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第十二章
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如月の初旬、丘八は江戸に帰った。数日後、久方ぶりに清左衛門の屋敷を訪れた。
「奥方様、旦那は?」
「あら、丘八さん、お久しぶりねぇ」
千歳が出迎えた。
「あなたぁ、丘八さんが来られましたよ。」
「お、そうかぁ。茲へどうしてくれ。」
「はい。」
そういうと千歳は丘八を清左衛門のいる居間に案内した。
「丘八、久しいのう。用を申し付けてあいすまんかった」
「いえ、旦那」
「で、首尾はどうでかった。」
「へい。駿河に行きましてある情報を聞いて来ました。」
「して、どんな情報なのだ。話してみよ」
「へい。実は日本左衛門の末裔がいました。なんでもその盗賊は雲霧仁左衛門というそうで、50人もの群れをなす盗賊でした。」
「な、なんと。50人じゃと。」
「へい。」
「わし一人では、如何にもならんなぁ。今回は火付盗賊改方に任すとしよう。」
「一体、どうなさるおつもりでぇ」
「そうじゃなぁ、一度火付盗賊改方長官の長谷川平蔵殿の役宅を訪問して、ことの仔細をはなすことにするよ。」
「はあ、そのようになさいますか。」
「そうする以外、他にも手立てはあるまいよ。」
「へい。」
「丘八、たまにはわしと飲もうぞ。今夜はゆるりとしてゆけ。」
「へい。旦那。ありがとうございます。」
「おーい、千歳、酒を持て、酒じゃ、酒じゃ」
「はーい。」
千歳のいつもの明るい声である。
清左衛門と千歳はいつも仲睦まじく暮らしている。
清左衛門と千歳の夫婦中は他人が羨む仲の良さであった。
何故なら、清左衛門は千歳のすることに口を出さず、また、千歳は清左衛門のすることに口を出さず、この二人のお互いのすることには口を出さないというのが、夫婦仲の良さの秘訣であった。
私は歴史小説が好きどすが、特に作家司馬遼太郎作品が好きです。
「梟の城」から始まり「竜馬がゆく」「国盗り物語」「坂の上の雲」などなど、数々の作品を読みました。
司馬遼太郎は歴史検証がしっかりしていて、その時代背景や登場人物の人物描写が魅力的で分かりやすいと言うことです。
司馬遼太郎作品の中でも「坂の上の雲」に影響され、私は日露戦争を題材にした小説を執筆中です。
さて、清左衛門が登場する江戸時代は
老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信の治世の物語です。
当時幕府は厳しい倹約令として寛政の改革を実施しました。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された享保の改革、天保の改革と合わせて幕政改革の三大改革というものでした。
松平定信は厳しい倹約令を実施しました。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い逼迫した幕府の財政で苦しんでいました。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題だったのです。
また、この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのでした。そんな中、駿府城下に於いてもです。世帯の大きくなった盗賊達はやはり人口の多い江戸の街を盗みのターゲットとして潤っている商売繁盛のおおだなを狙っていたのです。
その中でも最大の盗賊集団が雲霧仁左衛門だったのです。
江戸時代は天下泰平の時代でした。
清左衛門と千歳は江戸時代の夫婦のカタチのお手本でした。
というのは、二人の夫婦生活もこんなようなものだと思われるかもしれませんが、それは武家社会においての話しです。
武家人口は当時の全人口に対して10%にも満たない少数派で、私たちの祖先のほとんどは町民や農民であった訳です。
武家以外の当時の庶民の結婚は、夫婦別姓であり、夫も妻も共に仕事を持っている共働きが主でした。故に、財産管理も個々にて行い、夫といえども妻の持ち物を勝手に処分することは出来ませんでした。
当時は離婚と再婚を繰り返す妻たちが大半でした。
現代の女性も相当強くなりましたが、江戸の女性たちも仕事を持ち、夫に頼らない生活ですから、かなり強気だったようです。
加えて江戸の街では男性の数が圧倒的に多く、一節によるとおよそ女性の倍近くの人口比だったという記録があります。
完全に女性の買い手市場でした。
既婚者となった女性は、夫となった男が気に入らなければいとも簡単に離婚をしたということです。
当時の法律では女性から離縁を切り出すことは出来なかったので、あの手この手を使って夫から「三行半」という離縁状を手に入れていたという記述があります。
また、駆け込み寺なんかもその一つで「DV夫から逃げ出してきた悲惨な妻」的なイメージは無く、離婚したいけど承諾してくれない夫から逃げ出した。という一つの手段だったようです。
そんな訳で、離婚をした女性は街中に溢れ独身男性から新しい夫を選んで、いとも簡単に再婚を果たといいます。
それも1回だけに限らず、何度も何度も離婚と再婚を繰り返したそうです。
今以上に離婚と再婚が日常的になっていたのです。
その原因は独身男性が多い故に
離婚と再婚を繰り返す女性が増えていくと、その影で増えていくのはヤモメ男です。
当時江戸の街で婚姻生活を送っている男性はおよそ2割でした。
