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第5話 恐怖の校則(のつもり)と、ヒロインの襲来
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「……どうしてこうなったの」
王立学園の生徒会室。 最高級の革張りソファ(ガストンがどこからか調達してきた)に深々と腰を下ろし、私は重いため息をついた。
窓の外を見下ろせば、そこには異様な光景が広がっていた。
登校してくる生徒たちの足元。 男子も女子も、全員が『ショッキングピンクのタイツ』を着用しているのだ。 制服のシックな紺色と、目に痛いほどの蛍光ピンクのコントラスト。 それはまるで、フラミンゴの大群が移動しているかのようであり、あるいは前衛的すぎて理解不能な現代アートのようでもあった。
「素晴らしい光景ですね、会長」
副会長のシドが、紅茶を淹れながら満足げに頷く。 彼もまた、ズボンの裾からチラリとピンク色を覗かせている。
「色彩心理学において、ピンクは『幸福感』や『安らぎ』を与える色とされています。さらに、今回導入したこのタイツは、伸縮性に優れた特殊素材『マッスル・ファイバー』製。履くだけで下半身の筋肉に適度な負荷がかかり、ヒップアップと脚やせ効果がある……まさに魔法のアイテムです」
「……」
私は言葉を失っていた。
私の計画はこうだった。 『全校生徒にダサいピンクのタイツを強制する』 ↓ 『生徒たちが恥ずかしがって拒否する』 ↓ 『私が「履かない者は退学よ!」と理不尽に怒る』 ↓ 『生徒たちの不満が爆発し、リリス排斥運動が起こる』 ↓ 『婚約破棄&追放』
完璧なシナリオだったはずだ。 しかし、現実はどうだ。
「見てください、あの女子生徒たちの笑顔を。『リリス様考案の最新美容ダイエット』として、街でも爆発的なブームになっているそうですよ。今やこのピンクタイツは、お洒落とステータスの象徴です」
「嘘でしょ……あんなにダサいのに……」
「ダサい? いえいえ、会長。あなたが身につければ、それは『モード』になるのです。流行とは常に、カリスマが作るものですから」
シドがメガネをキラリと光らせる。 こいつ、私の悪意をすべて「高度な計算」に変換する天才か。
さらに、食堂から漂ってくる強烈な匂い。 鼻が曲がりそうなほどのスパイスの刺激臭。
第二の作戦、『全メニュー激辛化計画』。 生徒たちの味覚を破壊し、胃袋を痛めつけ、食堂を使えなくしてやるつもりだった。
「ガストンからの報告です」
シドが手元の資料を読み上げる。
「『食堂の激辛メニュー、大好評だぜ。食うだけで汗が吹き出し、代謝が上がりまくりだ。午後の授業で居眠りする奴がいなくなった。あと、冷え性の女子たちから感謝の手紙が山ほど届いてる』とのことです」
「……なんでよ」
「薬膳の効果ですね。会長が厳選した(適当に選んだ)スパイスの配合が、奇跡的なデトックス効果を生んでいるようです。『リリス風・地獄の麻婆豆腐』は、今や行列のできる看板メニューですよ」
頭が痛い。 私の悪行が、ことごとく学園の健康増進に貢献している。 「暴君」と呼ばれるはずが、「健康管理のスペシャリスト」として崇められているなんて。
「リリス」
執務室の扉が開き、アレクセイ様が入ってきた。 今日も今日とて、無駄にキラキラと輝いている。
「また会いに来たよ。……うん、今日の学園も活気に満ちているね」
彼は窓の外のピンク色の集団を見て、爽やかに微笑んだ。
「君のアイデアには脱帽だ。伝統を重んじるあまり、地味で活気のなかった学園の雰囲気を、この『色』で一変させるとは。多様性を認め、個性を主張する……新しい時代の幕開けを感じるよ」
「殿下、目がチカチカしませんか? あれ、どう見ても景観破壊ですわよ?」
「まさか。君が選んだ色だ。僕には、咲き誇る花々のように見えるよ」
ダメだ。重症だ。 この人はもう、私が「空は緑色です」と言っても、「君の瞳には自然の息吹が映っているんだね」とか言って信じるに違いない。
「ところで、リリス。今日は転入生が来る日だね」
「……えっ?」
心臓がドクリと跳ねた。
転入生。 その言葉に、過去二回の人生の記憶がフラッシュバックする。 十五歳の春。 季節外れの転入生として現れた、一人の少女。
男爵令嬢、マリア・キャンベル。
ふわふわの茶色の髪に、大きな瞳。 守ってあげたくなるような小動物系の可愛らしさを持つ彼女。 彼女こそが、この物語の「本来のヒロイン」であり、私を断罪へと追いやった張本人だ。
一度目の人生では、彼女は「聖女」としての力に目覚め、アレクセイ様と恋に落ちた。 私は嫉妬に狂った悪役令嬢として、彼女をいじめ(ていると誤解され)、処刑された。 二度目の人生では、私は関わらないようにしたが、彼女の方から近づいてきて、結局巻き込まれて処刑された。
彼女が来る。 運命の歯車が、また動き出す。
「……そうですわね。確か、男爵家の娘でしたかしら」
私は努めて冷静を装った。 しかし、内心ではガッツポーズをしていた。
(来たわ! これよ、これ!)
