「君を愛することはない」と言った旦那様が、毎晩離してくれません。 ~白い結婚のはずが、契約書にない溺愛オプションが追加されている件について

ラムネ

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第十六話 奇跡の訪れと、パニック公爵

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「……リリアナ、口を開けろ」

「アレクシス様、自分で食べられますから」

「ダメだ。お前の手首は細すぎる。スプーンを持つだけで折れてしまいそうだ」

「折れません! そんなにヤワじゃありません!」

王妃主催の茶会から数週間。 公爵邸のダイニングルームでは、相変わらず――いや、以前にも増して甘ったるい攻防が繰り広げられていた。

アレクシス様は、私の隣(というか、椅子をくっつけてほぼ密着状態)に座り、甲斐甲斐しく食事を口に運んでくれる。 私の手は完全に「飾り」と化しており、フォークを持つことすら許されない。 さらに移動はすべて「お姫様抱っこ」が基本となり、私が自分の足で歩くのは、トイレと着替えの時くらいになってしまった。

「アレクシス様、過保護すぎます。これじゃ私、足の筋肉が衰えて歩けなくなってしまいます」

「構わん。一生私が抱いて運ぶ」

「……あきれました」

「惚気か? 可愛い奴め」

彼は私の頬にチュッとキスをし、満足げに笑った。 この「氷の公爵」、完全に溶けて蒸発しそうなほどデレデレである。 使用人たちも最初は当てられて赤面していたが、最近では「はいはい、いつものですね」と生温かい目で見守る(あるいは無視する)スキルを習得していた。

平和だ。 エメラルダ王女の騒動も落ち着き、私の実家も完全に沈黙し、社交界でも「公爵夫人は公爵の『最愛』であり『弱点』」という認識が広まったおかげで、誰も手出しをしてこなくなった。

幸せすぎて、怖い。 昔の私ならそう思ったかもしれない。 でも今は、この幸せが明日も明後日も続くと信じられる。 隣にいる彼が、絶対に私を守ってくれると分かっているから。

「……うっ」

不意に。 胃の奥から、突き上げるような不快感が込み上げてきた。

「……?」

目の前に差し出された、焼きたてのクロワッサン。 いつもなら大好物の、バターの芳醇な香り。 それが今は、なぜか鼻について気持ち悪い。

「……リリアナ?」

私の異変に気づき、アレクシス様の手が止まる。

「どうした? 顔色が悪いぞ」

「い、いえ……少し、胃が……」

私は口元を押さえた。 吐き気だ。 急激に視界が回り、冷や汗が噴き出す。 朝食の匂いが充満するこの部屋にいるだけで、息が詰まりそうだ。

「リリアナ!!」

アレクシス様がスプーンを投げ捨て、私を抱きとめた。

「どうした! どこが痛い!?」

「き、気持ち悪くて……うぷっ……」

限界だった。 私は彼の腕を振り払い、洗面所へと駆け込んだ。 そして、胃の中のものをすべて戻してしまった。

「リリアナ!!」

追いかけてきたアレクシス様が、私の背中をさする。 その手は小刻みに震えていた。

「毒か!? 朝食に毒が入っていたのか!?」

彼は血相を変えて叫んだ。

「セバスチャン!! 調理場の全員を拘束しろ! 毒見役は何をしていたんだ!!」

「ち、違います……毒じゃ……」

私は涙目で訴えたが、彼は聞く耳を持たない。

「すぐに医師を呼べ! 国中の名医を叩き起こして連れてこい!! 治療魔法を使える魔導師もだ!! 急げ!!」

屋敷中に彼の怒号が響き渡る。 再び、あの大暴走の悪夢が蘇るかのようなパニック状態だ。 廊下では使用人たちが走り回り、セバスチャンが蒼白な顔で指示を出している。

「はぁ、はぁ……アレクシス様、落ち着いて……」

私は洗面台にもたれかかりながら、必死に彼をなだめようとした。

「ただの……体調不良です……」

「ただの体調不良で、こんなに苦しむわけがない! 誰だ、誰が私のリリアナを害した! やはりエメラルダの残党か!? それとも政敵か!? 全員凍らせてやる!!」

彼の瞳から理性の光が消えかけ、周囲の気温が急降下し始めた。 洗面台の水滴が凍りつく。

「や、やめてください……寒いです……」

「っ!」

私が寒さを訴えると、彼はハッとして魔力を抑え込んだ。

「すまない……! 部屋に戻ろう。暖かくして……」

彼は私を壊れ物のように抱き上げ、寝室へと運んだ。 ベッドに寝かせられ、毛布を何枚もかけられる。

「死ぬな……リリアナ、頼むから死なないでくれ……」

彼は私の手を握りしめ、悲痛な声で祈り始めた。 いや、死にませんから。 ちょっと吐いただけですから。 でも、彼の必死な様子に、私は胸が痛むと同時に、申し訳なさでいっぱいになった。

