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第一章 忍び寄る灰の気配
第16話「見えない刃」
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「こらこら、やめな」
ハルナは、今にも飛びかかろうとしている二匹を撫でながら落ち着かせる。
「しかし主、今のは明確に敵意がありました」
「そうです、彼は武器にも手をかけました」
「いいから、いいから」
ルークを牽制した二匹は人語を話し、ハルナと言葉を交わすと静かにその傍に寄り添う。その仕草からハルナに絶対の忠誠を誓っているのが見て取れる。
「新入生くん、元気があるのはいいけど、誰彼構わずそんな感じだと、ここじゃすぐ死んじゃうから気をつけな~。これまでどうだったか知らないけど、この学園の連中はみんな仲良しこよしってわけじゃないんだ」
ハルナは柔らかい口調で忠告を残すと、再び寮内へ消えていった。
ハルナの姿が完全に消え去った後も、ルークは動けずにいた。心臓が激しく打ち鳴らされる。――この学園は想像以上に猛者揃いだ。
剣を握りかけた手にはまだ冷や汗が滲んでいる。それほどまでに明確な力量差を感じさせられたのだ。
「お前バカなのか!? なんでいきなり喧嘩ふっかけてんだよ!」
ガイの怒声でようやく我に返ったルークは、気まずそうに視線を逸らす。
「悪い。寮長にしては雰囲気があまりに柔らかいから、もしもの時に本当に頼れるのかと思って試したくなったんだ」
「はぁ……それで、何かわかったのか?」
「ああ、あの先輩、見かけと違って相当強いよ。今の俺じゃ到底かなわないと思った」
ルークは剣に手をかけた瞬間、全身を貫くような鋭い殺気を感じていた。ハルナとの力量差には、素直に認めざるを獲ない程の差を感じたのだ。
「まぁ、ちゃんと理解したならいいけどよ。次からはやめろよな。こっちの寿命まで縮む」
「悪い、気をつける」
二人は寮の中へ入る。広いエントランスにはソファやテーブルが並び、憩いの場として賑わっている。エントランスを抜けると中央にエレベーターがあり、二人はそれに乗り込んだ。
「じゃあまた後でな」
ガイが先に降りると、一つ上の階でルークも降り、自分の部屋を探した。MADを扉の横にある魔石にかざすと、扉が音を立てて解錠される。
部屋の中は質素ながらも必要な設備は整っている。一人で過ごすには十分な広さだった。ルークは荷物を適当に置き、ベッドに横になる。
「六年か……ついに入学しましたよ、師匠……」
目を閉じて呟く声は、どこか寂しさを帯びていた。
少ししてMADが新着メッセージを告げる。差出人はララだった。
『もう中央広場に着いたよ!ガイもすぐ来るって。ルークはどうせ部屋でゴロゴロしてるんでしょ?早く来なさいよね!』
(……なんでわかったんだよ。ララのこういうところは本当に鋭いな)
苦笑いしながらも、ララの勘の良さに感心してしまう。ルークは急ぎ足で中央広場へと向かった。
◆
「おっそーい! 随分待ったんだからね!」
「いや、メッセージ来てから10分も経ってないだろ……」
頬を膨らませ不満げなララに対し、ルークが呆れた表情で返す。
「さては、君……モテないでしょ?」
ララの鋭い指摘に、ルークは顔を引きつらせた。
「当たってるけど、極めて失礼だぞ」
「ははっ、ほらほら、行こうぜ?」
お互いに向かい合ってバチバチと火花を散らす二人の間にガイが入り、やり取りを止める。
苦笑しながら二人の肩を軽く叩き、中央広場から歩き出した。
こんな冗談を交わせるくらいには、三人はもう打ち解けていた。
「で、どこ見て回る?」
ルークの一言に三人はMADの校内マップを見ながら話し合う。
「やっぱ学園ギルドだろ! 学園専用のダンジョンもあるって話だし」
「だよね。ポイント稼ぎもしないといけないし、早めに行っとくのが良さそう」
学園ギルドは、この学園のもっとも有名な施設であり独自性を確立している一つの要素でもある。早い段階で訪れるのはルークも納得だった。
「あと大浴場も良いぜ! 混浴じゃないのが残念だけど!」
「ガイ、最低」
呆れたララの視線にガイが慌てて手を振る。
「冗談だって! で、ルークはどこ行きたい?」
「俺は大図書館かな」
「じゃあ、近いし、まず大図書館だな!」
三人は目的地を決めて歩き出した。途中、広場で寝そべっている者や、屋台で食事を楽しむ者など、多くの学生が自由気ままに過ごしており、学園内はまるでひとつの街のような活気に溢れていた。
「学年ってどうやって見分けるんだ?」
ふとルークが疑問を呟く。
「ああ、それなら制服の襟や袖にある線の数だよ。ほら、あの先輩は二本、さっきの寮長は三本だったろ?」
「なるほどな……わかりやすい仕組みだ」
