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4話~土日~
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第4話~ぼっちの土日~
待ちに待った土日。世間では、友達と出かけたり、恋人とデートに行ったりとなにかと賑やかになる曜日である。遊園地やショッピングモールはそんな人だかりで一杯である。商魂たくましい店はここぞとばかりに大感謝セール、赤字覚悟の大売り出し、カップル割等という甘い言葉を振りまき、人を集めている。このデフレ環境では年中セールをやっているように感じる。
僕はそんなセールの巣窟には出向くことはなく、一人、家の中で漫画、アニメ、ゲームというザ・オタクと言われても仕方ない趣味を楽しむ。自分の能力で指一本触れずともお菓子が口の中に入っていき、誰にも害されず、自分に心地よい環境の中、心身を休める。
来客などはない。来ても宅配のお兄さんぐらいだ。今日はふるさと納税のお米が届く日だから、他人と話す言葉は「サインお願いします」からの「ありがとうございました」の一言になりそうだ。
電話も来ない。固定電話はずっと留守録状態であり、そもそもかかってきても勧誘の電話くらいだ。携帯電話も家族と学校の緊急連絡先のみだ。まずかかってこない。
僕は正真正銘のぼっちだ。ラブコメにでてくるような偽物のコミュ障ぼっちではない。
「あぁ~幸せだな~」
そんなとき、呼び鈴がなる。
米、届くの早いな。10時くらいで指定していたのに、20分も早く来るとは。
「は~い、今行きます」
一応インターホンは備わっている。しかし、あまりにも来客が限定されているためまず使わない。すぐにボールペンを持って玄関の鍵を開ける。扉を開けると、見知った顔がいた。花崎さんである。
「やっほ~、来ちゃった、今日ヒマ?」
「・・・・・・」
ガチャン。鍵を閉めた。インターホンを使わなかったことを心の底から後悔した。いや、そもそも外のカメラで見て、居留守を使えばよかったのだ。僕としたことが。そもそも『やっほ~』ってなんだ。女子がよくやっているようだが山びこでも聞きたいのか?
「え!?ちょっと開けてよ!私を閉め出さないで~」
玄関先で騒いでやがる・・・・・・このまま放置していれば近所迷惑だ。いくらぼっちで周りを気にしない僕でもさすがにそれはまずい。騒音は法律問題になるレベルだ。くそっ、なんで僕だけの土日にこんな気苦労をせねばならんのだ。
一息おいて、また鍵を開けると満面の笑みの少女、花崎さんが立っている。
「やっと開けてくれた。あっこれね、新しい服着てきたんだけど、この服、どう?」
いきなり出会い頭に何を聞いてくるのだろうか。それもこの正真正銘、ぼっちに。当然服にはまったく詳しくないのでよくわからない。そもそも最近?かどうかわからないがテーパードなんちゃらとか、ニットのなんちゃらとかカタカナが多すぎる。ラノベや小説でいろいろ服の説明描写があるが何を言っているのかさっぱりわからない。服を買う時も、とにかく機能面重視で、とにかく暖かい服をください!とか涼しい服をください!とかだ。というよりそもそも服など買わない。旅行もお出かけもしないぼっち。所詮布きれに払う金など持ち合わせていない。
「いいと思いますよ」
「それだけ?」
「それだけ」
「なにか感想とかないの?」
「ないです」
ラブコメや恋愛小説ならここで、照れながらキザな台詞を吐いたり、複雑な心理描写が始まるが、僕は実にシンプル。そもそも人に興味はない時点で、ラブコメの主人公とは違う。そして僕は大して顔がいいわけでもないところから、比較対象としてもおかしい。
ラブコメや恋愛小説の設定上ではフツメンとか中の下とか言っている割に、絵柄が妙にイケメンで、意味がわからなくなる時がある(まぁ本当に中の下のイラストであれば誰も本を買わないだろうからしかないのかもしれない)。いや、そもそも主人公というのがおこがましい。僕は雑踏の中に描かれるモブ622号あたりがちょうどいい。
「で、なにかご用ですか?」
僕から発せられる言葉は常に業務連絡。それで十分である。
「いや、昨日ね、カフェでみんなと盛り上がったんだけど、前田君いなかったじゃない?だから別で一緒にいきたいな~とおもって」
みんなと行ったから、僕もということか。日本人の典型的かつ効果的な誘い方だ。みんながやっていることですから、みなさんにもお願いしていることですから、などなど、自分だけが違うという不快感を強烈に刺激し、癒やす言葉。実に巧妙である。だがしかし、僕には通用しない。
なんでおまえ、そんなに上から目線なの?そんなんじゃ社会でやっていけないぞ!とお叱りを受けるかもしれないが、嫌なものは嫌なのである。人生はわがままに生きる。自由に生きる。これぞぼっちの流儀だ。プロフェッショナル、ぼっち。
「あー、わざわざ来てくれて申し訳ないんだけど、荷物が来るの待ってるから、やめときます」
「いいよいいよ、ちょっとくらい待つよ、何時くらいに来るの?」
実際、もうすぐ荷物は届きそうだ。だがここは嘘も方便・・・・・・
「少し2時間くら・・・・・・あっ」
タイミング悪くいつもの運送会社のお兄さんが来た。
「サインお願いします」
「あ、はい、ありがとうございました」
くっ・・・・・・間が悪い!花崎さんはニマニマしている。
「荷物も届いたみたいだし、大丈夫そうかな?」
万事休す。あぁ、せっかくの休日が・・・・・・
勝ち?を確信し、満足げな花崎さん。何がそんなに誇らしいのかわからないがここはどうしようもない。
するとそこへ、なんと、あのタロウが歩いているではないか!