残りの8割は独り寂しく長屋暮らしをする訳で、当然料理なども作りません。
江戸時代のファストフードと言われている「寿司」や「そば」などの屋台は独り身の男の食事を賄う為に広まっていった商売です。
また、居酒屋の原型となる飲食店なども、そんな独身男性で賑わっていたのです。
「奥方様、旦那は?」
「あら、丘八さん、お久しぶりねぇ」
千歳が出迎えた。
「あなたぁ、丘八さんが来られましたよ。」
「お、そうかぁ。茲へどうしてくれ。」
「はい。」
そういうと千歳は丘八を清左衛門のいる居間に案内した。
「丘八、久しいのう。用を申し付けてあいすまんかった」
「いえ、旦那」
「で、首尾はどうでかった。」
「へい。駿河に行きましてある情報を聞いて来ました。」
「して、どんな情報なのだ。話してみよ」
「へい。実は日本左衛門の末裔がいました。なんでもその盗賊は雲霧仁左衛門というそうで、50人もの群れをなす盗賊でした。」
「な、なんと。50人じゃと。」
「へい。」
「わし一人では、如何にもならんなぁ。今回は火付盗賊改方に任すとしよう。」
「一体、どうなさるおつもりでぇ」
「そうじゃなぁ、一度火付盗賊改方長官の長谷川平蔵殿の役宅を訪問して、ことの仔細をはなすことにするよ。」
「はあ、そのようになさいますか。」
「そうする以外、他にも手立てはあるまいよ。」
「へい。」
「丘八、たまにはわしと飲もうぞ。今夜はゆるりとしてゆけ。」
「へい。旦那。ありがとうございます。」
「おーい、千歳、酒を持て、酒じゃ、酒じゃ」
「はーい。」
千歳のいつもの明るい声である。
清左衛門と千歳はいつも仲睦まじく暮らしている。
清左衛門と千歳の夫婦中は他人が羨む仲の良さであった。
何故なら、清左衛門は千歳のすることに口を出さず、また、千歳は清左衛門のすることに口を出さず、この二人のお互いのすることには口を出さないというのが、夫婦仲の良さの秘訣であった。
私は歴史小説が好きどすが、特に作家司馬遼太郎作品が好きです。
「梟の城」から始まり「竜馬がゆく」「国盗り物語」「坂の上の雲」などなど、数々の作品を読みました。
司馬遼太郎は歴史検証がしっかりしていて、その時代背景や登場人物の人物描写が魅力的で分かりやすいと言うことです。
司馬遼太郎作品の中でも「坂の上の雲」に影響され、私は日露戦争を題材にした小説を執筆中です。
さて、清左衛門が登場する江戸時代は
老中田沼意次から引き継いで老中となった松平定信の治世の物語です。
当時幕府は厳しい倹約令として寛政の改革を実施しました。
第8代将軍徳川吉宗によって実施された享保の改革、天保の改革と合わせて幕政改革の三大改革というものでした。
松平定信は厳しい倹約令を実施しました。江戸幕府は町人たちを中心とした貨幣経済の発達に伴い逼迫した幕府の財政で苦しんでいました。
幕府の財政再建を目的とした改革を実施する事は江戸幕府にとって緊急の課題だったのです。
また、この時期、各地方の諸藩に於いても藩政改革が行われていたのでした。そんな中、駿府城下に於いてもです。世帯の大きくなった盗賊達はやはり人口の多い江戸の街を盗みのターゲットとして潤っている商売繁盛のおおだなを狙っていたのです。
その中でも最大の盗賊集団が雲霧仁左衛門だったのです。
江戸時代は天下泰平の時代でした。
清左衛門と千歳は江戸時代の夫婦のカタチのお手本でした。
というのは、二人の夫婦生活もこんなようなものだと思われるかもしれませんが、それは武家社会においての話しです。
武家人口は当時の全人口に対して10%にも満たない少数派で、私たちの祖先のほとんどは町民や農民であった訳です。
武家以外の当時の庶民の結婚は、夫婦別姓であり、夫も妻も共に仕事を持っている共働きが主でした。故に、財産管理も個々にて行い、夫といえども妻の持ち物を勝手に処分することは出来ませんでした。
当時は離婚と再婚を繰り返す妻たちが大半でした。
現代の女性も相当強くなりましたが、江戸の女性たちも仕事を持ち、夫に頼らない生活ですから、かなり強気だったようです。
加えて江戸の街では男性の数が圧倒的に多く、一節によるとおよそ女性の倍近くの人口比だったという記録があります。
完全に女性の買い手市場でした。
既婚者となった女性は、夫となった男が気に入らなければいとも簡単に離婚をしたということです。
当時の法律では女性から離縁を切り出すことは出来なかったので、あの手この手を使って夫から「三行半」という離縁状を手に入れていたという記述があります。
また、駆け込み寺なんかもその一つで「DV夫から逃げ出してきた悲惨な妻」的なイメージは無く、離婚したいけど承諾してくれない夫から逃げ出した。という一つの手段だったようです。
そんな訳で、離婚をした女性は街中に溢れ独身男性から新しい夫を選んで、いとも簡単に再婚を果たといいます。
それも1回だけに限らず、何度も何度も離婚と再婚を繰り返したそうです。
今以上に離婚と再婚が日常的になっていたのです。
その原因は独身男性が多い故に
離婚と再婚を繰り返す女性が増えていくと、その影で増えていくのはヤモメ男です。
当時江戸の街で婚姻生活を送っている男性はおよそ2割でした。
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江戸時代のファストフードと言われている「寿司」や「そば」などの屋台は独り身の男の食事を賄う為に広まっていった商売です。
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