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生徒会勧誘編
後半戦③
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「今度は前橋っちにボールが渡った!」
間を通した縦パスが前橋に入り、トラップと同時にすぐさまシュートを放ったが、相手のキーパーによって防がれてしまった。
「ああっ……!」
「あ、危ねー!」
相手のナイスプレーだな今のは。
1対1でよく止めた。
「ごめん……高坂」
「何度でもパスしてやるから気にすんな」
このフォーメーションにしてから、こちらの攻撃が活性化され始めた。
3人が献身的に動いてくれているおかげでパスの受け手が多い。
「くそっ……! 一瞬でもマークを外されるとパスを通される……! どんなパス精度してやがるんだあの野郎……!」
「誰か山田とマークを変わりますか?」
「いや、山田以外ならDFがいないのと同じだろアイツにとっては。それよりもゴール前にパスを通させないことだ」
「ゾーンディフェンスにしますか? それなら最初からゴール前で構えてればいいだけですから、パスが出た所を狙えばいい」
「試してみる価値はあるな」
ゾーンディフェンス……。
一人一人にマークをつくマンマークではなく、決められたエリアを守るディフェンスのことだ。
ある意味マンマークよりも一般的なディフェンスとして認知されている。
「だそうだよ。こっちも何か手を打つかい?」
「いえ、このままで大丈夫です」
相手の攻撃を防ぎ切り、再び大鳥先輩からボールを渡されて前を向くと、相手は全員ハーフラインよりも手前に戻っていた。
そこまでは普通にボールを運ばせ、入ってきたところを叩く。
そういう守備の仕方だ。
「なら遠慮なく」
俺はそのままボールを運び、ハーフラインを越えたところで3人が打ち合わせ通りに動いた。
相手はその動きに合わせることなく、自分の決められたエリアを守っている。
確かにこちらの方が守りやすいのは間違いないと思う。
でも初心者の人にとっては案外マンマークの方が分かりやすい守備だったりする。
「新波先輩!」
ちょうど新波先輩が右からゴール前へ走り込んだタイミングに合わせてスルーパスを出した。
「あっ」
「なっ」
堂大寺会長と織田が守っている丁度間、お互いにどちらが行くべきか迷ってしまい、その結果二人とも固まってしまった。
いわゆる〝お見合い〟という形だ。
「わっとっ……えい!」
新波先輩のシュートはキーパーが伸ばした足とは反対の方に転がり、ゴールネットへと吸い込まれていった。
「や、やった~! 生まれて初めてゴール決めた~!」
「ナイスニーナ!」
「新波先輩さすがです」
「えへへ~」
やっぱりサッカーの醍醐味は点を決めることだ。
点を決めてみて初めてその良さが伝わる。
新波先輩もその良さを知れたようでよかった。
「おめでとうございます」
「高坂君もありがと~!」
ガバッと新波先輩に抱きつかれた。
ああ、多分この人、天然のたらしだ。
きっと異性でも関係なくボディタッチが多くて、スキンシップが激しいタイプの人なんだろう。
「ぐぬぬ……! 見せつけてくれる……!」
「許すまじ高坂……!!」
良いプレーをした時に向けられる憎しみとは違う感情が向けられてんな。
まぁ言わんとしたいことは分かるが。
「に、新波先輩……人前で抱きつくのはあまり……」
「そうね~ごめんなさい~」
前橋にたしなめられ、新波先輩が離れた。
もっとくっついてくれててもいいのよ。
「にしても、よく一本のパスで相手の足が止まるところへ出せたね」
神奈月先輩が感心したように聞いてきた。
「プロでも声出しをしないとお見合いプレーはあるんです。即興でゾーンディフェンスをやるにはお互いの意思疎通が取れてないと難しいんですよ。それに、今のは単純に新波先輩の動きも良かった」
たまたまではあると思うが、本当に良いところに走ってくれていた。
「だってさニーナ」
「えへへ~」
「このままゾーンディフェンスを続けてくれるならもっと楽になると思いますけど、そうはならないでしょうね」
俺の予想通り、それからの相手は元のマンマークに戻っており、一進一退の攻防が続いた。
終盤、疲れが出て来た一瞬の隙をつかれて一点を返されてしまい再び同点に。
前橋にも疲労の色が見えてきており、新波先輩にはほとんどゴール前で待機してもらっている状況だ。
