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~プロローグ~ 動き出す闇の一族
鬼神族最強の姫君2
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「黒鷹、これは殲滅呪詛だよ! 触ったら駄目だ!」
燃え上がる相手を一目見た途端、コマが叫んだ。
角の生えた鎧のようなその相手は、確かに異様な気配を放っていた。
周囲の磁場は怨嗟の輝きに満ち、全身から激しい炎が立ち昇っている。相当な高温であろうし、触れればタダでは済まないだろう。
「殲滅呪詛って、対策は? 倒す方法は無いのか」
誠は相手を見据えながら尋ねた。
「捨て身の技だし、使い手がもたないからあまり長くは使えないよ。攻略するならそれ以上の霊気で押し切るしかないけど……死に際の呪いをもらうかも知れない。放っておいた方がいいよ」
コマはそうアドバイスをくれるが、誠は首を振った。
「宮島も難波もダメージを受けてる、多分逃げ切れない」
そうするうちにも、相手は巨大な刀を構え、真一文字に突進して来る。
誠が咄嗟に横にかわすと、攻撃を受けた木々が青紫の煙を上げて蒸発した。
鎧は頭部の口を開き、挑発の言葉をかけてくる。
「どうした腰抜け、逃げても埒があかないだろ? それでも人族一の使い手かい!?」
誠は覚悟を決めて鶴に頼んだ。
「ヒメ子、もっかい頼む!」
「分かったわ黒鷹、気をつけてね!」
鶴は頷くと、目を閉じて何事か念じ始める。
すると誠の機体の全身を、白い輝きが覆っていった。あの炎に対抗するべく、機体を保護する光なのだろう。
誠は突進する相手を待ち受け、強化刀を前に構える。
「ようやくその気になったかい、だったらこっちも全力だよ!!!」
鎧が叫ぶと、身を覆う炎が一際強く燃え上がった。
(……右から振り上げて袈裟斬りか……!)
誠の脳裏に、相手の動きが映像となって現れた。
環境変異の影響で、視細胞が特殊な変化を遂げた誠は、相手の周囲の磁場が見える。
相手が何か考えれば、必ずその磁場が乱れるため、誠はそこから敵の動きを予測出来るようになっていたのだ。
誠は機体の属性添加機を操作、強い慣性推進力を生み出すと、瞬時に相手の懐に飛び込んだ。
丁度刀を振り上げたタイミングだったため、敵はがらあきの胴を晒していた。先ほど対決した鎧達も、この方法で攻撃の出鼻を狙ったのだ。
「ちいいっ、こいつ!?」
鎧は叫び、片足で地を踏みしめて急ブレーキ。そこで磁場が再び揺らいだ。敵が反撃をしようとしている証拠だ。
(下から前蹴り……注意を下に引き付けて、上から切り下ろしか……!)
誠は左方向へ機体をずらし、相手の蹴り足を空振りさせる。
続けて振り下ろされた太刀もかわすと、相手の斜め下から、逆袈裟斬りに切り上げた。
……が、敵は咄嗟に太刀から片手をはなし、肘のあたりでこれを受ける。
腕一本を切り飛ばされながらも、間一髪、体ごと両断されるのを防いだのだ。
「……すごいな、これもかわすのか……!」
誠は素直に感心していた。
こちらに動きを先読みされ、常に隙を狙われながらも、咄嗟の判断で致命傷を避けている。明らかに並大抵の技量では無い。
相手は素早く大地を転がり、太刀を杖代わりにして身を起こすが、落ちた腕は痙攣して指先を動かし、激しい炎と黒煙を立ち昇らせていた。
本体から離れたから、あの術が暴走しているのか?