今までの作戦は失敗続きだった。 対象が不特定多数(全校生徒)だったのが敗因かもしれない。 けれど、ターゲットが「ヒロイン」一人なら話は別だ。
物語の強制力が働くはずだ。 悪役令嬢がいじめれば、ヒロインは傷つき、ヒーロー(アレクセイ様)は激怒する。 これぞ王道。黄金のパターン。
もし私がマリアを徹底的にいじめ抜き、泣かせることができれば。 さすがのアレクセイ様も、「いくらリリスでも、か弱い女子を虐げるのは許せない」と目を覚ますはず!
「楽しみですわ。……ふふふ、どんな『歓迎』をしてあげましょうか」
私は扇で口元を隠し、ニヤリと笑った。 今度こそ、悪女の本領発揮よ。
◇
放課後。 私は生徒会室で、獲物が来るのを待っていた。 転入生は、生徒会長に挨拶に来るのが決まりだ。
「失礼します……」
控えめなノックの後、扉が開いた。 そこに立っていたのは、記憶の中と同じ、愛らしい少女だった。
マリア・キャンベル。 少しサイズの合っていない制服(お古なのだろう)を着て、不安そうにキョロキョロとしている。 その姿は、いかにも「いじめてください」と言わんばかりの弱々しさだ。
(よし。まずは先制パンチよ)
私はソファに踏ん反り返り、足を組んで彼女を見下ろした。
「遅い!」
怒鳴り声と共に、机をバンと叩く。 マリアが「ひっ」と肩を震わせる。
「挨拶に来るのが遅くてよ。わたくしを誰だと思っていて? この学園の支配者、リリス・フォン・ローゼンバーグですわ!」
どうだ。 初対面でこの高圧的な態度。 普通なら「なんて嫌な人」と思うはず。
しかし、マリアは大きな瞳をパチパチと瞬かせ、そして……頬をポッと染めた。
「は、はい……! 存じ上げております! あの、噂の『革命の聖女』リリス様にお会いできるなんて……夢みたいです!」
「……は?」
革命の聖女? 誰のこと?
「わ、私、田舎から出てきて不安で……でも、リリス様が作られた『新入生のためのサバイバルガイド』を読んで、勇気をもらいました! それに、このピンクのタイツ! とっても可愛くて、履くだけで元気が出ます!」
マリアがスカートを少し持ち上げ、ピンク色の足をアピールする。 似合っている。 悔しいことに、あざといほど似合っている。 いや、そうじゃなくて。
「お待ちなさい。あなたはわたくしを怖くないの?」
「怖い……ですか? いえ! 凛としていて、薔薇のように気高くて……憧れます!」
目がキラキラしている。 崇拝の眼差しだ。 ダメだ、この子も「こっち側」の人間かもしれない。
(落ち着け、リリス。まだ手はある)
私は立ち上がり、彼女に近づいた。 そして、彼女が大切そうに抱えているカバンに目を付けた。 使い古された、ボロボロの革鞄。 ところどころ継ぎ接ぎがある。
「あら、なんて汚い鞄なのかしら」
私は鼻で笑った。
「貧乏臭い匂いがしましてよ。公爵令嬢であるわたくしの前に、そんなゴミを持ち込まないでくださる?」
貧困層への差別発言。 これは決定打になるはずだ。 傷ついて泣き出し、「酷い!」と叫ぶがいい。
マリアは一瞬、悲しそうに目を伏せた。 よし、効いた。
「……ごめんなさい。汚いですよね」
「ええ、汚いわ。すぐに捨ててしまいなさい」
「でも……これ、亡くなった母の形見なんです」
「……っ」
形見。 その言葉に、私の良心がズキリと痛む。 いけない、ここで同情しては悪女失格だ。 「知ったことではありませんわ!」と突き放さなければ。
「母が、病床で縫ってくれたんです。『マリア、いつか学園に行く時に使いなさい』って……。だから、どんなに古くても、私にとっては宝物で……」
マリアの瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
ああ、もうダメ。 無理。 お母さんの形見をバカにするなんて、人として終わってる。 私の悪女メンタルが崩壊していく。
「……そ、そう」
私は震える声で言った。 そして、気づけば私の手は、ポケットに入っていたハンカチを取り出し、彼女の涙を拭っていた。
「な、泣くのはおよしなさい。……見苦しくてよ」
「リリス様……?」
「その鞄……よく見れば、縫製はしっかりしているし、革の手入れも行き届いていますわね。……物を大切にする心、悪くはありませんわ」
言っちゃった。 フォローしちゃった。 しかもハンカチで涙を拭くとか、完全に優しいお姉さんムーブじゃない!