          ***

数十分後。 公爵邸の寝室には、王都でも指折りの名医たちが集結していた。 内科、外科、魔法医、さらには毒物の専門家まで。 アレクシス様が「金に糸目はつけん、全員来い」と招集したドリームチームだ。

「……公爵閣下」

診察を終えた年配の医師が、神妙な顔つきでアレクシス様の前に立った。 アレクシス様は、今にも医師の胸倉を掴みそうな勢いで詰め寄った。

「どうなんだ! 毒の種類は特定できたのか!? 解毒剤はあるのか!?」

「い、いえ、毒ではありません」

「なら病気か!? 不治の病なのか!?」

「それも違います。……あの、閣下」

医師は少し困ったように、しかし温かい笑みを浮かべて言った。

「奥様のお体には、新しい命が宿っております」

「……は?」

アレクシス様の動きが止まった。 時が止まった。

「……命?」

「はい。ご懐妊です。今の吐き気は、つわりによるものでしょう」

シン……。

寝室に静寂が落ちた。 アレクシス様は、彫像のように固まったまま、医師の言葉を反芻しているようだった。

「懐妊……?」

「はい。妊娠二ヶ月といったところでしょうか。母子ともに健康ですよ」

医師の言葉が、ゆっくりと、しかし確実に彼の脳に浸透していく。

アレクシス様が、恐る恐る振り返り、ベッドの上の私を見た。 その瞳は大きく見開かれ、信じられないものを見るように揺れている。

「リリアナ……?」

「……はい」

私は恥ずかしさと、込み上げる嬉しさで、顔を赤くして頷いた。 実は、心当たりはあったのだ。 最近、体が熱っぽかったり、やたらと眠かったり。 そして何より、あれだけ愛し合っていたのだから。

「……子供、か?」

「はい。……貴方と、私の赤ちゃんです」

私が答えた瞬間。

ボロボロ……ッ。

アレクシス様の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

「えっ!?」

私は驚いた。 彼が泣くなんて。 あの離縁騒動の時でさえ、怒りと悲しみで凍りついていた彼が、今は子供のように泣きじゃくっている。

「……あ、あぁ……」

彼はよろめくようにベッドに近づき、膝をついた。 そして、私の手を両手で包み込み、額を押し付けた。

「ありがとう……ありがとう、リリアナ……!」

「アレクシス様……」

「私の家族が……お前との愛の結晶が……ここにいるのか……」

彼は震える手で、私の平らな腹部にそっと触れた。 壊れ物に触れるよりも慎重に。 畏敬の念すら感じる手つきで。

「……嬉しい」

彼が絞り出すように言った。

「こんなに嬉しいことが、あっていいのか……。私のような人間に、こんな幸せが……」

「アレクシス様だからこそ、です」

私は彼の手の上に自分の手を重ねた。

「貴方が私を愛してくれたから。……貴方が私を守ってくれたから、この子が来てくれたんです」

「……リリアナ」

彼は顔を上げた。 涙で濡れたアイスブルーの瞳は、宝石よりも美しく輝いていた。

「誓うよ」

彼は力強く宣言した。

「この子は、私が守る。お前も、この子も、絶対に幸せにする。……私の命に代えても」

「命に代えてはいけません。……三人で、幸せになるんです」

私が訂正すると、彼は泣き笑いのような顔をして、何度も頷いた。

「ああ、そうだな。……三人で、生きよう」

部屋にいた医師たちや、廊下で聞き耳を立てていた使用人たちからも、すすり泣く声や、歓喜の声が漏れ聞こえてきた。 公爵邸は、かつてないほどの温かい祝福の空気に包まれた。

          ***

妊娠が判明してからというもの、アレクシス様の「過保護」は、もはや「異常」の域に達していた。

「リリアナ、歩くな。床が硬い」

「絨毯敷きですけど」

「階段は禁止だ。段差も禁止だ。……いや、もうベッドから出るな」

「トイレくらい行かせてください」

彼は本気で、私を綿で包んで箱に入れておきたいようだった。 屋敷中の床には、転倒防止のためにさらに分厚い絨毯が敷かれ(フカフカすぎて逆に歩きにくい)、角という角にはクッション材が取り付けられた。 屋敷の外観は要塞化し、庭の小石一つに至るまで、彼の手によって「危険物」として排除された。

「アレクシス様、やりすぎです。使用人たちが困っています」

「知らん。妊婦にストレスは厳禁だ」

「貴方のその過剰な対策がストレスなんですけど……」

私が溜息をつくと、彼はシュンとして、子犬のような目でこちらを見てくる。 卑怯だ。そんな顔をされたら強く言えない。

ある日のこと。 アレクシス様が、大量の本を抱えて帰宅した。

「それは?」

「育児書と、名付けの本だ」

彼はドサリと本をテーブルに置いた。

「まだ早くないですか? 生まれるまで半年以上ありますよ」

「準備に早すぎるということはない。……見てみろ、この『名付けの技法書』という本には、名前が人生を決めると書いてある。画数、響き、意味……すべてにおいて完璧な名前を考えねばならん」

彼は真剣な顔で本を開いた。 パラパラとめくりながら、ぶつぶつと呟いている。

「『音の響きが性格に影響する』か……ふむ。濁音は強さを表すが、女の子なら柔らかい響きがいいな。『リ』の音は知的で美しい……やはりリリアナに似た名前がいいか」

「男の子かもしれませんよ?」

「男なら……私のように不器用にはしたくないな。もっと愛想が良くて、要領の良い子に……」

「私は、アレクシス様に似た男の子がいいですけど」

私が言うと、彼は顔を赤くして本に視線を落とした。

「……そ、そうか。なら、アレク……いや、同じ名前は紛らわしいな」

彼は幸せそうに悩み始めた。 その横顔を見ているだけで、私も幸せな気持ちになる。

「あ、そうだ。これも買ってきた」

彼が取り出したのは、小さな、本当に小さな靴下だった。 純白のレースで編まれた、ベビーシューズ。

「……まだ性別も分からないが、可愛くてつい」

「ふふ、気が早いですね」

私はその靴下を手に取った。 私の親指くらいの大きさしかない。 こんなに小さな足の子が、私のお腹の中にいるんだ。

「……守らなきゃね」

「ああ。絶対にだ」

アレクシス様は、後ろから私を抱きしめ、お腹に手を添えた。

「……動いたか?」

「まだですよ。胎動が分かるのはもっと先です」

「そうか。……早く会いたいな」

「はい」

私たちは、まだ見ぬ我が子に思いを馳せながら、穏やかな時間を過ごした。

          ***

しかし、平和な日々には、時折小さな波紋が立つものだ。

「公爵閣下、ご懐妊おめでとうございます!」

とある日、屋敷に珍客が訪れた。 以前、アレクシス様の嫉妬の炎(氷)でボコボコにされた、近衛騎士のレオナルド様だ。 彼は懲りずに、満面の笑みでお祝いの品を持ってやってきたのだ。

「これは俺の実家で採れた最高級のフルーツです! つわりの時期でも食べやすいかと!」

「……ほう」

アレクシス様は、籠いっぱいのフルーツを冷ややかに見下ろした。

「毒見は済んでいるんだろうな?」

「もちろんです! 俺が一個食べました!」

「……まあ、いいだろう。リリアナは果物が好きだからな」

アレクシス様は渋々受け取った。 レオナルド様は、ほっとしたように胸を撫で下ろし、そして私の方を向いた。

「奥様、お体の具合はいかがですか? 顔色が良さそうで安心しました!」

「ありがとうございます、レオナルド様。おかげさまで……」

私が微笑んで答えようとすると。

ズズズ……ッ。

アレクシス様の周囲の気温が下がった。 まただ。 条件反射のように、他の男が私に話しかけると自動的に冷却機能が作動するシステム。

「……レオナルド。長居は無用だ」

「えっ、まだ来たばかり……」

「帰れ。妻が疲れる」

「そ、そんなぁ……せめて赤ちゃんの名前の候補とか、聞かせてくださいよ!」

レオナルド様が食い下がると、アレクシス様はニヤリと笑った。

「名前か。……男なら『レオナルド』には絶対にしないことだけは決めている」

「ひどっ!?」

「軽薄な男になりそうだからな」

「ひどすぎます閣下!!」

レオナルド様の悲鳴が響き、私は思わずクスクスと笑ってしまった。 以前なら凍りついていた場面も、今ではこんな風に笑い話になる。 アレクシス様も、嫉妬はするけれど、以前のような殺気はない。 心に余裕ができた証拠だろう。

          ***

季節は巡り、私のお腹も目立つようになってきた。

アレクシス様は、公務を早めに切り上げて帰宅し、私のお腹に話しかけるのが日課になっていた。 胎教に良いと言って、絵本を読んだり(声が低すぎて逆に怖くないか心配だが)、クラシック音楽を流したりしている。

ある夜。 ベッドの中で、アレクシス様が私のお腹を撫でながら言った。

「……リリアナ」

「はい」

「私は……良い父親になれるだろうか」

「なれますよ。間違いなく」

私は即答した。

「だって、こんなに子供のことを考えて、愛しているんですもの」

「……私の父は、冷たい人だった。母も、私に関心を持たなかった」

彼は静かに過去を語り始めた。

「私は、家庭の温かさというものを知らずに育った。……愛し方が分からなかった。だから、お前にも最初はひどいことを言った」

彼の手が震えている。

「もし、私が父のように……この子を冷たく扱ってしまったら……」

「そんなこと、ありえません」

私は彼の手をギュッと握った。

「貴方は、お義父様とは違います。貴方は、私の痛みに気づいて泣いてくれる人です。私のために世界を敵に回せる人です。……そんな人が、冷たい父親になるはずがありません」

「……そうか」

「それに、もし貴方が厳しくしすぎたら、私が叱りますから」

「……ふっ、それは怖いな」

彼は苦笑し、私のおでこにキスをした。

「ありがとう、リリアナ。……お前がいてくれてよかった」

「私もです」

私たちは抱き合って眠りについた。 お腹の中の赤ちゃんも、安心したようにポコッと動いた気がした。

          ***

出産予定日まで、あと一ヶ月。 公爵邸は、新しい家族を迎える準備で大忙しだった。

子供部屋は、アレクシス様のDIY(魔法による工作)によって、素晴らしい空間に仕上がっていた。 天井には氷魔法で作られたモビールがキラキラと回り(溶けない特殊な氷らしい)、壁には可愛らしい動物の絵が描かれている。 ベビーベッドは最高級の木材を使い、布団は雲のようにふわふわだ。

「完璧だ」

アレクシス様は腕組みをして、子供部屋を満足げに見渡した。

「あとは、主役の登場を待つだけだな」

「そうですね。……ふふ、楽しみです」

私が微笑んだ、その時だった。

ズキン。

下腹部に、鋭い痛みが走った。

「……っ!」

「リリアナ?」

「い、痛い……」

「どうした!? 陣痛か!? まだ予定日までは……」

「分かりません……でも、いつもの張りとは違う……」

冷や汗が出る。 痛みの波が、さざ波のように押し寄せてくる。

「セバスチャン!! 医師を呼べ!!」

アレクシス様が私を抱きかかえ、叫んだ。 その顔は、妊娠発覚の時と同じくらい蒼白だった。

「しっかりしろ! 私がついている!」

「は、はい……」

予定より少し早い、命のドラマの幕開けだった。 氷の公爵と、灰かぶり姫の物語は、いよいよ新しい章へと突入する。 二人の愛の結晶が、この世界に産声を上げる瞬間まで、あと少し。

だが、出産は命がけだ。 ましてや、私のような体の弱い人間にとっては。

「……アレクシス様、もし私に何かあったら……」

「言うな!!」

彼は私の口を塞いだ。 その目は、怒りと、そして深い恐怖で揺れていた。

「そんなことは絶対にさせない。……神になんか連れて行かせない。お前も、子供も、私がこの手で必ず守り抜く!」

彼の悲痛な叫びと共に、私は分娩室へと運ばれていった。 長く、苦しい夜が始まろうとしていた。
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