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第六章その13 ~もしも立場が違ったら~ それぞれの決着編
ここでお別れなの…!
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誠達を乗せた機体は、ただひたすらに降下していた。床の割れ目を通って階下へ、そこから更に次の階へ。
時折壁が揺れ動く以外、意外にも静寂が支配していたその時間に、鶴は懸命に話し続けた。
「こんな事言ったら、ナギっぺに怒られるだろうけど……私、ほんとに幸せだったの」
「……うん」
「前世だと、最後は一緒に戦えなかったでしょ? それがこうして黒鷹と、最後まで来られた。もう人生のリベンジ完了、生まれてきた甲斐があったってものなの」
「……うん」
誠は機体を操作しながら、ただ鶴の話を聞いていた。
「……ね、黒鷹も嬉しい?」
「……嬉しい。滅茶苦茶嬉しいよ」
誠も迷わず答えていた。
「前世はヒメ子より先に死んだからな。今生はちゃんと守れてよかった」
「わあ嬉しい……ほんとに幸せだわ……!」
鶴は照れ臭そうに微笑んだ。前を向いている誠にも、彼女が笑っているのが分かったのだ。
やがて鶴は静かに言った。
「ほんとにほんとに幸せ過ぎて、このままずっと居たかったんだけど……どうもそれが無理みたいなの」
「……っ!!!」
その言葉は、誠の心臓を掴んで揺さぶった。
「黒鷹、止まって……!」
誠は機体の降下を停止させる。
やがて虚空に光が輝くと、あの闇の神人・鳳天音が現れたのだ。
「待っていたぞ、高天原の神人よ……!!!」
既に夜叉がごとき表情の天音は、そう言って全身に力を漲らせた。
凄まじい邪気が台風のように駆け巡り、誠の機体を大きく揺らした。
「あの人からは、どうやっても逃げられないわ。だからここでお別れなの」
「ヒメ子……」
誠は立ち上がり、鶴の方へと振り返った。
頭の中が真っ白になって、何を言ったのかも覚えていない。もしかしたら、ありがとうと言った気がした。
鶴はぎゅっと誠を抱き締める。そのまま頬ずりするように顔を寄せた。
温かな肌のぬくもりが、長い髪の手ざわりが。抱き寄せた肩の柔らかさが、潮風の香る鎧が。
全てが500年分の愛おしさとなって押し寄せ、誠の胸を締め付けた。
「頑張るわ、最後まで……!」
「頼んだ、ヒメ子……!」
次の瞬間、鶴は誠の腕の中から姿を消した。
そのまま外に現れると、巨大化したコマの背に乗って着地したのだ。
誠は前に向き直った。
胸に渦巻く激しい感情を振り切るように、強くレバーを握り締める。
そのまま機体を操ると、再び下へ加速させたのだ。
時折壁が揺れ動く以外、意外にも静寂が支配していたその時間に、鶴は懸命に話し続けた。
「こんな事言ったら、ナギっぺに怒られるだろうけど……私、ほんとに幸せだったの」
「……うん」
「前世だと、最後は一緒に戦えなかったでしょ? それがこうして黒鷹と、最後まで来られた。もう人生のリベンジ完了、生まれてきた甲斐があったってものなの」
「……うん」
誠は機体を操作しながら、ただ鶴の話を聞いていた。
「……ね、黒鷹も嬉しい?」
「……嬉しい。滅茶苦茶嬉しいよ」
誠も迷わず答えていた。
「前世はヒメ子より先に死んだからな。今生はちゃんと守れてよかった」
「わあ嬉しい……ほんとに幸せだわ……!」
鶴は照れ臭そうに微笑んだ。前を向いている誠にも、彼女が笑っているのが分かったのだ。
やがて鶴は静かに言った。
「ほんとにほんとに幸せ過ぎて、このままずっと居たかったんだけど……どうもそれが無理みたいなの」
「……っ!!!」
その言葉は、誠の心臓を掴んで揺さぶった。
「黒鷹、止まって……!」
誠は機体の降下を停止させる。
やがて虚空に光が輝くと、あの闇の神人・鳳天音が現れたのだ。
「待っていたぞ、高天原の神人よ……!!!」
既に夜叉がごとき表情の天音は、そう言って全身に力を漲らせた。
凄まじい邪気が台風のように駆け巡り、誠の機体を大きく揺らした。
「あの人からは、どうやっても逃げられないわ。だからここでお別れなの」
「ヒメ子……」
誠は立ち上がり、鶴の方へと振り返った。
頭の中が真っ白になって、何を言ったのかも覚えていない。もしかしたら、ありがとうと言った気がした。
鶴はぎゅっと誠を抱き締める。そのまま頬ずりするように顔を寄せた。
温かな肌のぬくもりが、長い髪の手ざわりが。抱き寄せた肩の柔らかさが、潮風の香る鎧が。
全てが500年分の愛おしさとなって押し寄せ、誠の胸を締め付けた。
「頑張るわ、最後まで……!」
「頼んだ、ヒメ子……!」
次の瞬間、鶴は誠の腕の中から姿を消した。
そのまま外に現れると、巨大化したコマの背に乗って着地したのだ。
誠は前に向き直った。
胸に渦巻く激しい感情を振り切るように、強くレバーを握り締める。
そのまま機体を操ると、再び下へ加速させたのだ。
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