マリアが顔を上げる。 その表情は、感動に打ち震えていた。
「リリス様……! 私の鞄を、母の想いを、認めてくださるんですね……!」
「ち、違いますわ! ただ、新しいのを買う金がないなら仕方ないと言っただけで……」
「優しい……! 噂通り、弱きを助け、本質を見抜く慈愛の方なんですね!」
ガシッ。 マリアが私の手を両手で握りしめた。
「私、決めました! リリス様についていきます! どうか私を、リリス様の下僕その4にしてください!」
「なんで下僕志願者が増えるのよぉぉぉ!!」
私の絶叫が、生徒会室に虚しく響き渡った。
◇
作戦変更だ。 言葉での攻撃が通じないなら、行動で示すしかない。 いじめの定番といえば、「机への嫌がらせ」だ。
翌朝。 私は誰よりも早く登校し、マリアの教室に忍び込んだ。 手には、校庭の隅から引っこ抜いてきた雑草が一輪。 そして、花瓶(ガストンが割った壺の破片を再利用したもの)。
「ふふふ……これを見れば、さすがの彼女も自分の立場を理解するでしょう」
花瓶に水を入れ、雑草を挿す。 それをマリアの机のど真ん中に置く。 いわゆる「菊の花(お供え物)」の代わりだ。 「お前はもう死んでいる」「クラスに居場所はない」という、陰湿極まりないメッセージ。
準備完了。 私は物陰に隠れ、マリアの出社……登校を待った。
やがて、生徒たちがパラパラと教室に入ってくる。 そして、マリアがやってきた。
「おはようございまーす……あっ」
マリアが自分の机の前で立ち止まる。 周囲の生徒たちもざわめき始める。
「おい、あれ……」 「マリアの机に花が……」 「あんな雑草、誰が……?」
(さあ、泣きなさい! そして犯人(私)を憎みなさい!)
私は暗がりで息を潜めた。
マリアは震える手で花瓶に触れた。 そして、その雑草をじっと見つめ……。
「……かわいい」
「は?」
マリアが顔をほころばせた。
「見て! このお花、とっても小さいけど、一生懸命咲いてる! 朝露がついてて、キラキラしてる……!」
え? そこ? 「死ね」って意味じゃないの?
「これ、きっとリリス様だわ!」
マリアが叫んだ。 なんでバレたの!?
「昨日、私が『お花が好き』って言ったのを覚えていてくださったんだわ!(言ってない)。公爵邸の温室にあるような豪華な花じゃなくて、あえてこの野に咲く花を選ぶなんて……『飾らない心』『逆境に負けない強さ』というメッセージね!」
周囲の生徒たちが「おおーっ!」と感嘆の声を上げる。
「さすがリリス会長だ。粋な計らいだな」 「転入生が緊張しないように、あえて素朴な花を贈るなんて」 「あの花、よく見ると『イノチノカガヤキ』という希少な薬草じゃないか?」 「マジで!? じゃあ、体調を気遣ってくれたのか!」
違う。 そこら辺の雑草よ。 勝手に希少な薬草にしないで。
マリアは花瓶を抱きしめ、うっとりとしている。
「嬉しい……! 私、この花を押し花にして、一生大切にします!」
失敗だ。 完全なる敗北だ。 私の悪意は、またしても善意というフィルターを通して、光り輝くプレゼントに変換されてしまった。
そこへ、騒ぎを聞きつけたアレクセイ様が現れた。
「なんだ、朝から騒がしいな」
「あ、殿下! 聞いてください! リリス様が……!」
マリアが興奮気味に、ことの顛末(超解釈版)を説明する。 アレクセイ様はそれを聞き、深く頷きながら、物陰に隠れていた私の方へと歩いてきた。
「出ておいで、リリス。照れることはないよ」
見つかった。 私は観念して、おずおずと姿を現した。
「……殿下。おはようございます」
「おはよう、愛しい人。君の優しさには、僕も学ぶことばかりだ」
彼は私の肩を抱き、教室中の生徒に向かって宣言した。
「聞いたかい、皆。リリスは、転入生という孤独な存在に、誰よりも早く手を差し伸べた。言葉ではなく、花という『沈黙の詩』によって。……これこそが、真の貴族のあり方だ!」
ワァァァァァ! 教室中が拍手喝采に包まれる。 マリアは涙を流して私を拝んでいる。
私は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。 もう、何をやっても無駄なのかもしれない。 この世界は、私を聖女にするために全力でバグを起こしているのだ。
◇
しかし、私は諦めなかった。 直接攻撃がダメなら、搦手(からめて)だ。
「マリアさん。放課後、お茶会をしましょう」
私はマリアを呼び出した。 場所は生徒会室。 用意したのは、最高級のティーセットと……『激苦(げきにが)健康茶』だ。
見た目は普通の紅茶だが、一口飲めば舌が麻痺するほど苦く、渋い。 罰ゲームに使われるような代物だ。 これを「最高級の茶葉よ」と言って振る舞い、吹き出させ、恥をかかせる。 そして「あら、お口に合いませんでした? 庶民の舌には高尚すぎましたわね」と嘲笑うのだ。
「お招きいただき、光栄です! お姉様!」
マリアがやってきた。 いつの間にか呼び方が「お姉様」になっている。 誰が姉だ。
「さあ、お座りなさい。特製のお茶を用意したわ」
シドが恭しくカップを置く。 中身は、どす黒い液体だ。 香りは……うん、土の匂いがする。
「いただきます!」
マリアは疑うことなくカップを口に運び、ゴクリと飲んだ。
(さあ、吹き出しなさい! 苦悶の表情を浮かべなさい!)