タロウを視界に収め、能力を行使する。
慌てて能力を使ったため、タロウはまるでムーンウォークをしながら近づいてくるという相当不気味な感じでやってきた。近所の視線を集め、しかも無理矢理過ぎたのか靴と道路の摩擦熱で若干煙まで出ている・・・・・・マイケル・ジャクソン風の登場ということでポジティブに捉えよう。
「あれ、タロウ君じゃないですか!」
すこしわざとらしいかもしれないが、少し大きめに声を上げる。
「あれ?前田と、なんで花崎さんが!?」
「ああ、ちょうど花崎さんがどこか行きたいとこがあるみたいなんだけど、ちょっと僕行けなくて。代わりにタロウ君行ってくれないですか?」
「俺はもちろんいいよ!」
「え、でも私は前田君と・・・・・・」
「ほらほらほら、行ってきてください!」
能力を使い、タロウと花崎さんは腕を組み、まるでカップルのごとき雰囲気に仕上がった。そして能力をさらに使い、二人は超特急で地平線の彼方へ消えていった。
少し強引すぎたが、あの八方美人の花崎さんのことだ。タロウといえど無下に接することはできまい。これにて一件落着である。僕はまた部屋に戻り、何事もなかったかのように土曜日をエンジョイした。
・・・・・・そして、翌朝、日曜日。また花崎さんは僕の家にやってきた。
しかし今度は抜かりない。インターホンのカメラできっちり花崎さんを確認するやいなや、速攻で『居留守』というぼっち最強戦略を敢行することができた。
2度のチャイム、無視する。
そしてしばらく立ってから3度目、4度目のチャイムが鳴る。僕はカメラでドキドキしながら花崎さんが立ち去るのを待った。普通ならここで『あれ?いないのかな?』と思うはずだ。
チャイムがやむ。
そして『今日は前田君いないのか~』という音声と一緒に、カメラから花崎さんは消えた。
「よし、ミッションコンプリート」
カメラを切り、くぅ~と喜びをかみしめ小躍りする。これで日曜日も最高のぼっちライフを満喫することができる。さて、と自分の部屋へ戻ろうとした瞬間、またチャイムが鳴った。
「おはようございます。郵便です」
インターホンから音声が流れる。
「は~い」
小躍りしながら、扉を開ける。
「ばあ!!」
「!?」
油断した!思わず力を行使し、急に飛びついてくる何かを弾き飛ばす。花崎さんであった。ここまでするか、と僕は思った。漫画ではコントでも、現実ではたとえ美少女だろうと恐怖である。
「あれ、なんで私吹き飛んでるんだろう?まっいいか、ってそれより、いるなら前田君でてきてよ~」
「防犯意識高めでいいことです」
「私は犯罪者扱い!?」
やれやれ、今日もまたどうしたもんか。またタロウが来てくれたら、花崎さんとのデートをプレゼントしてやるのにな。
「で、ご用件は?」
「いやー、なんか昨日はいろいろあっちゃって、結局前田君と行けなかったから、また来ちゃった!」
また来ちゃった!(てへっ)じゃなくて、そんな笑顔は僕にではなく、他の高校生男子に振りまけばお金が取れるに。
「やっぱりカフェとか嫌かな?」
「いやです」
「即答だね!?」
上目遣い、このあざとさ、きゅるーんという擬態語が湧いてきそうなこの雰囲気をさっと作り出すその技術、花崎さんは男子高校生の純情をもてあそぶプロなのか?残念だが、ぼっちの僕には通用しないぞ、よそでやってくれ。
「そっか・・・・・・それじゃせっかくここまで来ちゃったし、前田君のお家にお邪魔してもいいかな?」
「お邪魔しないでください」
