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第五章その10 ~何としても私が!~ 岩凪姫の死闘編
全ては夜祖の狙い通り
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「な、永津彦殿っっっ!!!」
こちらを庇い、大量の神雷に撃たれた永津彦を見つめ、佐久夜姫は叫んでいた。
1つ1つが恐ろしい威力を誇る雷の龍が、群れを成して襲ってきたのだ。
いかに名うての武神と言えど、ただで済むわけがない。
「あなた様がご無事なら、何も問題ございません……!」
永津彦は苦しげに顔を歪めながらも答えた。
「あなた様を守らねば、邇邇芸様に申し訳が立ちませぬゆえ……」
永津彦はそれだけ言うと、柱の方に向き直る。
霊力を集中し、再び柱を縛る作業に取り掛かったのだ。
「お見事でございます、大神様っ! この笹鐘、改めて感服致しました!」
土蜘蛛の里の社にて、笹鐘は興奮した様子で言った。
高座に座る夜祖大神は、満面の笑みでそれに答える。
「ふはは、そう世辞を言うな! お前達の犠牲と、里の仕掛けがあればこそ! だがこれでようやく、身を賭した者達に報いてやれる!」
夜祖は杯を傾け、一気に酒を飲み干して答えた。
「そもそもあの術には無理があるのだ。あれだけの力を、刹那に狙いを定めて撃つだと? そのような危なっかしい事を、よくぞ配下に許したものよ。我なら決して認めぬ行為だ」
「もし全神連が、犠牲を恐れず攻撃すればどうなったのですか?」
「別に大した事もあるまい。それならそれで神雷を消耗させられる。里には転移術も仕込んであるし、攻撃が迫れば里ごと亜空間に避難できる」
「成程、重ね重ね感服いたしました」
笹鐘は何度も頷いた。
「うまくいけば神雷を狂わせ、敵を負傷させられる。それが駄目でも、倒されるのは露払いの軍勢のみ。そして1度使わせれば、本命のお方々が復活された際、神雷の威力が足りなくなるというわけですか」
笹鐘はしきりに感心していたが、そこで女が拝殿に踏み込んで来た。
「只今戻りました。大神様、そして兄上」
彼女はうやうやしく跪き、一族の神に頭を垂れる。
「全て拝見しておりました。ああ、何と素晴らしい、そして恐ろしいお方ですわ。あなた様が私どもの守護神で、心より安心いたしました」
恍惚の表情で言う彼女に、さすがの笹鐘も慌てている。
「これ纏葉っ、何だその物言いは。夜祖様に無礼であろう」
だが夜祖は上機嫌である。
「ぐははっ、構わぬ、構わぬぞ!! 今日は良き日だ、何もかもが愉快である!!!」
夜祖は再び杯を煽り、社が割れんばかりの笑い声を上げるのだった。
こちらを庇い、大量の神雷に撃たれた永津彦を見つめ、佐久夜姫は叫んでいた。
1つ1つが恐ろしい威力を誇る雷の龍が、群れを成して襲ってきたのだ。
いかに名うての武神と言えど、ただで済むわけがない。
「あなた様がご無事なら、何も問題ございません……!」
永津彦は苦しげに顔を歪めながらも答えた。
「あなた様を守らねば、邇邇芸様に申し訳が立ちませぬゆえ……」
永津彦はそれだけ言うと、柱の方に向き直る。
霊力を集中し、再び柱を縛る作業に取り掛かったのだ。
「お見事でございます、大神様っ! この笹鐘、改めて感服致しました!」
土蜘蛛の里の社にて、笹鐘は興奮した様子で言った。
高座に座る夜祖大神は、満面の笑みでそれに答える。
「ふはは、そう世辞を言うな! お前達の犠牲と、里の仕掛けがあればこそ! だがこれでようやく、身を賭した者達に報いてやれる!」
夜祖は杯を傾け、一気に酒を飲み干して答えた。
「そもそもあの術には無理があるのだ。あれだけの力を、刹那に狙いを定めて撃つだと? そのような危なっかしい事を、よくぞ配下に許したものよ。我なら決して認めぬ行為だ」
「もし全神連が、犠牲を恐れず攻撃すればどうなったのですか?」
「別に大した事もあるまい。それならそれで神雷を消耗させられる。里には転移術も仕込んであるし、攻撃が迫れば里ごと亜空間に避難できる」
「成程、重ね重ね感服いたしました」
笹鐘は何度も頷いた。
「うまくいけば神雷を狂わせ、敵を負傷させられる。それが駄目でも、倒されるのは露払いの軍勢のみ。そして1度使わせれば、本命のお方々が復活された際、神雷の威力が足りなくなるというわけですか」
笹鐘はしきりに感心していたが、そこで女が拝殿に踏み込んで来た。
「只今戻りました。大神様、そして兄上」
彼女はうやうやしく跪き、一族の神に頭を垂れる。
「全て拝見しておりました。ああ、何と素晴らしい、そして恐ろしいお方ですわ。あなた様が私どもの守護神で、心より安心いたしました」
恍惚の表情で言う彼女に、さすがの笹鐘も慌てている。
「これ纏葉っ、何だその物言いは。夜祖様に無礼であろう」
だが夜祖は上機嫌である。
「ぐははっ、構わぬ、構わぬぞ!! 今日は良き日だ、何もかもが愉快である!!!」
夜祖は再び杯を煽り、社が割れんばかりの笑い声を上げるのだった。
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