新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その11 ~時代絵巻!?~ 過去の英雄そろい踏み編

お茶沸かし専用のへそ

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「一応隠れのまじないはしてるけど、そう長くはもたないわ」

 誠達を乗せたコマは、戦場を駆け抜けていく。

 小さくなって足音も軽く、しかも姿を隠す幻術を使っているので、戦いに夢中の邪神達に気付かれる可能性は低いだろう。

「サンキューヒメ子。それと打ち出の小槌の効果、まだ大丈夫か?」

「5人と5機だもの。このぐらいなら平気よ」

 鶴はそう言いながら、透明の袋をこちらに見せる。

 中には小さな人形が5つほど入っていたが、それは実際の人型重機を打ち出の小槌で縮めたものだ。

 勿論これだけ邪気が強いと、小槌の効果も早く切れる。

 だからこそ少数精鋭……と言えば聞こえはいいが、たった5人の切り込み部隊なのである。

 無茶の上に無茶を積み重ねた行動だったが、邪神の親玉がこの世に這い出れば全てが終わるため、こうするより無かったのだ。

「…………宮島、香川。カノンも難波も」

 誠は前を向いたまま、隊員達に語りかけた。

「何や鳴っち、この状況で超絶・面白いギャグでもかますんか?」

「そりゃいいや、いっちょ頼むぜ隊長っ!」

「いよっ、話術界の弘法大師っ!」

「ギャグの鬼と呼ばれた男よ、きっと凄いのが来るわね」

「……やっやめろよっ、変にハードル上げるなっ」

 誠は若干たじろいだが、気を取り直して話を続ける。

「そ、その……先行する突入班、お前らを指名したじゃんか」

「せやな」

「一番危険だから、お前らに頼んだんだ。一番この戦場で死ぬ確率が高いから……お前らしか頼めなかった。だから…………恨むか?」

 誠は覚悟を決めて言ったが、難波の反応はあっけらかんとしていた。

「鳴っち、あんたほんまアホやな。うちらが今更恨むとか、とうへんぼくにも程があるで」

「な、難波……?」

 何でもない事のように言う難波に、誠は思わず振り返った。

 宮島も香川もカノンも、皆がにこにこ笑っている。

「お、お前らって奴は……」

 柄にも無く感動する誠だったが、そこで難波が声色を変えた。

「……今更恨まれるとか能天気過ぎやろ。うちらの恨みはとっくに臨界突破しとんのやで」

「えええっ!!?」

 驚く誠に、宮島がバキボキ指の骨を鳴らしながら言う。

「そーだぜ隊長。そもそもあの天守閣の件、まだ落とし前ついてないんだからな」

「そうそう、ありゃー辛かったよなあ宮島」

「あたしもあれから、包丁の手入れはおこたってないわ」

 目を光らせながら言う隊員達に、誠は思わず震え上がった。

 かつて天守閣で膨大な仕事を手伝わせた件は、いまだチャラになっていなかったのだ。

「ウチあの時言うたよなあ、言う事聞いてもらうハードルが上がったって。それが未払いやのに、おかわりとは呆れたで」

 誠は青ざめ、内心辞世の句を考え始めたが、そこで隊員達は一斉に吹き出す。

「もうあかんわっ、アホかっ! それこそ今更やろっ!」

「危険だから俺様なんだろ。いいチョイスじゃねえか隊長」

「皆を守る一番のお役目だ。むしろ御仏みほとけの導きだろう」

「そもそもあたし達、血で血を洗う戦国時代に出会ったのよ? それが今更危険だからごめんとか、ヘソでお茶沸かすわよ」

 そう言うカノンは、パイロットスーツの胴回りウエストを破ってヘソ出しの状態である。

 カノンはなおも誠に言った。

「ずっとこうしてきたでしょ。だから……最後まで今まで通りでいいんじゃない?」

「…………ありがとな」

 誠は頷くが、そこでコマが呼びかけて来る。

「そろそろ柱の近くだよ。反魂の術の余剰エネルギーが溜まってるから、けっこう負担がかかると思う」

 目をやると、前方の柱の根元に、巨大な青白い半球が見えた。

 よく見るとそれは固体ではなく、何かガスのようなものが噴き出しては半球の中に戻っていくのだ。

「……っ!」

 突入した瞬間、体にがくんと反動が来た。

 幼い頃、少し高い防波堤から海に飛び込んだ感じに近いだろう。

 コマは自らを鼓舞こぶするように言う。

「気合い入れるよ。ここから先は、現世であって現世じゃないから……!」

 やがて前方の大地に、黒い人影が現れる。

 手に手に刀や薙刀なぎなたを持ち、鎧に身を包んでいるが、顔は干からびたむくろなのだ。

 むくろ達は武器えものを構え、誠達の行く手を阻むように進み出てくる。
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