ガイが、徐ろに正面から歩いて来てる生徒を指差すと確かにルーク達が着ている制服と線の本数が違う。どうやら、学年が上がるにつれて線の数が増えるようだ。
ハルナは、今にも飛びかかろうとしている二匹を撫でながら落ち着かせる。
「しかし主、今のは明確に敵意がありました」
「そうです、彼は武器にも手をかけました」
「いいから、いいから」
ルークを牽制した二匹は人語を話し、ハルナと言葉を交わすと静かにその傍に寄り添う。その仕草からハルナに絶対の忠誠を誓っているのが見て取れる。
「新入生くん、元気があるのはいいけど、誰彼構わずそんな感じだと、ここじゃすぐ死んじゃうから気をつけな~。これまでどうだったか知らないけど、この学園の連中はみんな仲良しこよしってわけじゃないんだ」
ハルナは柔らかい口調で忠告を残すと、再び寮内へ消えていった。
ハルナの姿が完全に消え去った後も、ルークは動けずにいた。心臓が激しく打ち鳴らされる。――この学園は想像以上に猛者揃いだ。
剣を握りかけた手にはまだ冷や汗が滲んでいる。それほどまでに明確な力量差を感じさせられたのだ。
「お前バカなのか!? なんでいきなり喧嘩ふっかけてんだよ!」
ガイの怒声でようやく我に返ったルークは、気まずそうに視線を逸らす。
「悪い。寮長にしては雰囲気があまりに柔らかいから、もしもの時に本当に頼れるのかと思って試したくなったんだ」
「はぁ……それで、何かわかったのか?」
「ああ、あの先輩、見かけと違って相当強いよ。今の俺じゃ到底かなわないと思った」
ルークは剣に手をかけた瞬間、全身を貫くような鋭い殺気を感じていた。ハルナとの力量差には、素直に認めざるを獲ない程の差を感じたのだ。
「まぁ、ちゃんと理解したならいいけどよ。次からはやめろよな。こっちの寿命まで縮む」
「悪い、気をつける」
二人は寮の中へ入る。広いエントランスにはソファやテーブルが並び、憩いの場として賑わっている。エントランスを抜けると中央にエレベーターがあり、二人はそれに乗り込んだ。
「じゃあまた後でな」
ガイが先に降りると、一つ上の階でルークも降り、自分の部屋を探した。MADを扉の横にある魔石にかざすと、扉が音を立てて解錠される。
部屋の中は質素ながらも必要な設備は整っている。一人で過ごすには十分な広さだった。ルークは荷物を適当に置き、ベッドに横になる。
「六年か……ついに入学しましたよ、師匠……」
目を閉じて呟く声は、どこか寂しさを帯びていた。
少ししてMADが新着メッセージを告げる。差出人はララだった。
『もう中央広場に着いたよ!ガイもすぐ来るって。ルークはどうせ部屋でゴロゴロしてるんでしょ?早く来なさいよね!』
(……なんでわかったんだよ。ララのこういうところは本当に鋭いな)
苦笑いしながらも、ララの勘の良さに感心してしまう。ルークは急ぎ足で中央広場へと向かった。
◆
「おっそーい! 随分待ったんだからね!」
「いや、メッセージ来てから10分も経ってないだろ……」
頬を膨らませ不満げなララに対し、ルークが呆れた表情で返す。
「さては、君……モテないでしょ?」
ララの鋭い指摘に、ルークは顔を引きつらせた。
「当たってるけど、極めて失礼だぞ」
「ははっ、ほらほら、行こうぜ?」
お互いに向かい合ってバチバチと火花を散らす二人の間にガイが入り、やり取りを止める。
苦笑しながら二人の肩を軽く叩き、中央広場から歩き出した。
こんな冗談を交わせるくらいには、三人はもう打ち解けていた。
「で、どこ見て回る?」
ルークの一言に三人はMADの校内マップを見ながら話し合う。
「やっぱ学園ギルドだろ! 学園専用のダンジョンもあるって話だし」
「だよね。ポイント稼ぎもしないといけないし、早めに行っとくのが良さそう」
学園ギルドは、この学園のもっとも有名な施設であり独自性を確立している一つの要素でもある。早い段階で訪れるのはルークも納得だった。
「あと大浴場も良いぜ! 混浴じゃないのが残念だけど!」
「ガイ、最低」
呆れたララの視線にガイが慌てて手を振る。
「冗談だって! で、ルークはどこ行きたい?」
「俺は大図書館かな」
「じゃあ、近いし、まず大図書館だな!」
三人は目的地を決めて歩き出した。途中、広場で寝そべっている者や、屋台で食事を楽しむ者など、多くの学生が自由気ままに過ごしており、学園内はまるでひとつの街のような活気に溢れていた。
「学年ってどうやって見分けるんだ?」
ふとルークが疑問を呟く。
「ああ、それなら制服の襟や袖にある線の数だよ。ほら、あの先輩は二本、さっきの寮長は三本だったろ?」
「なるほどな……わかりやすい仕組みだ」
ガイが、徐ろに正面から歩いて来てる生徒を指差すと確かにルーク達が着ている制服と線の本数が違う。どうやら、学年が上がるにつれて線の数が増えるようだ。
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