私は期待に胸を膨らませて見守った。
マリアの動きが止まる。 目が見開かれる。
「……っ!!」
来た! 苦いでしょう! 不味いでしょう!
「……おいしい!!」
「は?」
マリアが満面の笑みを浮かべた。
「すごい……! 口に入れた瞬間は苦いけど、その後から甘みが追いかけてきて、喉の奥がポカポカします! これ、すごく体にいい味がします!」
「えっ? いや、そんなはずは……」
私は自分のカップ(同じもの)に口をつけた。
「ぶふぉっ!!」
苦い! 死ぬほど苦い! 泥水を煮詰めて焦がしたような味だ。 なんでこれを「おいしい」って言えるの!?
「さすがマリア様ですね」
シドが眼鏡を直しながら解説する。
「このお茶は『竜の根』を煎じたもので、極めて苦いが、魔力を持つ者にとっては最高の滋養強壮剤となります。特に、潜在的な魔力が高い者ほど、その苦味を『甘み』として知覚できると言われています」
「……つまり?」
「マリア様は、規格外の魔力の持ち主ということです。そして、それを見抜いてこのお茶を提供したリリス会長の慧眼……恐れ入りました」
まさかの才能発掘。 私の嫌がらせドリンクが、マリアの「隠された聖女の力」を目覚めさせるトリガーになってしまったようだ。
「ありがとうございます、お姉様! なんだか力がみなぎってきました!」
マリアの体が、淡い光を放ち始める。 聖女の覚醒だ。 原作ではもっと後半、悲劇的なイベントを経て覚醒するはずの力が、不味いお茶一杯であっさり目覚めてしまった。
「ああ、リリス……!」
アレクセイ様が(なぜかタイミングよく)入ってきて、感動に打ち震えた。
「君は、マリアの才能を開花させるために、あえて試練(苦い茶)を与えたんだね! 未来の国のために、優秀な人材を育てる……君こそが、真の指導者だ!」
「ち、違いますの! ただ苦しめたかっただけ……!」
「わかっているよ。君はいつも、自分の功績を隠そうとする。……でも、僕にはお見通しだ」
アレクセイ様が私を抱きしめる。 マリアが光り輝きながら「お姉様大好き!」と抱きついてくる。 シドとガストンとレンが「会長、一生ついていきます!」と敬礼する。
生徒会室は、カオスな愛と勘違いに満ち溢れていた。
(……もう、疲れた)
私はアレクセイ様の腕の中で、遠い目をした。 悪女への道は遠い。 というか、もはや道がない。 あるのは、王妃へのレッドカーペットだけだ。
その時だった。
「――見つけたぞ、リリス・フォン・ローゼンバーグ」
開け放たれた窓から、不穏な風が吹き込んだ。 バルコニーに、一人の人影が立っていた。
黒いマントを翻し、顔を仮面で隠した男。 その手には、不吉な魔力を帯びた短剣が握られている。
「俺の名は『黒の使徒』。王太子アレクセイの命を狙う者であり……貴様のような『偽りの聖女』を断罪する者だ!」
暗殺者!? しかも、「偽りの聖女」って……私のこと?
(……え? チャンス?)
私の目が輝いた。 断罪! その甘美な響き! この男なら、私の本性(悪女)を見抜き、アレクセイ様の前で暴露してくれるかもしれない!
「ようこそ、暗殺者さん!」
私は嬉々として、彼の方へと歩み出した。
「待っていたわ! さあ、私の罪を暴いて! そして皆に真実を伝えてちょうだい!」
「……は?」
暗殺者が困惑して固まる。 アレクセイ様が「リリス、危ない!」と叫ぶ。 しかし私は止まらない。
ようやく現れた「私を否定してくれる人」。 彼こそが、私の救世主(メシア)になるかもしれないのだから!
