにちゅっ、としてくれた。
「ルクスのほっぺはとってもやわらいね」
ぼくも、おかえし!にいさまのほっぺにちゅっ、とする。
「これからまいにち、ちゅっ、ができるね、にいさま!」




「……ア………ノア、着きましたよ」

……ああ、覚めてしまった。

「……夢を見てたよ」
「ふふっ……どのような夢でしたか?」
「……なんだったかな……ふぁ…ごめん……もう忘れちゃった。ただ、とてもしあわせな夢だった。それだけは覚えてる……」


にいさま、会いたいよ……


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