鎧の本体は、何かの理屈であの炎と力を制御しているが、一度制御が崩れれば、炎は暴走して鎧を焼き尽くすのだろう。
コマの言う通り、これ以上深入りする必要は無い。
一連の攻防で隊員達から引き離せたし、かなり消耗させられた。十分目的は達せられたのだ。
「ぐおおおっ、貴様らあああっ!!!」
鎧は怒り狂って突進するが、かなり動きが鈍っている。
そろそろ限界が近いのだろうが、それでも相手は退かず、尚も闘志を漲らせている。
「凄い精神力だな。コマ、あいつ一体何者なんだ?」
「……ごめん黒鷹、僕からは言えないよ」
コマはそう言って首を振った。
「言えないけど……大体察しがつくだろう?」
「それは……」
誠が答えかけた時、後ろから鶴が叫んだ。
「ねえ黒鷹、他の鎧が追いついて来たわ!」
「くそっ、また面倒臭いのが来たな……!」
誠が答えるのとほぼ同時に、激しい地響きが聞こえ始めた。
残りの鎧が駆けつける足音であり、どんどんこちらに近づいて来るのだ。
「姫さあああん、刹鬼姫ぇっ、今行くぞおおおっ!!!」
呼び声も高らかに駆け寄ったのは、巨大な金棒を持つ先ほどの鎧である。
燃え上がる相手を一目見た途端、コマが叫んだ。
角の生えた鎧のようなその相手は、確かに異様な気配を放っていた。
周囲の磁場は怨嗟の輝きに満ち、全身から激しい炎が立ち昇っている。相当な高温であろうし、触れればタダでは済まないだろう。
「殲滅呪詛って、対策は? 倒す方法は無いのか」
誠は相手を見据えながら尋ねた。
「捨て身の技だし、使い手がもたないからあまり長くは使えないよ。攻略するならそれ以上の霊気で押し切るしかないけど……死に際の呪いをもらうかも知れない。放っておいた方がいいよ」
コマはそうアドバイスをくれるが、誠は首を振った。
「宮島も難波もダメージを受けてる、多分逃げ切れない」
そうするうちにも、相手は巨大な刀を構え、真一文字に突進して来る。
誠が咄嗟に横にかわすと、攻撃を受けた木々が青紫の煙を上げて蒸発した。
鎧は頭部の口を開き、挑発の言葉をかけてくる。
「どうした腰抜け、逃げても埒があかないだろ? それでも人族一の使い手かい!?」
誠は覚悟を決めて鶴に頼んだ。
「ヒメ子、もっかい頼む!」
「分かったわ黒鷹、気をつけてね!」
鶴は頷くと、目を閉じて何事か念じ始める。
すると誠の機体の全身を、白い輝きが覆っていった。あの炎に対抗するべく、機体を保護する光なのだろう。
誠は突進する相手を待ち受け、強化刀を前に構える。
「ようやくその気になったかい、だったらこっちも全力だよ!!!」
鎧が叫ぶと、身を覆う炎が一際強く燃え上がった。
(……右から振り上げて袈裟斬りか……!)
誠の脳裏に、相手の動きが映像となって現れた。
環境変異の影響で、視細胞が特殊な変化を遂げた誠は、相手の周囲の磁場が見える。
相手が何か考えれば、必ずその磁場が乱れるため、誠はそこから敵の動きを予測出来るようになっていたのだ。
誠は機体の属性添加機を操作、強い慣性推進力を生み出すと、瞬時に相手の懐に飛び込んだ。
丁度刀を振り上げたタイミングだったため、敵はがらあきの胴を晒していた。先ほど対決した鎧達も、この方法で攻撃の出鼻を狙ったのだ。
「ちいいっ、こいつ!?」
鎧は叫び、片足で地を踏みしめて急ブレーキ。そこで磁場が再び揺らいだ。敵が反撃をしようとしている証拠だ。
(下から前蹴り……注意を下に引き付けて、上から切り下ろしか……!)
誠は左方向へ機体をずらし、相手の蹴り足を空振りさせる。
続けて振り下ろされた太刀もかわすと、相手の斜め下から、逆袈裟斬りに切り上げた。
……が、敵は咄嗟に太刀から片手をはなし、肘のあたりでこれを受ける。
腕一本を切り飛ばされながらも、間一髪、体ごと両断されるのを防いだのだ。
「……すごいな、これもかわすのか……!」
誠は素直に感心していた。
こちらに動きを先読みされ、常に隙を狙われながらも、咄嗟の判断で致命傷を避けている。明らかに並大抵の技量では無い。
相手は素早く大地を転がり、太刀を杖代わりにして身を起こすが、落ちた腕は痙攣して指先を動かし、激しい炎と黒煙を立ち昇らせていた。
本体から離れたから、あの術が暴走しているのか?
鎧の本体は、何かの理屈であの炎と力を制御しているが、一度制御が崩れれば、炎は暴走して鎧を焼き尽くすのだろう。
コマの言う通り、これ以上深入りする必要は無い。
一連の攻防で隊員達から引き離せたし、かなり消耗させられた。十分目的は達せられたのだ。
「ぐおおおっ、貴様らあああっ!!!」
鎧は怒り狂って突進するが、かなり動きが鈍っている。
そろそろ限界が近いのだろうが、それでも相手は退かず、尚も闘志を漲らせている。
「凄い精神力だな。コマ、あいつ一体何者なんだ?」
「……ごめん黒鷹、僕からは言えないよ」
コマはそう言って首を振った。
「言えないけど……大体察しがつくだろう?」
「それは……」
誠が答えかけた時、後ろから鶴が叫んだ。
「ねえ黒鷹、他の鎧が追いついて来たわ!」
「くそっ、また面倒臭いのが来たな……!」
誠が答えるのとほぼ同時に、激しい地響きが聞こえ始めた。
残りの鎧が駆けつける足音であり、どんどんこちらに近づいて来るのだ。
「姫さあああん、刹鬼姫ぇっ、今行くぞおおおっ!!!」
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