王立学園の生徒会室。 最高級の革張りソファ(ガストンがどこからか調達してきた)に深々と腰を下ろし、私は重いため息をついた。
窓の外を見下ろせば、そこには異様な光景が広がっていた。
登校してくる生徒たちの足元。 男子も女子も、全員が『ショッキングピンクのタイツ』を着用しているのだ。 制服のシックな紺色と、目に痛いほどの蛍光ピンクのコントラスト。 それはまるで、フラミンゴの大群が移動しているかのようであり、あるいは前衛的すぎて理解不能な現代アートのようでもあった。
「素晴らしい光景ですね、会長」
副会長のシドが、紅茶を淹れながら満足げに頷く。 彼もまた、ズボンの裾からチラリとピンク色を覗かせている。
「色彩心理学において、ピンクは『幸福感』や『安らぎ』を与える色とされています。さらに、今回導入したこのタイツは、伸縮性に優れた特殊素材『マッスル・ファイバー』製。履くだけで下半身の筋肉に適度な負荷がかかり、ヒップアップと脚やせ効果がある……まさに魔法のアイテムです」
「……」
私は言葉を失っていた。
私の計画はこうだった。 『全校生徒にダサいピンクのタイツを強制する』 ↓ 『生徒たちが恥ずかしがって拒否する』 ↓ 『私が「履かない者は退学よ!」と理不尽に怒る』 ↓ 『生徒たちの不満が爆発し、リリス排斥運動が起こる』 ↓ 『婚約破棄&追放』
完璧なシナリオだったはずだ。 しかし、現実はどうだ。
「見てください、あの女子生徒たちの笑顔を。『リリス様考案の最新美容ダイエット』として、街でも爆発的なブームになっているそうですよ。今やこのピンクタイツは、お洒落とステータスの象徴です」
「嘘でしょ……あんなにダサいのに……」
「ダサい? いえいえ、会長。あなたが身につければ、それは『モード』になるのです。流行とは常に、カリスマが作るものですから」
シドがメガネをキラリと光らせる。 こいつ、私の悪意をすべて「高度な計算」に変換する天才か。
さらに、食堂から漂ってくる強烈な匂い。 鼻が曲がりそうなほどのスパイスの刺激臭。
第二の作戦、『全メニュー激辛化計画』。 生徒たちの味覚を破壊し、胃袋を痛めつけ、食堂を使えなくしてやるつもりだった。
「ガストンからの報告です」
シドが手元の資料を読み上げる。
「『食堂の激辛メニュー、大好評だぜ。食うだけで汗が吹き出し、代謝が上がりまくりだ。午後の授業で居眠りする奴がいなくなった。あと、冷え性の女子たちから感謝の手紙が山ほど届いてる』とのことです」
「……なんでよ」
「薬膳の効果ですね。会長が厳選した(適当に選んだ)スパイスの配合が、奇跡的なデトックス効果を生んでいるようです。『リリス風・地獄の麻婆豆腐』は、今や行列のできる看板メニューですよ」
頭が痛い。 私の悪行が、ことごとく学園の健康増進に貢献している。 「暴君」と呼ばれるはずが、「健康管理のスペシャリスト」として崇められているなんて。
「リリス」
執務室の扉が開き、アレクセイ様が入ってきた。 今日も今日とて、無駄にキラキラと輝いている。
「また会いに来たよ。……うん、今日の学園も活気に満ちているね」
彼は窓の外のピンク色の集団を見て、爽やかに微笑んだ。
「君のアイデアには脱帽だ。伝統を重んじるあまり、地味で活気のなかった学園の雰囲気を、この『色』で一変させるとは。多様性を認め、個性を主張する……新しい時代の幕開けを感じるよ」
「殿下、目がチカチカしませんか? あれ、どう見ても景観破壊ですわよ?」
「まさか。君が選んだ色だ。僕には、咲き誇る花々のように見えるよ」
ダメだ。重症だ。 この人はもう、私が「空は緑色です」と言っても、「君の瞳には自然の息吹が映っているんだね」とか言って信じるに違いない。
「ところで、リリス。今日は転入生が来る日だね」
「……えっ?」
心臓がドクリと跳ねた。
転入生。 その言葉に、過去二回の人生の記憶がフラッシュバックする。 十五歳の春。 季節外れの転入生として現れた、一人の少女。
男爵令嬢、マリア・キャンベル。
ふわふわの茶色の髪に、大きな瞳。 守ってあげたくなるような小動物系の可愛らしさを持つ彼女。 彼女こそが、この物語の「本来のヒロイン」であり、私を断罪へと追いやった張本人だ。
一度目の人生では、彼女は「聖女」としての力に目覚め、アレクセイ様と恋に落ちた。 私は嫉妬に狂った悪役令嬢として、彼女をいじめ(ていると誤解され)、処刑された。 二度目の人生では、私は関わらないようにしたが、彼女の方から近づいてきて、結局巻き込まれて処刑された。
彼女が来る。 運命の歯車が、また動き出す。
「……そうですわね。確か、男爵家の娘でしたかしら」
私は努めて冷静を装った。 しかし、内心ではガッツポーズをしていた。
(来たわ! これよ、これ!)
今までの作戦は失敗続きだった。 対象が不特定多数(全校生徒)だったのが敗因かもしれない。 けれど、ターゲットが「ヒロイン」一人なら話は別だ。
物語の強制力が働くはずだ。 悪役令嬢がいじめれば、ヒロインは傷つき、ヒーロー(アレクセイ様)は激怒する。 これぞ王道。黄金のパターン。
もし私がマリアを徹底的にいじめ抜き、泣かせることができれば。 さすがのアレクセイ様も、「いくらリリスでも、か弱い女子を虐げるのは許せない」と目を覚ますはず!
「楽しみですわ。……ふふふ、どんな『歓迎』をしてあげましょうか」
私は扇で口元を隠し、ニヤリと笑った。 今度こそ、悪女の本領発揮よ。
◇
放課後。 私は生徒会室で、獲物が来るのを待っていた。 転入生は、生徒会長に挨拶に来るのが決まりだ。
「失礼します……」
控えめなノックの後、扉が開いた。 そこに立っていたのは、記憶の中と同じ、愛らしい少女だった。
マリア・キャンベル。 少しサイズの合っていない制服(お古なのだろう)を着て、不安そうにキョロキョロとしている。 その姿は、いかにも「いじめてください」と言わんばかりの弱々しさだ。
(よし。まずは先制パンチよ)
私はソファに踏ん反り返り、足を組んで彼女を見下ろした。
「遅い!」
怒鳴り声と共に、机をバンと叩く。 マリアが「ひっ」と肩を震わせる。
「挨拶に来るのが遅くてよ。わたくしを誰だと思っていて? この学園の支配者、リリス・フォン・ローゼンバーグですわ!」
どうだ。 初対面でこの高圧的な態度。 普通なら「なんて嫌な人」と思うはず。
しかし、マリアは大きな瞳をパチパチと瞬かせ、そして……頬をポッと染めた。
「は、はい……! 存じ上げております! あの、噂の『革命の聖女』リリス様にお会いできるなんて……夢みたいです!」
「……は?」
革命の聖女? 誰のこと?
「わ、私、田舎から出てきて不安で……でも、リリス様が作られた『新入生のためのサバイバルガイド』を読んで、勇気をもらいました! それに、このピンクのタイツ! とっても可愛くて、履くだけで元気が出ます!」
マリアがスカートを少し持ち上げ、ピンク色の足をアピールする。 似合っている。 悔しいことに、あざといほど似合っている。 いや、そうじゃなくて。
「お待ちなさい。あなたはわたくしを怖くないの?」
「怖い……ですか? いえ! 凛としていて、薔薇のように気高くて……憧れます!」
目がキラキラしている。 崇拝の眼差しだ。 ダメだ、この子も「こっち側」の人間かもしれない。
(落ち着け、リリス。まだ手はある)
私は立ち上がり、彼女に近づいた。 そして、彼女が大切そうに抱えているカバンに目を付けた。 使い古された、ボロボロの革鞄。 ところどころ継ぎ接ぎがある。
「あら、なんて汚い鞄なのかしら」
私は鼻で笑った。
「貧乏臭い匂いがしましてよ。公爵令嬢であるわたくしの前に、そんなゴミを持ち込まないでくださる?」
貧困層への差別発言。 これは決定打になるはずだ。 傷ついて泣き出し、「酷い!」と叫ぶがいい。
マリアは一瞬、悲しそうに目を伏せた。 よし、効いた。
「……ごめんなさい。汚いですよね」
「ええ、汚いわ。すぐに捨ててしまいなさい」
「でも……これ、亡くなった母の形見なんです」
「……っ」
形見。 その言葉に、私の良心がズキリと痛む。 いけない、ここで同情しては悪女失格だ。 「知ったことではありませんわ!」と突き放さなければ。
「母が、病床で縫ってくれたんです。『マリア、いつか学園に行く時に使いなさい』って……。だから、どんなに古くても、私にとっては宝物で……」
マリアの瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
ああ、もうダメ。 無理。 お母さんの形見をバカにするなんて、人として終わってる。 私の悪女メンタルが崩壊していく。
「……そ、そう」
私は震える声で言った。 そして、気づけば私の手は、ポケットに入っていたハンカチを取り出し、彼女の涙を拭っていた。
「な、泣くのはおよしなさい。……見苦しくてよ」
「リリス様……?」
「その鞄……よく見れば、縫製はしっかりしているし、革の手入れも行き届いていますわね。……物を大切にする心、悪くはありませんわ」
言っちゃった。 フォローしちゃった。 しかもハンカチで涙を拭くとか、完全に優しいお姉さんムーブじゃない!
