3 / 3
第三巻
結衣は早速、高級クラブ六波羅に行った。
今回はホステスになって実際に働くことにある。
殺された相方史花には何か特別なことをしていたのではないかと、思っていたからだ。
そして史花の周囲には様々な人間ドラマがあった筈であると、結衣は思っていたからである。
例えばクラブのママは安岡恵子は一体どのような女であり、交友関係はどのようなものであったのか?また、史花との関係は良好であったのだろうか?
或いはチーママの住友順子には何か、金銭的トラブルがあったのではないのだろうか?
また、殺された史花とは金銭的なトラブルはなかったのだろうか?
そして最後にはクラブオーナーの山上健一とは一体どのような男であったのだろうか?
結衣は特殊な能力がある為史花に関係した様々な交友関係の人物の霊魂を知ることが出来るのだ。
結衣がクラブホステスとして実際に店に侵入し働くことが出来るなら人間界のすぐ近くにある幽界の中に侵入することが出来るのだ。
この幽界は人間界の人間達の悪い想念、つまり悪事の想念がつくりだした世界で非常に厄介で怖い世界なのだ。
結衣はその幽界の怖さをよく知っていた。
幽界は人間の怨念、執念、我、或いは欲望など人間にはなくてはならない念である。
そして悪事を働く為の猿知恵という奸智に長けた知恵の持ち主でもある。
人間は自分の母親の体内に胎児としていた時から神から悪い魂と善の魂の二つを貰っているのだ。
人間は常に善悪の葛藤があるものだ。
抑々この善悪にはその判断に直面する際の複雑な心の揺れや悩みがあるものだ。
例えば自分に不利な秘密を他人という第三者に知られたとしよう。
会社の上司にその秘密を知られてしまうと自分は一生出世どころかクビになるかも知れないとする。
このようなことを考えると何とかしてこの状況を打開しなければならない。
その為には第三者に罠を仕掛けて殺すことをしなければならない。
このようなことを考えると自分の心の中に潜んでいる善悪の心の葛藤が始まることになる。
そして彼の心の底にいる悪の頭目が善の心に打ち勝ち実行にうつして第三者を殺すことにより自分の秘密を知った人間をその都度排除して自分は生き残り益々自分の欲望という目標を手に入れていく。
ついには自分に同調する悪の人間を一人、二人、三人とつくり出して自分の手下として彼らに命令をして自分にとって邪魔な人間を排除していく。
このように欲望にまみれた人間は必ず悪事に手を染めて行くことになる。
このような人間の霊魂は幽界の中に万といて人間界の人々に憑依して悪事をさせているのだ。
結衣はこのことをよく知っていた。
これは、本来善の心を持っている人間が単に「正しいことをする」「悪いことをやめる」という単純なものではなく、感情や倫理など多角的な要素が絡み合っているのだ。
だから結衣が対象とする人間をサニワすることにより殺人犯を見つけ出すことが出来るのだ。
この善悪の葛藤は、様々な状況や本作品の中で描かれ、人間に深い問いかけを投げかける内容になって行くことになる。
だからこそ、私のミステリー小説は面白いし読者を物語の内容に釘付けにすることになるのだ。
個人の善悪の葛藤は、感情や道徳観念、社会的スキルなどによって形成されるものが殆どである。
人間の感情と行動。特に悪事を働く場合にその人間の葛藤は激しくなる。
怒りなどの感情は、善悪の議論で見過ごされがちだが、行動の背景にあるそれは如実によく分かるものだ。
感情に振り回されずに自律的な選択をする力が重要なのだが悪事の心が欲望に支配されていると人間が本来持っている規範意識と道徳的能力は悪の心が打ち勝ち、もう善の心を忘れてしまうのだ。
「善か悪か」を葛藤できる能力は、規範意識や社会的スキルと関連がある筈なのだが悪の心に支配されていると善という考えそのものが無くなり、常に悪事だけを考えるようになる。
こうなればもう善の心が無いのだから恐ろしいことがなんでも出来るようになるのだ。本来なら普通の人間はこの善の心を失わないものなのだが。
善の心は個人の成長や社会との関わりの中で育まれるのだが。
作品中にはヒューマンドラマがあり家族のため、社会の不条理の中で善悪の境を見失って行くことになる。
また、歴史ドラマに於いては腐敗した国への葛藤を抱えながら、民のために闘うという作品になる。
或いは犯罪ドラマでは敵味方や善悪の境界を超え、思いがけず感応し合う人間関係を構築していく。
或いはミステリーという作品に於いては誰かを守るための嘘や、逃げ場のない愛の中で善悪が曖昧になっていく。
或いは社会派作品に於いては社会の不条理や個人の偏見の中で、善悪の境界線に立ち尽くす等等。
私は常に善悪の対立を超えた視点で物事を観察しそして様々な人間模様を想像して私自身が想い描いた作品作りを目指している。
だから時に、善悪という概念自体が、より深い問題の根源として捉えられることもあると言える。
善悪を二項対立ではなく、多層的な構造として理解するとその作品は非常に面白い作品になるものだ。
善悪という錯覚が、争いの原因となるという考え方も成り立つ。
道徳観を持たない存在は、障害となるものを感覚的に排除する。
結衣はこの幽界という恐ろしい、また、謎めいた世界に今足を踏み入れようとしているのであった。
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。