新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その7 ~みんなで乾杯!~ グルメだらけの大宴会編

ずっと一緒だったんだから…!

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 幸魂さきみたまの存在を、誠は完全に忘れていた。

 あの日ご褒美として用意された巨大な光……つまり幸運の塊を、誠達は受け取らなかった。

 本当は欲しくてたまらなかったのだが、日本中が人喰いの化け物に襲われていた当時、さすがに自分達だけ……という気になれなかったのだ。

 だから皆に分割した。1人1人に分ければ、小さな飴玉サイズの幸運だったが、分かつ事を選んだのだ。

 そして光が飛び去る時、誠達は声を発した。

『必ず助けに行くから、負けないで!』

 多分そんな内容を叫んだのだと思う。

 やがて光は、この国に生きる全ての人々の元へ飛び去ったのだ。

「……あの光が来た時、俺ら結構ピンチでさ。でもそこから、急に運が良くなって生き延びられた。だから信用したんだよ。そん時の声と同じだって、無意識に分かってたんだよ」

「壮太の言う通り、ずっと一緒だったんだよね」

 壮太の隣にいた少女……旅館の仲居のような格好をした湯香里が言った。

「あなた達の言葉も、その時くれた幸運も。住んでる場所は違っても、ずっと一緒に戦ってたんだと思うわ」

「そーだな湯香里。だから……だからさ、今更遠慮なんかいらねえよ……!」

 壮太は右の拳を差し出した。

 誠も同じように手を伸ばした。

 合わせた拳のその上に、鶴とコマが手を重ねた。

「俺もいるぜ!」

「うちを忘れちゃ困るで!」

 次々手が重ねられ、置けない者は、後ろからどんどん肩に手を乗せていった。

 若者達の輪が広がっていく様は、あたかも大輪の勇気の花が、絶望の夜に開花していくかのようだ。

「これで最後だ、みんなで勝とう。絶対日本を取り戻そう……!」

 誠の言葉に、皆は一斉に答えた。

 おおっ!!!!!!!!

 熱い思いの波動が弾け、格納庫がびりびり震えたように感じられた。



 ……そう、これでお開きとなれば、かなりシリアスで良かったのだろうが。

 そこでバタバタと物音が響くと、格納庫に神使達が駆け込んでくる。

 眼帯アイパッチを付けた狛犬にキツネ。牛に猿、そしてダンベルを持った龍だ。

「やいやい、何を勝手に始めとるんじゃあ!」

「ワイらを置いていくとは許せへんで!」

「モウレツに反省すべきです!」

 どこかで聞いたような事を言いながら、神使達は飛び込んでくる。

 龍の後ろには鹿までいて、その背には愛らしい幼子……つまり、大和くんとすずちゃんが乗っていた。

 当然ながら誠達は恐縮する。

「あっ、ええっ!? こ、こんなとこに来て大丈夫なんですか!?」

 誠が尋ねると、神使の鹿が困ったように言った。

「俺も止めたんだがな。お2人とも、またシカられるぜ?」

「いいのです、どうしても来たかったのです!」

「そうですわ、こういうのも冒険なのですわ!」

 2人が手をばたつかせると、その後ろから鳳がすまなさそうに顔を出した。

「すみません黒鷹様。お2人や神使達が、どうしても参加をという事で」

「そ、そりゃまあ大歓迎ですけど……おっと、ケダモノどもは別だけどな?」

 誠がわざとからかうと、神使達はいつものように飛び蹴りしてきた。

「なんやととうへんぼく! ワイらのおかげで今までやってこれたんやぞ!」

「モウレツに聞き捨てなりません!」

「ぐはっ!? ほんとお前ら、俺への躊躇ちゅうちょが一切無いな!?」

 神使達は見事な波状攻撃で誠をグロッキーに追い込むが、おかげで鶴もみんなも笑顔になった。

 大和くんとすずちゃんも大喜びで、一気にひな祭りみたいな賑やかさになったのだ。
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