マリアが顔を上げる。 その表情は、感動に打ち震えていた。
「リリス様……! 私の鞄を、母の想いを、認めてくださるんですね……!」
「ち、違いますわ! ただ、新しいのを買う金がないなら仕方ないと言っただけで……」
「優しい……! 噂通り、弱きを助け、本質を見抜く慈愛の方なんですね!」
ガシッ。 マリアが私の手を両手で握りしめた。
「私、決めました! リリス様についていきます! どうか私を、リリス様の下僕その4にしてください!」
「なんで下僕志願者が増えるのよぉぉぉ!!」
私の絶叫が、生徒会室に虚しく響き渡った。
◇
作戦変更だ。 言葉での攻撃が通じないなら、行動で示すしかない。 いじめの定番といえば、「机への嫌がらせ」だ。
翌朝。 私は誰よりも早く登校し、マリアの教室に忍び込んだ。 手には、校庭の隅から引っこ抜いてきた雑草が一輪。 そして、花瓶(ガストンが割った壺の破片を再利用したもの)。
「ふふふ……これを見れば、さすがの彼女も自分の立場を理解するでしょう」
花瓶に水を入れ、雑草を挿す。 それをマリアの机のど真ん中に置く。 いわゆる「菊の花(お供え物)」の代わりだ。 「お前はもう死んでいる」「クラスに居場所はない」という、陰湿極まりないメッセージ。
準備完了。 私は物陰に隠れ、マリアの出社……登校を待った。
やがて、生徒たちがパラパラと教室に入ってくる。 そして、マリアがやってきた。
「おはようございまーす……あっ」
マリアが自分の机の前で立ち止まる。 周囲の生徒たちもざわめき始める。
「おい、あれ……」 「マリアの机に花が……」 「あんな雑草、誰が……?」
(さあ、泣きなさい! そして犯人(私)を憎みなさい!)
私は暗がりで息を潜めた。
マリアは震える手で花瓶に触れた。 そして、その雑草をじっと見つめ……。
「……かわいい」
「は?」
マリアが顔をほころばせた。
「見て! このお花、とっても小さいけど、一生懸命咲いてる! 朝露がついてて、キラキラしてる……!」
え? そこ? 「死ね」って意味じゃないの?
「これ、きっとリリス様だわ!」
マリアが叫んだ。 なんでバレたの!?
「昨日、私が『お花が好き』って言ったのを覚えていてくださったんだわ!(言ってない)。公爵邸の温室にあるような豪華な花じゃなくて、あえてこの野に咲く花を選ぶなんて……『飾らない心』『逆境に負けない強さ』というメッセージね!」
周囲の生徒たちが「おおーっ!」と感嘆の声を上げる。
「さすがリリス会長だ。粋な計らいだな」 「転入生が緊張しないように、あえて素朴な花を贈るなんて」 「あの花、よく見ると『イノチノカガヤキ』という希少な薬草じゃないか?」 「マジで!? じゃあ、体調を気遣ってくれたのか!」
違う。 そこら辺の雑草よ。 勝手に希少な薬草にしないで。
マリアは花瓶を抱きしめ、うっとりとしている。
「嬉しい……! 私、この花を押し花にして、一生大切にします!」
失敗だ。 完全なる敗北だ。 私の悪意は、またしても善意というフィルターを通して、光り輝くプレゼントに変換されてしまった。
そこへ、騒ぎを聞きつけたアレクセイ様が現れた。
「なんだ、朝から騒がしいな」
「あ、殿下! 聞いてください! リリス様が……!」
マリアが興奮気味に、ことの顛末(超解釈版)を説明する。 アレクセイ様はそれを聞き、深く頷きながら、物陰に隠れていた私の方へと歩いてきた。
「出ておいで、リリス。照れることはないよ」
見つかった。 私は観念して、おずおずと姿を現した。
「……殿下。おはようございます」
「おはよう、愛しい人。君の優しさには、僕も学ぶことばかりだ」
彼は私の肩を抱き、教室中の生徒に向かって宣言した。
「聞いたかい、皆。リリスは、転入生という孤独な存在に、誰よりも早く手を差し伸べた。言葉ではなく、花という『沈黙の詩』によって。……これこそが、真の貴族のあり方だ!」
ワァァァァァ! 教室中が拍手喝采に包まれる。 マリアは涙を流して私を拝んでいる。
私は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。 もう、何をやっても無駄なのかもしれない。 この世界は、私を聖女にするために全力でバグを起こしているのだ。
◇
しかし、私は諦めなかった。 直接攻撃がダメなら、搦手(からめて)だ。
「マリアさん。放課後、お茶会をしましょう」
私はマリアを呼び出した。 場所は生徒会室。 用意したのは、最高級のティーセットと……『激苦(げきにが)健康茶』だ。
見た目は普通の紅茶だが、一口飲めば舌が麻痺するほど苦く、渋い。 罰ゲームに使われるような代物だ。 これを「最高級の茶葉よ」と言って振る舞い、吹き出させ、恥をかかせる。 そして「あら、お口に合いませんでした? 庶民の舌には高尚すぎましたわね」と嘲笑うのだ。
「お招きいただき、光栄です! お姉様!」
マリアがやってきた。 いつの間にか呼び方が「お姉様」になっている。 誰が姉だ。
「さあ、お座りなさい。特製のお茶を用意したわ」
シドが恭しくカップを置く。 中身は、どす黒い液体だ。 香りは……うん、土の匂いがする。
「いただきます!」
マリアは疑うことなくカップを口に運び、ゴクリと飲んだ。
(さあ、吹き出しなさい! 苦悶の表情を浮かべなさい!)
