新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その4 ~ようこそ蝦夷地へ!~ スケールでかすぎ北海道上陸編

カニ風味のお菓子。エビのやつは食べた事ある(細長い形の)

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 誠達が北海道に到着してわずか1日。その間に目まぐるしく事態は変わっていたが、勿論いい方向にである。

 各船団の兵力は、急ピッチで再編成を続けている。第1船団が用意してくれた設備・物資は潤沢じゅんたくで、必要なものは全て揃っていたからだ。

 機体に乗り、人型重機の調整を行っていた誠の前に、いきなり女性の顔が大写しになった。

「鳴瀬くんっ、グッドニュースよっっ!!!」

「うっ、うわっ! 雪菜さん!?」

 画面に映るのは、金の髪を長く伸ばし、モスグリーンの軍用ジャケットを着た女性。つまりは鶉谷うずらたに雪菜ゆきな少佐である。

 この混乱の始まりの頃、日本中を駆け巡って人々を守った彼女は、その功績を認められ、若干24歳にして指揮官クラスに登りつめた。

 純粋な日本人なのに髪が金なのは、餓霊達の総大将・ディアヌスと対峙し、強いダメージを受けたからだったが……彼女はそれでも必死に若者達をかばい、導き続けてきたのである。

「ゆ、雪菜さん、どうしたんです? わざわざ直通回線で……」

「ごめんなさい、でも早く報せたくて。お姉さんにあるまじき失態だったわね」

 雪菜は少し赤い顔で取りつくろうと、ゴホンと咳払いして言った。

「そ、それがね鳴瀬くん。北海道に到着してなかった各地の部隊と、次々連絡が取れてるそうなの。あなたが関わった人達も含めてね」

「ほっ、ほんとですか!?」

 想像以上の吉報に、誠は飛び上がりそうになった。

「何や鳴っち、何かあったんか?」

 異変を察した隊員達が、次々に操縦席を覗き込んだ。

 彼らは『北の2大デンジャラスコンビ・カニ風味ジャガフライズ!』と書かれた菓子袋を持っていた。

 カニもジャガイモも覆面レスラー風のイラストだったが、今そんな事はどうでもいいのだ。

「そっそれで雪菜さん、詳しく聞かせて下さい!」

「ええもちろん! 避難が遅れてた各地の船も、次々海に出てきたらしいの。海上だから、邪気も無くて通信出来るし。他の地域も、ほとんどの人達が無事みたいよ」

「よっ、良かったっ……!!!」

 安堵のあまり、誠はへたり込みそうになった。

 無我夢中で戦い続けた日々だったけれど、各地の避難区では、お世話になった人達が大勢いたのだ。

 全員……とは言えないだろうが、彼らの多くが助かった事は、何より嬉しい報せだった。

 喜ぶ誠に、雪菜は微笑んで付け加える。

「とにかく、これでほとんどの兵力が合流出来るわ。だから希望を捨てないでね」

「了解しました!」

 誠が敬礼すると、雪菜も敬礼しながら画面から消えた。

「……というわけだ、みんな」

「何がどういうわけやねんな」

 難波はツッコミを入れるが、カノンが微笑んでフォローしてくれる。

「よく分からないけど、とにかくみんな助かったって事でしょ?」

「うわあ、良かったぜ! けっこー、いやかなり心配だったんだ!」

 宮島が素直に喜び、香川がその後を受けた。

「それじゃあ隊長、俺らも負けていられないな。みんなが合流する前に、うんと準備しておかなきゃ。悟りでも開くぐらい修行しよう」

「平気よがわちん、そんなに修行はいらないわ!」

『うわっ、びっくりした!?』

 突然現れた鶴に、誠達はひっくり返ったが、鶴は燃える瞳で語りかける。

「もうすぐ決戦だもの、下手に修行してヘトヘトになるより、今は力を貯めましょう。要するにおいしいものを食べまくるのよ!」

「またずるい事言ってるけど、正論と言えば正論かな」

 言ってる事は正しいので、コマもツッコミを入れ辛そうだ。

 カノンはからかうように誠の顔を見つめてくる。

「それで変態さんは、敵の解析するんでしょ?」

「せやな。鳴っちのやる事ぐらい、もうバレバレやもん」

 難波がニヤニヤしながら言うと、香川がフォローを入れてくれる。

「いいじゃないか、それで魔王の攻略法も見つけたわけだし」

「今回も任せとけよ。相手の防御の電磁バリアを解析して、こっちの属性添加機を調節すれば、攻撃が通じやすくなると思うんだ」

「よっしゃ、頼りにしてるぜ隊長!」

「うんうんいいわ、これでこそ鶴ちゃんの部隊よ」

 鶴は調子よく頷いて、元気良く拳を振り上げた。

「それじゃ、みんな頑張りましょう!」

 一同はおお、と気合を入れる。

 …………だが、誠達はまだ知らなかった。

 生き残った各地の部隊との間に、恐ろしい混乱が起き始めている事を。

 夜祖大神が仕掛けた卑劣な罠が、すぐそこまで迫っている事を。
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