悪魔の子

らろぱ

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夜が明けて周りが明るくなると各々のテントから続々と人が出てきた。

「今日から始まるのか…」
緊張感からか震えるサイの足を見てアベルはサイの頭を撫でた。
アベルは頭を撫でていると、ふと幼い息子のことを思い出し、少し気分が落ち込んだ。

「大丈夫さ、俺が守ってやる」
不思議と安心感につつまれたサイは「ありがとう」とお礼を言い、支給された朝食を食べているドーマスの隣に座った。

「これはサイの分な」とアベルに缶詰を手渡された。
サイの不満じみた顔を見て、ドーマスは「この戦いが終われば、また村のみんなで美味しいご飯が食べれるからな」と励ました。

皆が朝食を食べている最中にどこからか「貴族様のお通りだぜ」と声が聞こえた。

ロウとアヤがどこかへ向かっていた。
去り際になるまでは誰も口を開けなかった。
それほど前の出来事に恐れを為したのだろう。

サイは2人に尋ねた。
「貴族の人たちって何をしに来たの?」

2人は愕然としていた。

アベルは「サイは都会に行ったことがないから、何も知らないよな」と言うとドーマスは「そうだよな」と苦笑いした。

そして、咳払いをして場を切り替えてドーマスは話始めた。

「昨日も見たように貴族の人たちは魔法を使えるんだよ」

それを聞いてサイは笑った。
「冗談はよしてくれ」

「サイ…これは冗談なんかじゃない
本当の事なんだぞ?」

アベルが真剣そうに表情をしたのでサイの笑いは止まった。

「そんな空想的な事が貴族には出来るの?」

半信半疑にサイは尋ねるとドーマスが1から説明してくれた。

「元々魔法は貴族、平民関係なく使えるものだった。
それがある日、貴族に対して革命を起こして貴族がトップの社会を変えようとした平民達が魔法を使って、貴族に対抗し貴族を何人も殺した。その恨みから貴族は平民から魔法を取り上げて、その革命に関わった平民達を悪魔の子と呼び、今も大罪人として扱われている。
その事件もあり、国が荒れ、結果として残った貴族達の仲違いにより、国は崩壊しいくつかの国に別れた。
そのせいで今みたいな戦争が起こるんだよ。」

サイはアヤの言葉を思い出した。
「皆が平等に住める国に私はする!」

心の中の何かが暴れ、サイはうずくまった。

「大丈夫か!?サイ!」

アベルの声が遠退くのを感じ、サイはそのまま気絶した。

目を覚ましたサイは医療用のテントにいた。

そして隣にいたアベルが「良かった」と安心し、サイの手を握った。

「ただの気絶ですね」
と白髪のおじいさんがサイが脈を測った。

「大丈夫だな」

「ありがとうございました。サイ立てるか?」

アベルに支えられながらテントを出るとドーマスがいた。

「サイ大丈夫か?」

「あぁただ目まいがしただけさ」
とその場でサイが跳び跳ねると、ドーマスは微笑んだ。

「それで進展はありましたか?」

アベルのその言葉にサイは首を振った。

「ここにきた以上は戦ってもらうしかないと、
どれだけ、犠牲を払わせるんだ司令部は!」
 と苛立ちを隠せないドーマスは近くにあった気を殴った。

そしてアベルは「サイ、身の危険を感じたら、すぐに逃げるんだ」とサイに釘を指すと「分かった」と返事をした。

兵士達が集まっているところに3人は向かうと
「では兵士の整列を始める!呼ばれた者はここに並べ!」
と偉そうなおじさんは叫んだ。

「あれが総司令だ、そして今から突撃する順番を教えられるから、よく聞いておけ」
とドーマスに説明され、2人の緊張感は高まった。

「では一軍から!」
総司令は名前を呼び始めた。

「一軍だけは回避したいなぁ
一軍から生き延びたのなんてあの、若き兵士だけらしいぜ?」

「またその話か、もういいよ」

ここに来るまでの馬車に乗っていた2人の話し声が聞こえ、3人を不安に包み込んだ。

一軍には屈強な人ばかり呼ばれていた。
最後の1人を呼ばれるときには、辺りを見回しても、屈強な男はアベルしか残っていなかった。
「…アベル!」
呼び間違いだと思い、アベルはその場に立ち尽くすと「何をしている!早く来るんだ!」
と叫ばれ、アベルは頭が真っ白になった。

そして次に二軍が呼ばれ、そこにはサイとドーマスが呼ばれた。

戦場に行く前に少しの自由時間を設けられる。
その時間が一番苦痛の時であるのは、アベルが呼ばれた一軍の兵士だ。

「アベル、少し話そう。サイはここに居てくれ」

そして、サイはどこかに向かう2人の背中を見て立ち尽くすだけであった。

2人は深刻そうな表情をして帰ってきた。
「絶対、生き残ろう」

サイの決意が溢れる目を見た2人は「そうだな」と微笑んだ。

最後の自由時間が終わり、一軍の兵士が呼ばれ、アベルは「じゃあ行ってくるわ」と哀しみのなかに笑顔を浮かべ、2人の元を去った。

一軍が戦場に出ると、今度は二軍が呼ばれた。

ドーマスとサイは兵士達の中で行進をし、戦場に立った。
二軍が戦場につく頃には一軍は配置についており、いつでも出撃できる準備を二軍はした。

「なんだあれ…?」
サイは息をのんだ。
空には大きい魔方陣が浮かんでいた。

「敵の貴族だ、でかいのが来るぞ」

そして号砲が鳴り、一軍は敵軍めがけて走り出した。

アベルは先程ドーマスから教わった事の1つである、味方に遅れを取らない事を守り、懸命に走り続けた。

魔方陣が歪み始めると、戦場に人が吹き飛ばされるほどの風が吹いた。

走り出していた一軍は物陰に隠れやり過ごした。

そして、魔方陣から巨大な石で出来たロボットのような物が数十体現れた。

「あれは…なんだ?」
サイが絶望した顔で見ていると、それは少しずつ動き始め、足元を通過しようとした一軍を踏み潰した。

「あれはゴーレムだ。
頭にある光る宝石を壊せば動きは停止するが、訓練を受けていない平民で組まれた歩兵には勝ち目はないぞ…」

「そんな…」
ドーマスの言葉がますますサイの不安を煽った。
それは他の二軍の歩兵も持っており、
中には戦場から逃げ出す人たちもおた。

「アベルは…大丈夫なのかな…」

大丈夫さ、と言うことも出来ないドーマスは「くそ!」と苛立っていた。

すると自陣の方から1つの光がゴーレム目掛て、打ち込まれた。

1体のゴーレムの頭にある宝石を壊すとゴーレムはその場に倒れ、動きが停止した。

するとまたたくまに、二軍内で歓声が湧いた。

「救世主だ…!」
と自陣を向き、土下座するものもいた。

自陣には弓を持ったアヤと拍手をするロウがいた。

「ドーマス…これなら勝てるぞ!」
とサイが嬉しそうに話しかけると、ドーマスは「不味いな」と一言漏らした。




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