73 / 90
第二章その6 ~目指すは阿蘇山!~ 火の社攻略編
始まりと終わりは同じ
しおりを挟む
明朝、いよいよ作戦行動が開始された。
鹿児島を出発した各戦力は、海と陸から火の山・阿蘇を目指すのだ。
誠達が重機を操作し、輸送車両に搭乗すると、大勢の声が聞こえてくる。
「何だ……?」
誠は機体のモニターで確認する。
目を凝らすと、避難区の建物のあちこちから、沢山の人が手を振っているのだ。
大人も子供も、皆が身を乗り出して見送っている。
誠達がコクピットハッチを開くと、子供達は喜び、がんばれーっ、と声を上げた。
舞い散る紙吹雪や紙テープ。鳴り響く陣太鼓や楽器。
『いつもありがとう!』『無事に帰ってきてね!』
そんな言葉の垂れ幕に加え、子供達の手描きの旗も飾られていた。
旗には人型重機や車両が描かれ、その横には、皆の笑顔に囲まれた九州の絵が描いてあった。
誰もが望んでいるのである。この悲しみの終わりを、苦難の時代に打ち勝つ事を。
そして自分達は、そのために戦うんだ。
そう思った時、誠の中に熱いものがこみ上げてきた。
「………なんかこう…………くるものがあるな」
誠が呟くと、機体の画面上で皆が頷いた。
鶴はコクピットハッチから身を乗り出し、子供達に手を振っている。瞳は少しうるんでいるようだ。
鶴の肩に乗るコマが、元気良く前足を上げて言った。
「頑張ろうよ鶴、これは何が何でも勝たないとさ」
「もちろんよコマ、きっとみんなが幸せに暮らせるようにしてみせるわ。そしたら私は、心置きなく遊べるから」
「そこだけはブレないねほんと!」
誠がモニターで子供達の絵を拡大すると、隅っこにちょんまげ姿の香川がいて、「がんばれ殿!」と書いてあった。
画面で香川を確認すると、彼はこういう時は怒らず、手で涙をぬぐっていた。
「そうだ、殿だぞ……! 任せとけ、絶対何とかするからな……!」
そこからは、ただひたすらに陸路を走った。
阿蘇に近づくにつれて通信妨害の霧は濃くなるが、鶴の霊力によって通信が可能なので、各隊がタイミングを合わせて敵の社に迫る算段である。
『北上ルート、ポイント八代通過。現在異常なし』
各地点を通過する度、運転する車両班から簡潔な報告が入ってくる。
『別府ルート、旧竹田市を通過。餓霊との会敵なし』
『島原ルート、旧熊本市街到着。こちらも会敵なし』
別働隊からの報告も、全て問題ないようである。
機体の画面上で、不意に壮太が呟いた。
「……なんかよ、静か過ぎるよな」
「静か過ぎるって、敵と会った方がいいって事?」
湯香里の問いに、壮太が首を振った。
「そーじゃねえけどさ。最後の戦いだってのに、なんか夢の中みたいだって思ってよ。晶はどう思う?」
「確かに……罠も待ち伏せもない。あんなに近寄れなかった阿蘇のお山に、いきなり易々と迫れるんだ。壮太でなくとも、変な気持ちになるさ」
晶もそう同意している。
「………………でもさ。あの日も、そうだったじゃない?」
湯香里が感慨深そうに呟いた。
「毎日同じような日が続いて……何も変わらないと思ってたけど、いきなりあんな事になって。みんないなくなっちゃってさ」
志布志隊の一同は、黙って湯香里の言葉を聞いていた。
彼らはあの始まりの日……高千穂から溢れ出した怪物と、最初に出会った人々なのだ。
どんな相手なのかも分からない。どうすれば助かるかの情報もない。
そんな中、死に物狂いでもがいて、生き延びて。
彼らのくれた情報で、そして彼らの稼いでくれた時間で、他の地域の人々が生き残る事が出来た。
この日本で一番辛い『最初の役目』を、彼らが担ってくれたのだし、それは勇敢なる鎮西の人々でなければ、到底無理だったのではないか。
湯香里は少し濡れたような目を伏せ、祈るように言葉を続ける。
「…………だから、案外そんなもんなのよ。始まりと終わりは同じっていうか、最後はあっけないっていうか。四国は、どうやって取り戻したか知らないけどね?」
「あっちはもう、最後はしっちゃかめっちゃかだったから……」
誠も先日までの戦いを思い出しながら答えた。
