新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART6 ~もう一度、何度でも!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第六章その11 ~時代絵巻!?~ 過去の英雄そろい踏み編

ボクらにいっちょ、任せてご覧よっ!

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 戦況は、悪化の一途をたどっていた。

 館を守る餓霊の軍勢は、後から後から湧き上がってくる。

 奮闘していた人型重機のパイロット達も、蓄積した疲労で動きを鈍らせ、戦線を維持するのは難しくなっていた。

「踏ん張れお前らっ、九州男児の根性見せろっ……!」

「だ、だから女もいるってばっ……!」

 壮太の言葉に、湯香里は疲労困憊ひろうこんぱいながらも言い返してくる。

 壮太は画面で皆の表情を確認した。湯香里もかなり疲れがきてるし、他のみんなも限界だ。

 本来なら後退すべきなのだろうが、今退しりぞけばそこで終わりだ。

 明日の皆の笑顔のために、退く事が許されない戦いなのである。

「おおおおおおっっっ!!!!」

 壮太は気力を振り絞り、餓霊を立て続けに両断した。だが次の相手が横から迫り、どうしても反応が遅れてしまう。

「ぐうっ!!!」

 咄嗟に防御の電磁障壁シールドを展開したが、相殺し切れない威力で吹っ飛ばされた。

「そっ、壮太っ……!!!」

 湯香里が何か叫んだが、何を言っているかまでは分からない。

「………っ!」

 必死に手を伸ばし、レバーを掴む壮太だったが、敵は間近に迫っていた。

 あの火車タイプの餓霊であるが、更に形を進化させ、幾多の角まで生え始めている。

 やがて相手は、車体前面にある口を開いた。

 西洋彫刻のごとく整った顔が、口裂け女のようにあごを開くと、中に赤い炎がちらついた。

 炎は見る間に大きくなり、高密度の火球へと成長していくのだ。

(まっ、負けてたまるかよっ……!!!)

 壮太は必死に立ち向かおうとした。

 それでも機体が動かないのだ。

 手は他人のそれのように言う事を聞かず、視界が徐々に歪んでいく。

 火車の口腔の火球は、そこで急速に巨大化した。

(……あっ……俺、死んだ……)

 だが壮太が他人事のように思った瞬間、一筋の光が飛来し、火車の眉間みけんを貫通したのだ。

 そして壮太の眼前に、1機の人型重機が降り立った。

「みんな偉いよ、よく頑張ったね! 痛かったでしょ、怖かったでしょ?」

 機体は外部拡声器スピーカーで呼びかけながら、ブイサインで仁王立ちした。

「でもここからは大丈夫…………だからっ、ボクらにいっちょ、任せてご覧よっ!!!」

 そして新手の人型重機は、次々大地に降り立ってくる。

「ったく緊張感がないんだよ、ヒカリは」

「今更ヒカリに言ったって無理よん♪ このちひろお姉さんが保証するから」

「そんな事、保証しないで欲しいですね」

 彼らは口々に会話しながら、壮太達を守るように並び立った。

「あ…………っ!!!」

 その機影に……そして各所に施された識別マークに、壮太は息を飲んだ。

 3本足のヤタガラスを模したその紋は、何度も写真で目にしたものだ。

 かつてこの国が絶望に染まっていた頃、日本中を駆け巡って人々を守った伝説の人型重機部隊……神武勲章レジェンド隊のものだったのだ。
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