新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その7 ~みんなで乾杯!~ グルメだらけの大宴会編

どんどんグルメが集まってくる

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 慌てる一同をよそに、訪問者は明るい声でこう言った。

「ちわーっ、餃子の出前ですよ~♪」

 そこにいたのは、いかにも愛想のいい印象の少女である。

 なぜか餃子のきぐるみを着て、山積みの餃子の箱を持っていた。

 第3船団のパイロットのひかるだったが、彼女の後ろには、他にも数人の少年少女が並んでいた。

 男子勢……つまり弥太郎やたろう翔馬しょうまもきぐるみ姿、龍恋たつこは体にぴったりしたノースリーブ・ドレスを着せられている。

 ひかる以外はみんな赤い顔で恥ずかしそうにしていたが、ともかく一同は格納庫内に入ってきた。

「いやあ、うまくいったね~♪ どうせ来るなら正面突破、餃子の出前をよそおって来たわけよ」

「それはいいけど、なんでこんなにスリットが入ってるのよ」

 龍恋はドレスの裾を恥ずかしそうに押さえるが、後ろから翔馬達が抗議した。

「いや、それはいいだろファッションだから。俺らなんてこれだゼ?」

「キャラを立てたいとは言ったが、これじゃ侵略されてる気がするナマズ」

 翔馬も弥太郎も、きぐるみの背中には『餃子のひかる』の文字が踊っている。

 ともかくその場には、大量の焼き餃子が配られた。

 蓋を開けると、あの東海決戦の前に食べたオキアミ餃子が湯気を立てている。

 香ばしいニンニクが食欲を誘い、若者達は狂喜してぱくついたが、そこで更に長身の少女……つまりこころが入ってきた。

「やっほーみんなー、また来たよ~」

「もう隠れてすらないやんか」

 難波のツッコミをよそに、こころ………と、その後ろで見えなかった玄太げんた千春ちはるは、何かの瓶詰めを箱から出して並べている。

 玄太は得意げに腰に手を当てて言った。

「さ、遠慮なく食ってくれ。桃のシロップ漬けだ!」

「ぶっちゃけ、もらってくるの苦労したんだから。復興する時のために、果樹を避難させてるじゃん? その収穫分をまわしてもらってね」

 千春は腕が疲れたのか、手をぐるぐる回しながら言った。

「ディアヌスを倒した英雄に食わせて、力つけさせるんだって言ったら、それならばって事でさ」

「昔は玄太の家とか、いっぱい余ってたのにねえ」

 こころが言うと、玄太は懐かしむように目を閉じた。

「確かに。時期が来たら、親戚中から余った桃が集まるんだよ。桃は買うよりもらうもんだと思ってた」

「みかんのおすそ分けみたいなものか。果物の産地あるあるだ」

 誠が言うと、玄太は「そうそう」と喜んだ。

 久しぶりの桃はとにかく甘く柔らかくて、一同は懐かしいその味を堪能した。

「……いや、そんでまあ、あたしらも作戦聞いたけどさ」

 千春はオールバックの髪を手で撫で付けながら、呆れたように苦笑する。

「……ほんっとに、毎回毎回とんでもないよね。あんた達と一緒にいると、普通の作戦が天国に見えるよ。派手好きの名古屋人うちらでも、ここまで無茶しないからさ」

 千春の発言に、玄太も腕組みして宙を見上げる。

「そうだな姉御。鳴門防衛戦の時なんて、生きた心地しなかったからな」

「そうそう、すごく楽しかったよねえ」

「ちがうだろこころっ、お前話聞いてんのかっ」

 玄太のツッコミにも、こころはにこにこしながら答える。

「聞いてるよー、玄太の話ならずうっと聞くよ?」

 難波がニヤニヤしながらツッコミを入れる。

「うわぁ、それもうプロポーズやん。どないするん玄ちゃん?」

「えっ、プロポーズ……えええっ……!?」

 赤くなってフリーズする玄太に、一同はまた爆笑した。

 しばし一緒になって笑ったが、やがて誠は皆に言った。

「…………でも正直、一か八かだから。どれか1つでも歯車が狂えば、それで終わりだ。本来なら、作戦なんて呼べるもんじゃないと思うし……」

 だが誠がそこまで言った時、低く優しい響きの声がかけられた。

「そりゃあ、相手が邪神だからね。そのぐらいの無茶も必要だろう」

『っ!?』

 一同が目をやると、格納庫の入り口には、旧自衛隊の迷彩服を着た大人達が立っていた。

 がっしりした体つきの池谷中佐を先頭に、木崎少佐の姿も見える。

「池谷中佐。木崎少佐も皆さんも」

「本当は仕事中だけど、ちょっとだけ抜け出してきたんだ」

 池谷中佐はそう言ってぎこちなくウインクする。

 木崎少佐が外をのぞき、周囲を警戒しながら合図を送った。

「今だ、行動開始!」

 すると外の闇の中から、数名の少年少女が台車を押して走って来る。

 台車には、蓋の隙間から熱い湯気を立てる鍋が乗っていた。

「……んんっ? まっ、まさかこの香りはっ……!!?」

 たちまち充満する懐かしい匂いに、誠達は騒然となった。

 池谷中佐は微笑んで鍋の蓋を取ってみせる。

「ご名答。旧自衛隊名物、みんな大好きなカレーだよ。かなりの貴重品だから……ああ、ありがとう津和野さん」

「お手伝いしますわっ!!!!!」と駆け寄る津和野に、池谷中佐は少し赤くなりながら蓋を渡した。

 着物に割烹着かっぽうぎといういかにもな姿になった津和野は、かいがいしくカレーをよそい始める。
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