「ヒメ子やみんなのおかげで、餓霊を追い詰めてはいたんだけど……いきなりクーデターが起こって。旗艦も避難区も襲われて、死に物狂いでようやく勝てたって感じかな」
「そうよね。この鶴ちゃんがいなければ危なかったわ」
鶴がしたり顔で頷くので、一同は笑いに包まれた。
鶴は誠の後ろの補助席に乗っていたが、さきほどから熱心にミニチュアの船を手に取り、木槌で軽く叩いている。
鶴の肩に乗るコマが、呆れ顔でツッコミを入れた。
「よく言うよ。鶴だって危な……むぐっ」
「大丈夫よ。鎮西にも、この鶴ちゃんが来たんだもの。だから心配いらないわ」
鶴はコマの口を手で塞ぎ、自らの言葉を噛み締めるように頷く。
「……うん。鶴ちゃんがそう言うなら、きっとそうよね」
湯香里は袖口で目をぬぐい、元気良くそう言った。
もちろん順調すぎる事は事実だったが、立ち止まっている時間はないのだ。
モタモタすれば、火の社からあれが這い出してくるのだから。
一行が外輪山に近づくと、地図が次第に鮮明さを増した。
事前に確認したよりも、更に強大に思える敵の軍勢。一体一体がとてつもなく強力なボス級の餓霊がひしめいているのだ。
まともな戦術でここを突破するのは、およそ無理な算段だろう。
誠は補助席に座る鶴に声をかけた。
「そろそろだ。ヒメ子、準備はいいか?」
「オッケーよ黒鷹」
鶴は足元の箱を開くと、先ほどから叩いていた船を中に入れた。
中にはいくつも小さな船が、緩衝材と一緒に入れられていた。
コマが鶴の肩から飛び降り、犬が濡れた体を乾かすように、ぶるぶると身ぶるいをする。
「それじゃ黒鷹、行って来るよ」
「頼む」
そこで鶴とコマは、光に包まれて操縦席から消えたのだ。
「……それじゃ、こっちも作戦開始だ」
誠の指示で、隊員達は機体のアイドリングを高めていく。
志布志隊の面々も、その他の部隊も緊張感を高めた。
人の軍勢の姿をとらえ、敵先陣の餓霊が鎌首をもたげて大きく吠えた。
それは次々伝播して、辺りを揺るがす大音響の絶叫となる。
鹿児島を出発した各戦力は、海と陸から火の山・阿蘇を目指すのだ。
誠達が重機を操作し、輸送車両に搭乗すると、大勢の声が聞こえてくる。
「何だ……?」
誠は機体のモニターで確認する。
目を凝らすと、避難区の建物のあちこちから、沢山の人が手を振っているのだ。
大人も子供も、皆が身を乗り出して見送っている。
誠達がコクピットハッチを開くと、子供達は喜び、がんばれーっ、と声を上げた。
舞い散る紙吹雪や紙テープ。鳴り響く陣太鼓や楽器。
『いつもありがとう!』『無事に帰ってきてね!』
そんな言葉の垂れ幕に加え、子供達の手描きの旗も飾られていた。
旗には人型重機や車両が描かれ、その横には、皆の笑顔に囲まれた九州の絵が描いてあった。
誰もが望んでいるのである。この悲しみの終わりを、苦難の時代に打ち勝つ事を。
そして自分達は、そのために戦うんだ。
そう思った時、誠の中に熱いものがこみ上げてきた。
「………なんかこう…………くるものがあるな」
誠が呟くと、機体の画面上で皆が頷いた。
鶴はコクピットハッチから身を乗り出し、子供達に手を振っている。瞳は少しうるんでいるようだ。
鶴の肩に乗るコマが、元気良く前足を上げて言った。
「頑張ろうよ鶴、これは何が何でも勝たないとさ」
「もちろんよコマ、きっとみんなが幸せに暮らせるようにしてみせるわ。そしたら私は、心置きなく遊べるから」
「そこだけはブレないねほんと!」
誠がモニターで子供達の絵を拡大すると、隅っこにちょんまげ姿の香川がいて、「がんばれ殿!」と書いてあった。
画面で香川を確認すると、彼はこういう時は怒らず、手で涙をぬぐっていた。
「そうだ、殿だぞ……! 任せとけ、絶対何とかするからな……!」
そこからは、ただひたすらに陸路を走った。
阿蘇に近づくにつれて通信妨害の霧は濃くなるが、鶴の霊力によって通信が可能なので、各隊がタイミングを合わせて敵の社に迫る算段である。
『北上ルート、ポイント八代通過。現在異常なし』
