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第六章その9 ~なかなか言えない!~ 思いよ届けの聖夜編
人間は面白い
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ディアヌスは祭神達を興味深げに眺めた。
それぞれ妙ちきりんな話し方で、性格もバラバラである。
属する船団の人間達に影響され、学習していった結果だろう。
そこでガレオンが疑問を口にした。
「それにしてもディアヌス。君が私達を吸収しなかったのは意外だな」
「……今更取り込んでも馴染まぬだろう。お前達は自我を持った」
ディアヌスは片手を掲げ、そこに7色の光を満たした。
「だからあの震天とやらを吸収した。貴様らが創った霊気の結晶……あれなら自我は無いからな」
ディアヌスはそこで祭神達を見渡し、尋ねた。
「貴様らは我が首から生まれ、それぞれ別の神へと進化した。見てきた物も違うだろうが……あえて答えよ。貴様らの思う、人とは何だ?」
祭神達はしばし黙っていたが、やがてガレオンが言葉を発した。
「……私は、成長する存在だと思う」
「ほう……?」
「人は弱く小さな生き物だ。だがあのナルセ達を見ているうちに、私はその可能性を感じた。苦難を乗り越え進む度に、彼らは大きく成長していく」
そこでテンペストが発言した。
「私もガレオンに近い意見だが、敢えて付け加えるなら、その成長には知識が不可欠だ。学ぶ事で成長は後押しされて……」
テンペストは両手を広げ、演説するように言うが、そこでゼノファイアが割って入った。
「我が見解は違うぞ、人は勇気の存在だ。一度心に炎を宿せば、我らにも劣らぬ力を発揮する」
アリスクライムが後を続ける。
「力だけでは味気ないであり申す。美しく彩られた幾多の文化、それこそが人の人たる所以かと」
「拙者は違う。文化はあくまで上辺でござろう」
レオンヴォルグはそう反対意見を述べた。
「いかな文化で飾ろうとも、その下に息づく折れない正義こそが、人の人たる所。少なくとも、我が船団の人間達はそうだ」
「私は、慈愛こそカギだと思われます」
純白の雪が凝り固まったようなホーリーダイヤモンドは、そう静かに言ってのける。
「多くの生き物は、滅多に他の生物を慈しみません。しかし人は違います。生まれつき周囲に慈愛を振りまく性質を持っているのではないでしょうか」
最後にエクスクロスが口を開いた。
「……当方はどの意見とも等しく、どの意見とも少し違う。成長も知恵も、勇気も文化も、正義も慈愛も……全てが人の構成要素。しかし人の人たる最大の特徴は、多数が集って創り出す創造力にある。そこには無限の可能性があり、予想も付かぬ物が生まれるのだ。互いの存在に刺激を受け、また新しい何かを生み出す。それが見ていて飽きないのだ」
エクスクロスの意見に、テンペストは拍手を送った。
「面白い、面白いぞエクスクロス! そうか、共同知とそれが生み出す創造力か。人類全体が、あらゆる物を吸収・再生産する巨大な知恵の坩堝であり、進化を繰り返す集団的ダイナミズムの化身。それは他の生物には無いし、それこそが人の醍醐味か!」
周囲の祭神は、あまり理解できずに???な空気を出していたが、テンペストは上機嫌だった。
そこでガレオンがこちらに尋ねた。
「それではディアヌス、君は一体どう思っている?」
「……知らん。我は貴様ら程、人と関わっていないのだ」
「確かにそうだ」
ガレオンは少し笑うように頭を上下させた。
その人間臭い動作を眺めながら、ディアヌスは言葉を続ける。
「だが、そのわずかな関わりの中で述べるのならば……」
ディアヌスは腹に片手を当てた。あの人族の勇者……黒鷹とかいう若者との戦いを思い出しながら、ディアヌスは答える。
「人間どもは、なかなか面白いと言えるだろう。少なくとも、何千年も進歩のない邪神よりずっとだ……!!!」
