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第五章その2 ~おめでとう!~ やっと勝利のお祝い編
さあ宴会だ! 盆と正月いっぺんに来い!
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『いっただきまーす!』
一同は元気良く手を合わせた。
目の前に並ぶ料理は、まさにご馳走と呼ぶに相応しいものだった。
定番の鍋に、鯛やイカの見事なお刺身。
各種天ぷら、そしてタコや河豚のから揚げ。
ぷりぷりした焼き牡蠣と、酒蒸しにしたムール貝やホタテ。
トドメに蟹や伊勢海老まであり、様々な海の幸がこれでもかと胃袋をもてなしてくれる。
一同は戦いの疲れを癒すべく、猛烈な勢いで食べまくった。
「そうやウチ、もの凄い贅沢したろ♪ 危険なダブル鯛めしや」
難波は炊き込み風の鯛めしに鯛の刺身を乗っけて、とき卵と醤油ダシを混ぜたものをかけていく。いわゆる炊き込みと生鯛めしの合体バージョンだ。
鶴はそれを見て目を輝かせた。
「まあ大変、私もやらなきゃ! コマも急いで!」
「何で急ぐんだよ鶴」
コマは文句を言いつつも、鶴と一緒に舌鼓をうっている。
「おいしいわねえ」
「うん、おいしいね。頑張ってよかった」
そこで剛角が時計を見て立ち上がる。
「おっ、そろそろ煮えたぞ」
剛角が鉄鍋の蓋を取ると、濃い茶色の汁と油の乗った肉が、ぐつぐつと煮立っている。いかにもこってりしておいしそうな匂いである。
「がっはっは、真打登場! 鬼神族直伝、特製味噌の猪鍋じゃい! ダシ用に背骨を入れるのがコツだぜ」
剛角は上機嫌で皆の椀についでいく。
宮島と香川は既に鬼とうちとけていて、猪料理を堪能した。
「うおおお、すんげえ、うめえなこれ! なあ香川」
「確かに極楽の味だ。締めにうどんも入れたいところだ」
剛角は褒められて有頂天だ。
「がーはっは、そうだろそうだろ。どんどん食え! 紫蓮も食えよ」
「おい剛角、まだ碗に入っとるぞ?」
わんこそば状態でつぎまくる剛角に、紫蓮もちょっと困っている。
「ま、剛角は料理好きだからね。人の料理本だって、たまに拾って読んでたしさ」
刹鬼姫は輪切りにした背骨をバキボキ噛み砕きながら、まんざらでも無さそうに言った。
「はーいみんな、鉄板焼き、出来たわよ~」
そこでカノンと鳳が、鉄板に乗せた料理を持って来る。
カノンのものは猪のバラ肉を炒め、豚みそ用の味噌で味付けしたもの。誠の大好物・通称『なっちゃん焼き』だ。
鳳のものは鶏肉を刻み、串に刺さずに焼いた鉄板焼き鳥である。
鶏肉の上から鉄のアイロンみたいなコテで押し付け、熱が逃げないように焼いているので、短時間で火が通る。
更に染み出た汁がタレと混じりながらあぶられ、お焦げとなって絡み付くので、炭火とはまた違ったおいしさがあるのだ。
ちなみに誠の家では、この残ったタレで鉄板焼きおにぎりを作っていた。
カノンは料理を配り終えると、刹鬼姫の隣に座る。
「何百年ぶりかな。妹と一緒にご飯だなんて」
カノンが言うと、刹鬼姫は少し照れ臭そうに目をそらす。
「さあ、とうに忘れたもので。悪くは……ないと思いますがね。姉上」
「ほんとだな……おっと、ほんとね……!」
カノンは指で涙を拭い、嬉しそうに笑っているが、そこで鳳が声を張りあげた。
「お酒いる人いますか? というか、飲める年齢の人は?」
そこでカノンが皆を見回す。
「ええと、鶉谷司令と、天草さんは24でしょ。オニ―ズ……はあたしも含めて問題ないし、お姫様はどうなるのかな。前世からカウントすると、500歳は超えてるけど」
「鶴ちゃんはジュースがいいわ。コマは?」
「僕もジュースがいいな。鳳さんは?」
コマが言うと、鳳は微笑んで答える。
「私は19なので残念です」
そこで台所の奥から、体格のいいおばちゃんが出てきた。
「まあ折角のお祝いで倒れたら意味無いからねえ」
そう言う彼女は、かつて給食センターや海鮮料理屋で働いていたという渡辺さんである。
今は基地の売店に勤める渡辺さんは、野菜や調味料などを持って来て、そのまま料理を手伝ってくれたのだ。
食べるより作る方が楽しそうな彼女だったが、さすがに誠も気が引けてしまう。
「渡辺さん、もう料理は十分ですよ。そろそろ一緒に食べませんか?」
誠が何の気無しに言うと、鬼の面々がびくっとなって固まった。
「……わ、渡辺だとぉっ……!?」
一同は元気良く手を合わせた。
目の前に並ぶ料理は、まさにご馳走と呼ぶに相応しいものだった。
定番の鍋に、鯛やイカの見事なお刺身。
各種天ぷら、そしてタコや河豚のから揚げ。
ぷりぷりした焼き牡蠣と、酒蒸しにしたムール貝やホタテ。
トドメに蟹や伊勢海老まであり、様々な海の幸がこれでもかと胃袋をもてなしてくれる。
一同は戦いの疲れを癒すべく、猛烈な勢いで食べまくった。
「そうやウチ、もの凄い贅沢したろ♪ 危険なダブル鯛めしや」
難波は炊き込み風の鯛めしに鯛の刺身を乗っけて、とき卵と醤油ダシを混ぜたものをかけていく。いわゆる炊き込みと生鯛めしの合体バージョンだ。
鶴はそれを見て目を輝かせた。
「まあ大変、私もやらなきゃ! コマも急いで!」
「何で急ぐんだよ鶴」
コマは文句を言いつつも、鶴と一緒に舌鼓をうっている。
「おいしいわねえ」
「うん、おいしいね。頑張ってよかった」
そこで剛角が時計を見て立ち上がる。
「おっ、そろそろ煮えたぞ」
剛角が鉄鍋の蓋を取ると、濃い茶色の汁と油の乗った肉が、ぐつぐつと煮立っている。いかにもこってりしておいしそうな匂いである。
「がっはっは、真打登場! 鬼神族直伝、特製味噌の猪鍋じゃい! ダシ用に背骨を入れるのがコツだぜ」
剛角は上機嫌で皆の椀についでいく。
宮島と香川は既に鬼とうちとけていて、猪料理を堪能した。
「うおおお、すんげえ、うめえなこれ! なあ香川」
「確かに極楽の味だ。締めにうどんも入れたいところだ」
剛角は褒められて有頂天だ。
「がーはっは、そうだろそうだろ。どんどん食え! 紫蓮も食えよ」
「おい剛角、まだ碗に入っとるぞ?」
わんこそば状態でつぎまくる剛角に、紫蓮もちょっと困っている。
「ま、剛角は料理好きだからね。人の料理本だって、たまに拾って読んでたしさ」
刹鬼姫は輪切りにした背骨をバキボキ噛み砕きながら、まんざらでも無さそうに言った。
「はーいみんな、鉄板焼き、出来たわよ~」
そこでカノンと鳳が、鉄板に乗せた料理を持って来る。
カノンのものは猪のバラ肉を炒め、豚みそ用の味噌で味付けしたもの。誠の大好物・通称『なっちゃん焼き』だ。
鳳のものは鶏肉を刻み、串に刺さずに焼いた鉄板焼き鳥である。
鶏肉の上から鉄のアイロンみたいなコテで押し付け、熱が逃げないように焼いているので、短時間で火が通る。
更に染み出た汁がタレと混じりながらあぶられ、お焦げとなって絡み付くので、炭火とはまた違ったおいしさがあるのだ。
ちなみに誠の家では、この残ったタレで鉄板焼きおにぎりを作っていた。
カノンは料理を配り終えると、刹鬼姫の隣に座る。
「何百年ぶりかな。妹と一緒にご飯だなんて」
カノンが言うと、刹鬼姫は少し照れ臭そうに目をそらす。
「さあ、とうに忘れたもので。悪くは……ないと思いますがね。姉上」
「ほんとだな……おっと、ほんとね……!」
カノンは指で涙を拭い、嬉しそうに笑っているが、そこで鳳が声を張りあげた。
「お酒いる人いますか? というか、飲める年齢の人は?」
そこでカノンが皆を見回す。
「ええと、鶉谷司令と、天草さんは24でしょ。オニ―ズ……はあたしも含めて問題ないし、お姫様はどうなるのかな。前世からカウントすると、500歳は超えてるけど」
「鶴ちゃんはジュースがいいわ。コマは?」
「僕もジュースがいいな。鳳さんは?」
コマが言うと、鳳は微笑んで答える。
「私は19なので残念です」
そこで台所の奥から、体格のいいおばちゃんが出てきた。
「まあ折角のお祝いで倒れたら意味無いからねえ」
そう言う彼女は、かつて給食センターや海鮮料理屋で働いていたという渡辺さんである。
今は基地の売店に勤める渡辺さんは、野菜や調味料などを持って来て、そのまま料理を手伝ってくれたのだ。
食べるより作る方が楽しそうな彼女だったが、さすがに誠も気が引けてしまう。
「渡辺さん、もう料理は十分ですよ。そろそろ一緒に食べませんか?」
誠が何の気無しに言うと、鬼の面々がびくっとなって固まった。
「……わ、渡辺だとぉっ……!?」
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