各地点を通過する度、運転する車両班から簡潔な報告が入ってくる。
『別府ルート、旧竹田市を通過。餓霊との会敵なし』
『島原ルート、旧熊本市街到着。こちらも会敵なし』
別働隊からの報告も、全て問題ないようである。
機体の画面上で、不意に壮太が呟いた。
「……なんかよ、静か過ぎるよな」
「静か過ぎるって、敵と会った方がいいって事?」
湯香里の問いに、壮太が首を振った。
「そーじゃねえけどさ。最後の戦いだってのに、なんか夢の中みたいだって思ってよ。晶はどう思う?」
「確かに……罠も待ち伏せもない。あんなに近寄れなかった阿蘇のお山に、いきなり易々と迫れるんだ。壮太でなくとも、変な気持ちになるさ」
晶もそう同意している。
「………………でもさ。あの日も、そうだったじゃない?」
湯香里が感慨深そうに呟いた。
「毎日同じような日が続いて……何も変わらないと思ってたけど、いきなりあんな事になって。みんないなくなっちゃってさ」
志布志隊の一同は、黙って湯香里の言葉を聞いていた。
彼らはあの始まりの日……高千穂から溢れ出した怪物と、最初に出会った人々なのだ。
どんな相手なのかも分からない。どうすれば助かるかの情報もない。
そんな中、死に物狂いでもがいて、生き延びて。
彼らのくれた情報で、そして彼らの稼いでくれた時間で、他の地域の人々が生き残る事が出来た。
この日本で一番辛い『最初の役目』を、彼らが担ってくれたのだし、それは勇敢なる鎮西の人々でなければ、到底無理だったのではないか。
湯香里は少し濡れたような目を伏せ、祈るように言葉を続ける。
「…………だから、案外そんなもんなのよ。始まりと終わりは同じっていうか、最後はあっけないっていうか。四国は、どうやって取り戻したか知らないけどね?」
「あっちはもう、最後はしっちゃかめっちゃかだったから……」
誠も先日までの戦いを思い出しながら答えた。
「ヒメ子やみんなのおかげで、餓霊を追い詰めてはいたんだけど……いきなりクーデターが起こって。旗艦も避難区も襲われて、死に物狂いでようやく勝てたって感じかな」
「そうよね。この鶴ちゃんがいなければ危なかったわ」
鶴がしたり顔で頷くので、一同は笑いに包まれた。
鶴は誠の後ろの補助席に乗っていたが、さきほどから熱心にミニチュアの船を手に取り、木槌で軽く叩いている。
鶴の肩に乗るコマが、呆れ顔でツッコミを入れた。
「よく言うよ。鶴だって危な……むぐっ」
「大丈夫よ。鎮西にも、この鶴ちゃんが来たんだもの。だから心配いらないわ」
鶴はコマの口を手で塞ぎ、自らの言葉を噛み締めるように頷く。
「……うん。鶴ちゃんがそう言うなら、きっとそうよね」
湯香里は袖口で目をぬぐい、元気良くそう言った。
もちろん順調すぎる事は事実だったが、立ち止まっている時間はないのだ。
モタモタすれば、火の社からあれが這い出してくるのだから。
一行が外輪山に近づくと、地図が次第に鮮明さを増した。
事前に確認したよりも、更に強大に思える敵の軍勢。一体一体がとてつもなく強力なボス級の餓霊がひしめいているのだ。
まともな戦術でここを突破するのは、およそ無理な算段だろう。
誠は補助席に座る鶴に声をかけた。
「そろそろだ。ヒメ子、準備はいいか?」
「オッケーよ黒鷹」
鶴は足元の箱を開くと、先ほどから叩いていた船を中に入れた。
中にはいくつも小さな船が、緩衝材と一緒に入れられていた。
コマが鶴の肩から飛び降り、犬が濡れた体を乾かすように、ぶるぶると身ぶるいをする。
「それじゃ黒鷹、行って来るよ」
「頼む」
そこで鶴とコマは、光に包まれて操縦席から消えたのだ。
「……それじゃ、こっちも作戦開始だ」
誠の指示で、隊員達は機体のアイドリングを高めていく。
志布志隊の面々も、その他の部隊も緊張感を高めた。
人の軍勢の姿をとらえ、敵先陣の餓霊が鎌首をもたげて大きく吠えた。
それは次々伝播して、辺りを揺るがす大音響の絶叫となる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる