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グリーンプラント②
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グリーンプラントの入口に到着した一行はラクダを降り、建物へと入って行った。
入口へ入ると、乾燥した砂漠とは違い、ドーム内はむせ返るような蒸し暑さで、熱帯、亜熱帯の植物が所狭しと植えられていた。
ドリアンやパッションフルーツ、パパイヤなどのフルーツもあった。
『朝食のフルーツはここから届けて貰っているんだよ。今朝のバナナやパイナップルもね!』
施設長と会議があると言って、ギムレットはドームの使用人にメイファの案内を任せ、何処かへ行ってしまった。
『驚かれましたか?ギムレット殿下はこの研究施設で育てている植物をこの国の土地でも一般的に育てられるよう改良し農業を栄えさせようとなさっているのですよ。』
『素晴らしい指導者です』
甘い香りがドーム内を満たしている。
色とりどりの花も綺麗だった。
時々ギムレットから薫る甘い匂いと同じだ…とメイファは気づいた。
「ステキ…」
メイファは言葉少なに感動を伝えた。
植物の間を縫うように浅い小川が流れていた。
『地下から汲み上げた水を流しています。』
と説明してくれた。
ドーム内は密閉ではなく、外からの風も入ってきているが、やはり蒸し暑さはあり、メイファは汗ばんでいた。
片足を小川につけて、ちゃぷちゃぷっとすると冷えて気持ちが良い。
「気持ちいい~~」
火照った身体がスーッとするようだった。
「入っちゃえ~」
メイファは堪らず、小川に両足をつけ、じゃぶじゃぶと歩き出した。
小川の底に敷き詰められている小石がキラキラと輝いている。
アンリが、ちゃんと大人しくしておくように注意しようとしたその時、ギムレットが戻ってきた。
『気に入ってくれたかな?ケイト』
小川ではしゃぐメイファをみて、ギムレットは目を細めていた。
ギムレットも中に入り、小川の緣の平たい岩に腰掛け、ホレッとフルーツを投げてきた。
『ライチだよ、食べよう』
パシッと受け取ったメイファは、ギムレットの横にちょこんっと腰かけた。
ライチは初めてである。
剥き方が分からず、四苦八苦していると、ギムレットは爪でプリッと皮を剥き、中の白い果実をメイファの口元に運んでだ。
『ほれ、こうして食べるんだ』
メイファは、白い果実に思わずかぶりついてしまった。たっぷりの甘みと程よい酸味の果汁が口の中で溢れた。
「美味しい…」
『ほんと、美味そうに食うなぁ、、』
半ば呆れたように笑ったが、その瞳は優しかった。
『少し休ませてくれ』と従者達に伝え、ギムレットは人払いをした。
2人はしばらく、地下水の小川の流れを感じながら腰掛けていた。
無言でも心地よい空気が流れている。2人ともそれぞれの想いに耽っている。
しばらくしてメイファから口を開いた。
「ギムレット、私…貴方のこと少し見直しましたわ」
メイファは、この数日で感じていたことを語り出した。
「デューク王国の繁栄は貴方の努力の賜物ですわね」
メイファは照れ隠しに足をバタバタさせ、それに合わせて川の水は跳ね上がった。
『らしくないこと言ってんなー、メイファ』
隣に座り、俯きながら話すメイファの頭を自分の方にグイッと寄せた。
そして頭をくしゃくしゃに撫でた。
「何するの、髪が乱れますわっ。こういうことは失礼ですわよ」
『ハハハ…いーじゃないか。私たちは夫婦なんだ。普通はこんな事もするもんだよ』
そう言って、メイファの顎にクイッと手を添え、顔を寄せて口づけをした。
「な、な、何を……………」
蒸し暑さもあり、口元に手をやり、身を硬くしたメイファの顔はますます上気した。目を丸く見開いたまま何も言えないでいる。
『ハハハ…これくらいのこと早く慣れろっ』
メイファを見つめながらギムレットは言った。
『もう一度いいかい?』
「もうダメ…もう結構ですわ」そういうメイファの返事を待たず、ギムレットは口づけをした。
『もう一度…』
「ダメですってば………あぁもぅ…」
メイファはゆっくり目を閉じた。
入口へ入ると、乾燥した砂漠とは違い、ドーム内はむせ返るような蒸し暑さで、熱帯、亜熱帯の植物が所狭しと植えられていた。
ドリアンやパッションフルーツ、パパイヤなどのフルーツもあった。
『朝食のフルーツはここから届けて貰っているんだよ。今朝のバナナやパイナップルもね!』
施設長と会議があると言って、ギムレットはドームの使用人にメイファの案内を任せ、何処かへ行ってしまった。
『驚かれましたか?ギムレット殿下はこの研究施設で育てている植物をこの国の土地でも一般的に育てられるよう改良し農業を栄えさせようとなさっているのですよ。』
『素晴らしい指導者です』
甘い香りがドーム内を満たしている。
色とりどりの花も綺麗だった。
時々ギムレットから薫る甘い匂いと同じだ…とメイファは気づいた。
「ステキ…」
メイファは言葉少なに感動を伝えた。
植物の間を縫うように浅い小川が流れていた。
『地下から汲み上げた水を流しています。』
と説明してくれた。
ドーム内は密閉ではなく、外からの風も入ってきているが、やはり蒸し暑さはあり、メイファは汗ばんでいた。
片足を小川につけて、ちゃぷちゃぷっとすると冷えて気持ちが良い。
「気持ちいい~~」
火照った身体がスーッとするようだった。
「入っちゃえ~」
メイファは堪らず、小川に両足をつけ、じゃぶじゃぶと歩き出した。
小川の底に敷き詰められている小石がキラキラと輝いている。
アンリが、ちゃんと大人しくしておくように注意しようとしたその時、ギムレットが戻ってきた。
『気に入ってくれたかな?ケイト』
小川ではしゃぐメイファをみて、ギムレットは目を細めていた。
ギムレットも中に入り、小川の緣の平たい岩に腰掛け、ホレッとフルーツを投げてきた。
『ライチだよ、食べよう』
パシッと受け取ったメイファは、ギムレットの横にちょこんっと腰かけた。
ライチは初めてである。
剥き方が分からず、四苦八苦していると、ギムレットは爪でプリッと皮を剥き、中の白い果実をメイファの口元に運んでだ。
『ほれ、こうして食べるんだ』
メイファは、白い果実に思わずかぶりついてしまった。たっぷりの甘みと程よい酸味の果汁が口の中で溢れた。
「美味しい…」
『ほんと、美味そうに食うなぁ、、』
半ば呆れたように笑ったが、その瞳は優しかった。
『少し休ませてくれ』と従者達に伝え、ギムレットは人払いをした。
2人はしばらく、地下水の小川の流れを感じながら腰掛けていた。
無言でも心地よい空気が流れている。2人ともそれぞれの想いに耽っている。
しばらくしてメイファから口を開いた。
「ギムレット、私…貴方のこと少し見直しましたわ」
メイファは、この数日で感じていたことを語り出した。
「デューク王国の繁栄は貴方の努力の賜物ですわね」
メイファは照れ隠しに足をバタバタさせ、それに合わせて川の水は跳ね上がった。
『らしくないこと言ってんなー、メイファ』
隣に座り、俯きながら話すメイファの頭を自分の方にグイッと寄せた。
そして頭をくしゃくしゃに撫でた。
「何するの、髪が乱れますわっ。こういうことは失礼ですわよ」
『ハハハ…いーじゃないか。私たちは夫婦なんだ。普通はこんな事もするもんだよ』
そう言って、メイファの顎にクイッと手を添え、顔を寄せて口づけをした。
「な、な、何を……………」
蒸し暑さもあり、口元に手をやり、身を硬くしたメイファの顔はますます上気した。目を丸く見開いたまま何も言えないでいる。
『ハハハ…これくらいのこと早く慣れろっ』
メイファを見つめながらギムレットは言った。
『もう一度いいかい?』
「もうダメ…もう結構ですわ」そういうメイファの返事を待たず、ギムレットは口づけをした。
『もう一度…』
「ダメですってば………あぁもぅ…」
メイファはゆっくり目を閉じた。
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