私は期待に胸を膨らませて見守った。
マリアの動きが止まる。 目が見開かれる。
「……っ!!」
来た! 苦いでしょう! 不味いでしょう!
「……おいしい!!」
「は?」
マリアが満面の笑みを浮かべた。
「すごい……! 口に入れた瞬間は苦いけど、その後から甘みが追いかけてきて、喉の奥がポカポカします! これ、すごく体にいい味がします!」
「えっ? いや、そんなはずは……」
私は自分のカップ(同じもの)に口をつけた。
「ぶふぉっ!!」
苦い! 死ぬほど苦い! 泥水を煮詰めて焦がしたような味だ。 なんでこれを「おいしい」って言えるの!?
「さすがマリア様ですね」
シドが眼鏡を直しながら解説する。
「このお茶は『竜の根』を煎じたもので、極めて苦いが、魔力を持つ者にとっては最高の滋養強壮剤となります。特に、潜在的な魔力が高い者ほど、その苦味を『甘み』として知覚できると言われています」
「……つまり?」
「マリア様は、規格外の魔力の持ち主ということです。そして、それを見抜いてこのお茶を提供したリリス会長の慧眼……恐れ入りました」
まさかの才能発掘。 私の嫌がらせドリンクが、マリアの「隠された聖女の力」を目覚めさせるトリガーになってしまったようだ。
「ありがとうございます、お姉様! なんだか力がみなぎってきました!」
マリアの体が、淡い光を放ち始める。 聖女の覚醒だ。 原作ではもっと後半、悲劇的なイベントを経て覚醒するはずの力が、不味いお茶一杯であっさり目覚めてしまった。
「ああ、リリス……!」
アレクセイ様が(なぜかタイミングよく)入ってきて、感動に打ち震えた。
「君は、マリアの才能を開花させるために、あえて試練(苦い茶)を与えたんだね! 未来の国のために、優秀な人材を育てる……君こそが、真の指導者だ!」
「ち、違いますの! ただ苦しめたかっただけ……!」
「わかっているよ。君はいつも、自分の功績を隠そうとする。……でも、僕にはお見通しだ」
アレクセイ様が私を抱きしめる。 マリアが光り輝きながら「お姉様大好き!」と抱きついてくる。 シドとガストンとレンが「会長、一生ついていきます!」と敬礼する。
生徒会室は、カオスな愛と勘違いに満ち溢れていた。
(……もう、疲れた)
私はアレクセイ様の腕の中で、遠い目をした。 悪女への道は遠い。 というか、もはや道がない。 あるのは、王妃へのレッドカーペットだけだ。
その時だった。
「――見つけたぞ、リリス・フォン・ローゼンバーグ」
開け放たれた窓から、不穏な風が吹き込んだ。 バルコニーに、一人の人影が立っていた。
黒いマントを翻し、顔を仮面で隠した男。 その手には、不吉な魔力を帯びた短剣が握られている。
「俺の名は『黒の使徒』。王太子アレクセイの命を狙う者であり……貴様のような『偽りの聖女』を断罪する者だ!」
暗殺者!? しかも、「偽りの聖女」って……私のこと?
(……え? チャンス?)
私の目が輝いた。 断罪! その甘美な響き! この男なら、私の本性(悪女)を見抜き、アレクセイ様の前で暴露してくれるかもしれない!
「ようこそ、暗殺者さん!」
私は嬉々として、彼の方へと歩み出した。
「待っていたわ! さあ、私の罪を暴いて! そして皆に真実を伝えてちょうだい!」
「……は?」
暗殺者が困惑して固まる。 アレクセイ様が「リリス、危ない!」と叫ぶ。 しかし私は止まらない。
ようやく現れた「私を否定してくれる人」。 彼こそが、私の救世主(メシア)になるかもしれないのだから!
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