「君を愛することはない」と言った旦那様が、毎晩離してくれません。 ~白い結婚のはずが、契約書にない溺愛オプションが追加されている件について

ラムネ

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第十話 炎の王女の来襲と、揺らぐ契約書

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「……第2王女殿下が、留学先からご帰国されたとのこと」

セバスチャンのその言葉が落ちた瞬間、部屋の空気が一変した。 物理的な温度が下がったのではない。 アレクシス様から立ち昇る気配が、瞬時にして「氷の公爵」の、それも最大級の警戒レベルへと切り替わったのだ。

「……いつだ」

アレクシス様が、地を這うような低い声で尋ねる。

「本日の正午に王都へ到着されたそうです。現在は王城にいらっしゃいますが、公爵閣下への面会を強く希望されているとか」

「……断れ」

即答だった。 アレクシス様は吐き捨てるように言った。

「公務多忙につき面会謝絶だ。それに妻が病み上がりだ。騒がしい客を入れる余裕はない」

「承知いたしました。……しかし」

セバスチャンが言い淀む。 常に冷静沈着な彼にしては珍しい、困惑の色が浮かんでいる。

「相手はあの『炎の王女』エメラルダ様です。閣下が断った程度で引き下がるとは……」

「……チッ」

アレクシス様が舌打ちをした。 貴族としてあるまじき行為だが、それほどまでに彼にとって「エメラルダ様」という存在は忌々しいものらしい。

私はベッドの上で、不安げにアレクシス様を見上げた。

「あの、アレクシス様……エメラルダ様とは、どのような方なのですか?」

私が尋ねると、彼は深いため息をつき、頭を抱えた。

「……災害だ」

「災害、ですか?」

「ああ。台風と火山噴火が同時に服を着て歩いているような女だ」

ひどい言い草だ。 王女殿下に対して不敬にも程があるが、彼の表情は真剣そのものだった。

「彼女は私の元婚約者候補だった。……幼い頃から私に執着し、留学中も毎日のように『愛のポエム』を送りつけてきた。私が結婚したと知れば、間違いなく黙ってはいないだろう」

「愛のポエム……」

「読むだけで精神が汚染される代物だ。すべて燃やしたがな」

彼は苦々しげに言った。

「リリアナ、お前は絶対に彼女に会うな。何を言われても部屋から出るんじゃないぞ」

「は、はい」

アレクシス様のただならぬ様子に、私はこくりと頷いた。 せっかく契約を更新して、幸せな気持ちでいっぱいだったのに。 空には再び、暗雲が立ち込めようとしていた。

          ***

翌日。 アレクシス様は、王城からの呼び出しにも「妻の看病」を理由に応じず、屋敷にバリケードを築くかのように引き籠もっていた。 玄関には屈強な衛兵を倍増させ、敷地内には氷魔法による結界まで張っているという徹底ぶりだ。

私はというと、熱は完全に下がったものの、アレクシス様の過保護令により、ベッドの上での安静を強いられていた。

「あーん」

「……アレクシス様、自分で食べられます」

「ダメだ。病人は甘えるのが仕事だ」

彼はスプーンに山盛りのリゾットを載せて、私の口元に突き出している。 どうやら、この「あーん」が彼の中で重要なスキンシップとして定着してしまったらしい。

「ほら、口を開けろ」

「はい……あーん」

私が口を開けると、彼は満足そうにリゾットを放り込む。 美味しい。 チーズと野菜の旨味が濃厚だ。

「……うまいか?」

「はい、とても」

「そうか。……なら一生食わせてやる」

彼はサラリとプロポーズのようなことを言いながら、私の口元の汚れを指で拭った。 いちいち心臓に悪い。 でも、こんな甘い時間がずっと続くなら、王女様の来襲なんて怖くないかもしれない。

そう思っていた矢先だった。

ドガァァァン!!!

屋敷全体が揺れるほどの轟音が響いた。 窓ガラスがビリビリと振動し、棚の上の花瓶が落ちて割れる。

「きゃっ!?」

「……来たか」

アレクシス様のスプーンを持つ手が止まった。 その瞳が、スッと細められる。

「旦那様!!」

セバスチャンが転がり込むように入ってきた。 その顔は蒼白だ。

「玄関が……突破されました!」

「何だと? 結界を張っていたはずだぞ」

「それが……炎魔法で強引に溶かされました! エメラルダ様です!」

「……あの馬鹿女」

アレクシス様が低く唸り、立ち上がった。 全身から冷気が噴き出す。

「リリアナ、ここを動くな。絶対にだ」

「ア、アレクシス様!」

彼は私を制止すると、マントを翻して部屋を出て行った。 扉が閉まる瞬間、廊下の向こうから聞こえてきたのは、高く、傲慢な女性の声だった。

「アレクシース様ぁー!! どこにいらっしゃるのぉー!! 愛しのエメラルダが帰ってきましたわよぉー!!」

その声を聞いただけで、私は鳥肌が立った。 本能が告げている。 この人は、関わってはいけないタイプの人だと。

しかし、「部屋にいろ」と言われて大人しくしていられる私ではない。 アレクシス様が一人で立ち向かっているのだ。 もし彼が王族への不敬罪で捕まったりしたら大変だ。

私はこっそりとベッドを抜け出した。 ガウンを羽織り、足音を忍ばせて廊下へ出る。 そして、大階段の上から、再び玄関ホールを覗き込んだ。

そこには、異様な光景が広がっていた。

真っ赤なドレス。 燃えるような赤髪。 宝石をじゃらじゃらとつけた、派手な美女。

彼女が、エメラルダ王女だ。 その周囲には、黒焦げになった衛兵たちが倒れている(命に別状はなさそうだが)。 彼女の手には、まだ燻っている杖が握られていた。

「……人の家を破壊して入るとは、相変わらず常識のない女だ」

アレクシス様が、氷の剣を構えて対峙していた。 その表情は、敵国の将軍を見るよりも険しい。

「あら、ご挨拶ね! 愛する元婚約者候補に向かって、いきなり剣を向けるなんて!」

エメラルダ様は、悪びれる様子もなく高笑いした。

「会いたかったわぁ、アレクシス様! 貴方が結婚したなんて嘘でしょう? 私という極上の果実がありながら、どこの馬の骨とも知れない女を選ぶはずがないもの!」

「……言葉を慎め。私の妻を愚弄することは許さん」

「妻? ふふん、ただの契約なんでしょう? 調べはついているのよ」

エメラルダ様の瞳が、怪しく光った。

「没落男爵家の娘。借金のカタに買われた、ただの『飾り』。……そうでしょ?」

ドキリとした。 なぜ知っているの? 契約結婚のことは、極秘のはずなのに。

「……どこでそれを」

「王家の情報網を舐めないでちょうだい。それに、貴方が愛のない結婚をしたことくらい、私にはお見通しよ。だって貴方は、『氷の公爵』だもの。心を閉ざした貴方が、ぽっと出の女に愛を捧げるわけがないわ」

彼女は勝ち誇ったように言った。 アレクシス様は無言だ。 否定しないの? 心の中でズキリと痛みが走る。

「ねえ、アレクシス様。そんな地味な女、さっさと捨ててしまいなさいよ。私が帰ってきたのよ? 貴方に相応しいのは、この私、エメラルダだけだわ!」

彼女がアレクシス様に抱きつこうとする。

パキィッ!

アレクシス様が氷壁を展開し、彼女を拒絶した。

「……断る」

「なっ……!?」

「私はリリアナを選んだ。彼女以外は必要ない」

「なんですって!?」

エメラルダ様の顔が怒りで歪んだ。 杖を振り上げ、炎の魔力を練り始める。

「許さない……私を拒絶するなんて許さないわ! その女はどこ!? 焼き殺してやるわ!」

「させん!」

一触即発の事態。 このままでは、屋敷が戦場になってしまう。 私は居ても立ってもいられず、叫んでいた。

「おやめください!!」

私の声がホールに響いた。 全員の視線が、階段の上に集まる。

「……リリアナ!」

アレクシス様が驚愕の表情を浮かべる。

「あら……?」

エメラルダ様が、興味深そうに私を見上げた。 そして、フッと鼻で笑った。

「貴女が、噂の泥棒猫?」

「泥棒猫ではありません。私はアレクシス様の妻、リリアナです」

私は震える足で階段を下りた。 怖かった。 相手は王女だ。 不興を買えば、処刑されるかもしれない。 でも、アレクシス様が守ろうとしてくれたこの場所を、私が守らなくてどうするの。