「私達もそう思う」
ガレオンも頷いた。
祭神達の語らいは、次の朝が近づくまで続いた。
それぞれ妙ちきりんな話し方で、性格もバラバラである。
属する船団の人間達に影響され、学習していった結果だろう。
そこでガレオンが疑問を口にした。
「それにしてもディアヌス。君が私達を吸収しなかったのは意外だな」
「……今更取り込んでも馴染まぬだろう。お前達は自我を持った」
ディアヌスは片手を掲げ、そこに7色の光を満たした。
「だからあの震天とやらを吸収した。貴様らが創った霊気の結晶……あれなら自我は無いからな」
ディアヌスはそこで祭神達を見渡し、尋ねた。
「貴様らは我が首から生まれ、それぞれ別の神へと進化した。見てきた物も違うだろうが……あえて答えよ。貴様らの思う、人とは何だ?」
祭神達はしばし黙っていたが、やがてガレオンが言葉を発した。
「……私は、成長する存在だと思う」
「ほう……?」
「人は弱く小さな生き物だ。だがあのナルセ達を見ているうちに、私はその可能性を感じた。苦難を乗り越え進む度に、彼らは大きく成長していく」
そこでテンペストが発言した。
「私もガレオンに近い意見だが、敢えて付け加えるなら、その成長には知識が不可欠だ。学ぶ事で成長は後押しされて……」
テンペストは両手を広げ、演説するように言うが、そこでゼノファイアが割って入った。
「我が見解は違うぞ、人は勇気の存在だ。一度心に炎を宿せば、我らにも劣らぬ力を発揮する」
アリスクライムが後を続ける。
「力だけでは味気ないであり申す。美しく彩られた幾多の文化、それこそが人の人たる所以かと」
「拙者は違う。文化はあくまで上辺でござろう」
レオンヴォルグはそう反対意見を述べた。
「いかな文化で飾ろうとも、その下に息づく折れない正義こそが、人の人たる所。少なくとも、我が船団の人間達はそうだ」
「私は、慈愛こそカギだと思われます」
純白の雪が凝り固まったようなホーリーダイヤモンドは、そう静かに言ってのける。
「多くの生き物は、滅多に他の生物を慈しみません。しかし人は違います。生まれつき周囲に慈愛を振りまく性質を持っているのではないでしょうか」
最後にエクスクロスが口を開いた。
「……当方はどの意見とも等しく、どの意見とも少し違う。成長も知恵も、勇気も文化も、正義も慈愛も……全てが人の構成要素。しかし人の人たる最大の特徴は、多数が集って創り出す創造力にある。そこには無限の可能性があり、予想も付かぬ物が生まれるのだ。互いの存在に刺激を受け、また新しい何かを生み出す。それが見ていて飽きないのだ」
エクスクロスの意見に、テンペストは拍手を送った。
「面白い、面白いぞエクスクロス! そうか、共同知とそれが生み出す創造力か。人類全体が、あらゆる物を吸収・再生産する巨大な知恵の坩堝であり、進化を繰り返す集団的ダイナミズムの化身。それは他の生物には無いし、それこそが人の醍醐味か!」
周囲の祭神は、あまり理解できずに???な空気を出していたが、テンペストは上機嫌だった。
そこでガレオンがこちらに尋ねた。
「それではディアヌス、君は一体どう思っている?」
「……知らん。我は貴様ら程、人と関わっていないのだ」
「確かにそうだ」
ガレオンは少し笑うように頭を上下させた。
その人間臭い動作を眺めながら、ディアヌスは言葉を続ける。
「だが、そのわずかな関わりの中で述べるのならば……」
ディアヌスは腹に片手を当てた。あの人族の勇者……黒鷹とかいう若者との戦いを思い出しながら、ディアヌスは答える。
「人間どもは、なかなか面白いと言えるだろう。少なくとも、何千年も進歩のない邪神よりずっとだ……!!!」
「私達もそう思う」
ガレオンも頷いた。
祭神達の語らいは、次の朝が近づくまで続いた。
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