「えー、そんなに抵抗するなんて、なにかやましいこととかあるんでしょ~ニマニマ」
朝から若い高校生男女が玄関先で、こんなワイワイやっていると近所の人が何事かと好奇の視線を向けてくる。おばちゃんなんかは容赦なくズバズバ言ってくる。
「あっらー、カップル?朝からいいわね~」
「なんか言い合ってるわ~、若いっていいわね!」
・・・・・・ここは折れるしかないのか。
「ほらほら~、なんか私たち目立っちゃってるよ~」
花崎さんは追い打ちをかけてくる。
「わかった、わかりました、どうぞお邪魔・・・・・・はしないでください」
またもや勝ち?を確信し、満足げな花崎さん。それは違う、僕は負けたのではなく、戦略的撤退をしたまでだ。今回の襲撃を防いでも、また次が来ると思うと心労過多で死んでしまう。だったら一度受け入れて、もう二度と来ないようにした方がトータル的にプラスだと判断しただけだ。花崎さん襲撃の大義名分は『みんなとお話ししたけど前田君とはまだ』だったはずだ。それさえなければ、もう二度と関わることなくなるだろう。
僕はぼっち、かたや花崎さんはクラスの女子男子ともに人気者。そんな不釣り合いなもの同士はフェードアウトする。それが現実だ。
ウキウキしながら花崎さんが家の中にやってきた。
対して超防御態勢の僕。「初めて女子が僕の家に!」なんて狂喜乱舞するラブコメの主人公がいるホワホワした世界を決して想像していけない。
これは今後のぼっち生活を守るための、天下分け目の決戦なのである。
待ちに待った土日。世間では、友達と出かけたり、恋人とデートに行ったりとなにかと賑やかになる曜日である。遊園地やショッピングモールはそんな人だかりで一杯である。商魂たくましい店はここぞとばかりに大感謝セール、赤字覚悟の大売り出し、カップル割等という甘い言葉を振りまき、人を集めている。このデフレ環境では年中セールをやっているように感じる。
僕はそんなセールの巣窟には出向くことはなく、一人、家の中で漫画、アニメ、ゲームというザ・オタクと言われても仕方ない趣味を楽しむ。自分の能力で指一本触れずともお菓子が口の中に入っていき、誰にも害されず、自分に心地よい環境の中、心身を休める。
来客などはない。来ても宅配のお兄さんぐらいだ。今日はふるさと納税のお米が届く日だから、他人と話す言葉は「サインお願いします」からの「ありがとうございました」の一言になりそうだ。
電話も来ない。固定電話はずっと留守録状態であり、そもそもかかってきても勧誘の電話くらいだ。携帯電話も家族と学校の緊急連絡先のみだ。まずかかってこない。
僕は正真正銘のぼっちだ。ラブコメにでてくるような偽物のコミュ障ぼっちではない。
「あぁ~幸せだな~」
そんなとき、呼び鈴がなる。
米、届くの早いな。10時くらいで指定していたのに、20分も早く来るとは。
「は~い、今行きます」
一応インターホンは備わっている。しかし、あまりにも来客が限定されているためまず使わない。すぐにボールペンを持って玄関の鍵を開ける。扉を開けると、見知った顔がいた。花崎さんである。
「やっほ~、来ちゃった、今日ヒマ?」
「・・・・・・」
ガチャン。鍵を閉めた。インターホンを使わなかったことを心の底から後悔した。いや、そもそも外のカメラで見て、居留守を使えばよかったのだ。僕としたことが。そもそも『やっほ~』ってなんだ。女子がよくやっているようだが山びこでも聞きたいのか?
「え!?ちょっと開けてよ!私を閉め出さないで~」
玄関先で騒いでやがる・・・・・・このまま放置していれば近所迷惑だ。いくらぼっちで周りを気にしない僕でもさすがにそれはまずい。騒音は法律問題になるレベルだ。くそっ、なんで僕だけの土日にこんな気苦労をせねばならんのだ。
一息おいて、また鍵を開けると満面の笑みの少女、花崎さんが立っている。
「やっと開けてくれた。あっこれね、新しい服着てきたんだけど、この服、どう?」
いきなり出会い頭に何を聞いてくるのだろうか。それもこの正真正銘、ぼっちに。当然服にはまったく詳しくないのでよくわからない。そもそも最近?かどうかわからないがテーパードなんちゃらとか、ニットのなんちゃらとかカタカナが多すぎる。ラノベや小説でいろいろ服の説明描写があるが何を言っているのかさっぱりわからない。服を買う時も、とにかく機能面重視で、とにかく暖かい服をください!とか涼しい服をください!とかだ。というよりそもそも服など買わない。旅行もお出かけもしないぼっち。所詮布きれに払う金など持ち合わせていない。
「いいと思いますよ」
「それだけ?」
「それだけ」
「なにか感想とかないの?」
「ないです」
ラブコメや恋愛小説ならここで、照れながらキザな台詞を吐いたり、複雑な心理描写が始まるが、僕は実にシンプル。そもそも人に興味はない時点で、ラブコメの主人公とは違う。そして僕は大して顔がいいわけでもないところから、比較対象としてもおかしい。
ラブコメや恋愛小説の設定上ではフツメンとか中の下とか言っている割に、絵柄が妙にイケメンで、意味がわからなくなる時がある(まぁ本当に中の下のイラストであれば誰も本を買わないだろうからしかないのかもしれない)。いや、そもそも主人公というのがおこがましい。僕は雑踏の中に描かれるモブ622号あたりがちょうどいい。
「で、なにかご用ですか?」
僕から発せられる言葉は常に業務連絡。それで十分である。
「いや、昨日ね、カフェでみんなと盛り上がったんだけど、前田君いなかったじゃない?だから別で一緒にいきたいな~とおもって」
みんなと行ったから、僕もということか。日本人の典型的かつ効果的な誘い方だ。みんながやっていることですから、みなさんにもお願いしていることですから、などなど、自分だけが違うという不快感を強烈に刺激し、癒やす言葉。実に巧妙である。だがしかし、僕には通用しない。
なんでおまえ、そんなに上から目線なの?そんなんじゃ社会でやっていけないぞ!とお叱りを受けるかもしれないが、嫌なものは嫌なのである。人生はわがままに生きる。自由に生きる。これぞぼっちの流儀だ。プロフェッショナル、ぼっち。
「あー、わざわざ来てくれて申し訳ないんだけど、荷物が来るの待ってるから、やめときます」
「いいよいいよ、ちょっとくらい待つよ、何時くらいに来るの?」
実際、もうすぐ荷物は届きそうだ。だがここは嘘も方便・・・・・・
「少し2時間くら・・・・・・あっ」
タイミング悪くいつもの運送会社のお兄さんが来た。
「サインお願いします」
「あ、はい、ありがとうございました」
くっ・・・・・・間が悪い!花崎さんはニマニマしている。
「荷物も届いたみたいだし、大丈夫そうかな?」
万事休す。あぁ、せっかくの休日が・・・・・・
勝ち?を確信し、満足げな花崎さん。何がそんなに誇らしいのかわからないがここはどうしようもない。
するとそこへ、なんと、あのタロウが歩いているではないか!
タロウを視界に収め、能力を行使する。
慌てて能力を使ったため、タロウはまるでムーンウォークをしながら近づいてくるという相当不気味な感じでやってきた。近所の視線を集め、しかも無理矢理過ぎたのか靴と道路の摩擦熱で若干煙まで出ている・・・・・・マイケル・ジャクソン風の登場ということでポジティブに捉えよう。
「あれ、タロウ君じゃないですか!」
すこしわざとらしいかもしれないが、少し大きめに声を上げる。
「あれ?前田と、なんで花崎さんが!?」
「ああ、ちょうど花崎さんがどこか行きたいとこがあるみたいなんだけど、ちょっと僕行けなくて。代わりにタロウ君行ってくれないですか?」
「俺はもちろんいいよ!」
「え、でも私は前田君と・・・・・・」
「ほらほらほら、行ってきてください!」
能力を使い、タロウと花崎さんは腕を組み、まるでカップルのごとき雰囲気に仕上がった。そして能力をさらに使い、二人は超特急で地平線の彼方へ消えていった。
少し強引すぎたが、あの八方美人の花崎さんのことだ。タロウといえど無下に接することはできまい。これにて一件落着である。僕はまた部屋に戻り、何事もなかったかのように土曜日をエンジョイした。
・・・・・・そして、翌朝、日曜日。また花崎さんは僕の家にやってきた。
しかし今度は抜かりない。インターホンのカメラできっちり花崎さんを確認するやいなや、速攻で『居留守』というぼっち最強戦略を敢行することができた。
2度のチャイム、無視する。
そしてしばらく立ってから3度目、4度目のチャイムが鳴る。僕はカメラでドキドキしながら花崎さんが立ち去るのを待った。普通ならここで『あれ?いないのかな?』と思うはずだ。
チャイムがやむ。
そして『今日は前田君いないのか~』という音声と一緒に、カメラから花崎さんは消えた。
「よし、ミッションコンプリート」
カメラを切り、くぅ~と喜びをかみしめ小躍りする。これで日曜日も最高のぼっちライフを満喫することができる。さて、と自分の部屋へ戻ろうとした瞬間、またチャイムが鳴った。
「おはようございます。郵便です」
インターホンから音声が流れる。
「は~い」
小躍りしながら、扉を開ける。
「ばあ!!」
「!?」
油断した!思わず力を行使し、急に飛びついてくる何かを弾き飛ばす。花崎さんであった。ここまでするか、と僕は思った。漫画ではコントでも、現実ではたとえ美少女だろうと恐怖である。
「あれ、なんで私吹き飛んでるんだろう?まっいいか、ってそれより、いるなら前田君でてきてよ~」
「防犯意識高めでいいことです」
「私は犯罪者扱い!?」
やれやれ、今日もまたどうしたもんか。またタロウが来てくれたら、花崎さんとのデートをプレゼントしてやるのにな。
「で、ご用件は?」
「いやー、なんか昨日はいろいろあっちゃって、結局前田君と行けなかったから、また来ちゃった!」
また来ちゃった!(てへっ)じゃなくて、そんな笑顔は僕にではなく、他の高校生男子に振りまけばお金が取れるに。
「やっぱりカフェとか嫌かな?」
「いやです」
「即答だね!?」
上目遣い、このあざとさ、きゅるーんという擬態語が湧いてきそうなこの雰囲気をさっと作り出すその技術、花崎さんは男子高校生の純情をもてあそぶプロなのか?残念だが、ぼっちの僕には通用しないぞ、よそでやってくれ。
「そっか・・・・・・それじゃせっかくここまで来ちゃったし、前田君のお家にお邪魔してもいいかな?」
「お邪魔しないでください」
「えー、そんなに抵抗するなんて、なにかやましいこととかあるんでしょ~ニマニマ」
朝から若い高校生男女が玄関先で、こんなワイワイやっていると近所の人が何事かと好奇の視線を向けてくる。おばちゃんなんかは容赦なくズバズバ言ってくる。
「あっらー、カップル?朝からいいわね~」
「なんか言い合ってるわ~、若いっていいわね!」
・・・・・・ここは折れるしかないのか。
「ほらほら~、なんか私たち目立っちゃってるよ~」
花崎さんは追い打ちをかけてくる。
「わかった、わかりました、どうぞお邪魔・・・・・・はしないでください」
またもや勝ち?を確信し、満足げな花崎さん。それは違う、僕は負けたのではなく、戦略的撤退をしたまでだ。今回の襲撃を防いでも、また次が来ると思うと心労過多で死んでしまう。だったら一度受け入れて、もう二度と来ないようにした方がトータル的にプラスだと判断しただけだ。花崎さん襲撃の大義名分は『みんなとお話ししたけど前田君とはまだ』だったはずだ。それさえなければ、もう二度と関わることなくなるだろう。
僕はぼっち、かたや花崎さんはクラスの女子男子ともに人気者。そんな不釣り合いなもの同士はフェードアウトする。それが現実だ。
ウキウキしながら花崎さんが家の中にやってきた。
対して超防御態勢の僕。「初めて女子が僕の家に!」なんて狂喜乱舞するラブコメの主人公がいるホワホワした世界を決して想像していけない。
これは今後のぼっち生活を守るための、天下分け目の決戦なのである。
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