「ふーん……」

エメラルダ様は、私を上から下まで値踏みするように眺めた。

「地味ね。貧相だわ。魔力もないし、オーラもない。……本当に、ただそこにいるだけの『石ころ』みたい」

容赦ない罵倒。 でも、不思議と傷つかなかった。 だって、アレクシス様は私を「至宝」だと言ってくれたから。

「ええ、私は地味で何の取り柄もない女です。でも、アレクシス様が選んでくださったのは私です」

私は精一杯の虚勢を張って言った。

「……ほう?」

エメラルダ様の目が据わった。

「言うじゃない。……なら、試してあげましょうか」

「試す?」

「貴女が本当に、アレクシス様の妻に相応しいかどうかをね」

彼女はパチンと指を鳴らした。

「来週、王城で私の帰国記念パーティーを開くわ。そこに貴女も来なさい」

「……断る」

アレクシス様が即座に割り込んだ。

「リリアナを行かせるわけがない。お前のパーティーなど、ろくなことにならない」

「あら、来なければ公爵家の『不敬』として、王家に報告するわよ? それでもいいの?」

「脅しか」

「招待よ。……逃げないわよね、リリアナさん?」

エメラルダ様は挑発的な笑みを私に向けた。 ここで逃げれば、アレクシス様の立場が悪くなる。

「……分かりました。お伺いします」

「リリアナ!」

アレクシス様が止めたが、私は首を横に振った。

「大丈夫です。アレクシス様が一緒にいてくださるなら、私はどこへでも行きます」

「……ふん、熱いこと」

エメラルダ様はつまらなそうに鼻を鳴らした。

「精々、着飾っていらっしゃい。……灰かぶり姫が、魔法でどう化けるか楽しみにしておくわ」

彼女はそう言い捨てると、再び炎を纏って、嵐のように去っていった。 残されたのは、焦げ臭い匂いと、破壊された玄関、そして重苦しい沈黙だった。

          ***

「……行くなと言ったのに」

執務室に戻った後、アレクシス様は深い溜息をついて私を責めた。 でも、その手は私の髪を優しく撫でている。

「すみません。でも、アレクシス様を困らせたくなくて……」

「お前が危険な目に遭う方が、よほど困る」

彼は眉を寄せた。

「エメラルダは執念深い。パーティーでは、間違いなくお前に恥をかかせようとするだろう。……耐えられるか?」

「……分かりません。でも、頑張ります」

私は拳を握りしめた。 今までだって、継母たちの嫌がらせに耐えてきたのだ。 それに、今度は一人じゃない。

「私には、最強の護衛がついていますから」

私がアレクシス様を見上げて微笑むと、彼は一瞬きょとんとして、それから顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。

「……当たり前だ。指一本触れさせん」

その言葉が、何よりのお守りだった。

          ***

そして、パーティー当日。 私は再び、あのミッドナイトブルーのドレスに袖を通した。 今度は「首まで詰まった服にしろ」というアレクシス様の命令で、特注のレースボレロを羽織っている。 露出はゼロだが、逆にそれが禁欲的な色気を醸し出していると、侍女たちは絶賛してくれた。

「行くぞ」

正装したアレクシス様のエスコートで、私たちは王城へと向かった。

会場は、前回の舞踏会以上に華やかだった。 王女の帰国祝いということもあり、国王陛下をはじめ、高位貴族たちが勢揃いしている。

私たちが会場に入ると、やはり視線が集まった。 でも、前回のような冷ややかな好奇心だけではない。 「あれが、王女に喧嘩を売られた公爵夫人か」という、同情と興味が入り混じった視線だ。

「……リリアナ、私のそばを離れるな」

「はい」

私たちは壁際に陣取った。 アレクシス様が「ATフィールド」のような冷気を放っているので、誰も近寄ってこない。

その時。 ファンファーレが高らかに鳴り響いた。

「エメラルダ王女殿下、ご入場!」

大階段の上に、真っ赤なドレスを纏ったエメラルダ様が現れた。 その姿は、まさに太陽のようだった。 圧倒的な美貌、自信に満ちた笑顔、王族としてのカリスマ性。 誰もが彼女にひれ伏し、称賛を送る。

「……すごい」

私は思わず呟いた。 私とは違う。 住む世界が違う。 あんなに輝いている人が、アレクシス様の元婚約者候補だったなんて。

エメラルダ様は、階段を下りながら会場を見渡し、私たちを見つけると、ニヤリと笑った。 そして、マイクもないのに会場中に響き渡る声で言った。

「皆様! 本日はわたくしの帰国パーティーにお集まりいただき、ありがとうございます! 今宵は、特別な余興を用意しておりますの!」

余興? 嫌な予感がする。

「そこにいる、オルブライト公爵夫人! 前へ!」

指名された。 会場中の視線が私に突き刺さる。 アレクシス様が私を庇おうと前に出ようとしたが、私は彼の手をそっと制した。 ここで隠れていては、一生彼女に勝てない気がしたからだ。

私は深呼吸をして、震える足で前へと進み出た。

「……ごきげんよう、殿下」

「ごきげんよう、リリアナさん。……あら、今日は少しはマシな格好ね。でも、中身はどうかしら?」

エメラルダ様は扇子で口元を隠し、冷ややかに言った。

「公爵夫人は、教養も嗜みも一流でなくてはなりません。そこで、皆様の前で貴女の腕前を披露していただこうと思いましてよ」

「腕前……ですか?」

「ええ。……ピアノよ」

彼女が指差した先には、グランドピアノが置かれていた。

「まさか、弾けないとは言わないわよね? 貴族の令嬢なら、嗜みとして当然でしょう?」

会場がざわめく。 ピアノ。 それは上流貴族の令嬢にとって必須の教養だ。 しかし、貧乏男爵家で育ち、使用人同然に扱われてきた私に、そんな高価な楽器に触れる機会などあるはずがなかった。

「……」

私は唇を噛んだ。 弾けない。 ドレミの位置すら分からない。

「あら? どうしたの? もしかして……弾けないのかしら?」

エメラルダ様が勝ち誇ったように笑う。

「公爵夫人ともあろうお方が、ピアノの一つも弾けないなんて……恥ずかしくないの? アレクシス様の顔に泥を塗るおつもり?」

周囲からもクスクスと失笑が漏れる。 「やっぱり成り上がりね」 「教育を受けていないのよ」 「公爵様がお可哀想に」

嘲笑の波が私を飲み込む。 顔が熱い。 惨めだ。 やっぱり、私はここに来るべきじゃなかった。 アレクシス様の隣に立つ資格なんて、私には……。

「……帰りたい」

心の中で弱音が漏れた時だった。

カツン、カツン。

静寂を破って、誰かが歩み出てきた。 アレクシス様だ。

彼は私の隣に立つと、冷徹な瞳でエメラルダ様を睨みつけた。

「……茶番は終わりか?」

「茶番ですって? 私はただ、彼女の実力を……」

「リリアナはピアニストではない。公爵夫人だ。楽器の演奏など、楽団にさせればいい」

「でも、教養がないのは事実でしょう?」

「教養?」

アレクシス様は鼻で笑った。

「ピアノが弾けることが教養か? そんなものはただの技術だ。……リリアナには、もっと素晴らしい才能がある」

「才能? 何よ、雑巾がけでも披露させる気?」

エメラルダ様が馬鹿にしたように笑う。 アレクシス様は、静かに私の手を取った。 そして、その手を高く掲げた。

「彼女の指は、魔法を生み出す」

「はぁ?」

「彼女の刺繍を見たことがあるか? まるで生きているかのように花々を咲かせ、見る者の心を震わせる。……それは、お前の下手なピアノよりも遥かに芸術的だ」

「なっ……!」

エメラルダ様の顔が引きつる。

「それに、彼女は植物の言葉が分かる。枯れかけた庭を蘇らせ、命を吹き込む。……破壊しか能のないお前とは大違いだ」

「き、貴方……っ!」

アレクシス様の言葉に、会場が静まり返る。 公衆の面前で、王女を「破壊しか能がない」と断じたのだ。 不敬罪ギリギリだが、その毅然とした態度に、誰もが息を呑んだ。

「リリアナ」

アレクシス様は私に向き直り、優しく言った。

「ピアノなど弾けなくていい。お前はお前のままでいい。……私が選んだのは、ピアニストのリリアナではない。ただのリリアナだ」

「アレクシス様……」

涙が溢れた。 この人は、いつも私の一番欲しい言葉をくれる。 私の欠点さえも、肯定して、守ってくれる。

「さあ、帰ろう。こんな空気の悪い場所に長居すると、体に障る」

彼は私の肩を抱き、エメラルダ様に背を向けた。

「ま、待ちなさいよ!」

エメラルダ様が金切り声を上げた。

「まだ終わってないわ! 勝手に帰るなんて許さない!」

「うるさい」

アレクシス様は振り返りもせずに、指をパチンと鳴らした。 瞬間、エメラルダ様の足元が凍りつき、彼女の動きを封じた。

「キャッ!?」

「頭を冷やせ。……これ以上、私の妻に手出しをするなら、次は氷像にして美術館に寄贈するぞ」

彼はそう言い捨てて、私を連れて会場を後にした。 背後でエメラルダ様が何か叫んでいたが、私にはもう聞こえなかった。

          ***

馬車の中で、私はアレクシス様の胸に寄りかかって泣いた。

「ごめんなさい……恥ずかしい思いをさせて……」

「恥ずかしくなどない。堂々としていればいい」

彼は私の背中をポンポンと叩いた。

「でも、悔しいです。……私も、何かができるようになりたい。アレクシス様の隣に立っても恥ずかしくないように……」

私が言うと、彼は少し考えてから言った。

「……なら、私が教えてやる」

「え?」

「ダンスも、マナーも、歴史も。……私がすべて叩き込んでやる。スパルタだぞ?」

「……はい! お願いします!」

私は涙を拭いて頷いた。 守られているだけじゃ嫌だ。 私も強くなりたい。 この人の隣に、胸を張って立てるように。

こうして、私たちの「公爵夫人改造計画」が始まった。 だが、エメラルダ様がこれでおとなしく引き下がるはずがなかった。 彼女の執着心は、ここからさらに暴走し、やがて国を揺るがす大事件へと発展していくことになる。

そして、その事件がきっかけで、リリアナはアレクシス様の前から姿を消すことになるのだった――。
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