ただし、それは相手にも同じことが言える。
走る相手にマンマークでつくというのはディフェンスの方がしんどかったりする。
肩で息している人もいるほどだ。
まだまだ動けるのは山田くらいだろう。
「ラストワンプレーです!」
梨音の声が聞こえた。
タイムアップからのラストワンプレー。
こちらのボールからのスタート。
同点の場合にどうなるのか分からないが、これを決めればこちらの勝ち。
ブザービートみたいなものだ。
「さぁ! ラスト頑張ろう!」
神奈月先輩の励ます声が響いた。
この人だけがサッカー未経験者の中で未だに元気だ。
あれだけ攻撃に守備と走り回っているのに、むしろ誰よりも。
さすが完璧超人と自負しているだけのことはある。
「よし、行くか」
俺は自分の右足に言い聞かせるようにそう言った。
間を通した縦パスが前橋に入り、トラップと同時にすぐさまシュートを放ったが、相手のキーパーによって防がれてしまった。
「ああっ……!」
「あ、危ねー!」
相手のナイスプレーだな今のは。
1対1でよく止めた。
「ごめん……高坂」
「何度でもパスしてやるから気にすんな」
このフォーメーションにしてから、こちらの攻撃が活性化され始めた。
3人が献身的に動いてくれているおかげでパスの受け手が多い。
「くそっ……! 一瞬でもマークを外されるとパスを通される……! どんなパス精度してやがるんだあの野郎……!」
「誰か山田とマークを変わりますか?」
「いや、山田以外ならDFがいないのと同じだろアイツにとっては。それよりもゴール前にパスを通させないことだ」
「ゾーンディフェンスにしますか? それなら最初からゴール前で構えてればいいだけですから、パスが出た所を狙えばいい」
「試してみる価値はあるな」
ゾーンディフェンス……。
一人一人にマークをつくマンマークではなく、決められたエリアを守るディフェンスのことだ。
ある意味マンマークよりも一般的なディフェンスとして認知されている。
「だそうだよ。こっちも何か手を打つかい?」
「いえ、このままで大丈夫です」
相手の攻撃を防ぎ切り、再び大鳥先輩からボールを渡されて前を向くと、相手は全員ハーフラインよりも手前に戻っていた。
そこまでは普通にボールを運ばせ、入ってきたところを叩く。
そういう守備の仕方だ。
「なら遠慮なく」
俺はそのままボールを運び、ハーフラインを越えたところで3人が打ち合わせ通りに動いた。
相手はその動きに合わせることなく、自分の決められたエリアを守っている。
確かにこちらの方が守りやすいのは間違いないと思う。
でも初心者の人にとっては案外マンマークの方が分かりやすい守備だったりする。
「新波先輩!」
ちょうど新波先輩が右からゴール前へ走り込んだタイミングに合わせてスルーパスを出した。
「あっ」
「なっ」
堂大寺会長と織田が守っている丁度間、お互いにどちらが行くべきか迷ってしまい、その結果二人とも固まってしまった。
いわゆる〝お見合い〟という形だ。
「わっとっ……えい!」
新波先輩のシュートはキーパーが伸ばした足とは反対の方に転がり、ゴールネットへと吸い込まれていった。
「や、やった~! 生まれて初めてゴール決めた~!」
「ナイスニーナ!」
「新波先輩さすがです」
「えへへ~」
やっぱりサッカーの醍醐味は点を決めることだ。
点を決めてみて初めてその良さが伝わる。
新波先輩もその良さを知れたようでよかった。
「おめでとうございます」
「高坂君もありがと~!」
ガバッと新波先輩に抱きつかれた。
ああ、多分この人、天然のたらしだ。
きっと異性でも関係なくボディタッチが多くて、スキンシップが激しいタイプの人なんだろう。
「ぐぬぬ……! 見せつけてくれる……!」
「許すまじ高坂……!!」
良いプレーをした時に向けられる憎しみとは違う感情が向けられてんな。
まぁ言わんとしたいことは分かるが。
「に、新波先輩……人前で抱きつくのはあまり……」
「そうね~ごめんなさい~」
前橋にたしなめられ、新波先輩が離れた。
もっとくっついてくれててもいいのよ。
「にしても、よく一本のパスで相手の足が止まるところへ出せたね」
神奈月先輩が感心したように聞いてきた。
「プロでも声出しをしないとお見合いプレーはあるんです。即興でゾーンディフェンスをやるにはお互いの意思疎通が取れてないと難しいんですよ。それに、今のは単純に新波先輩の動きも良かった」
たまたまではあると思うが、本当に良いところに走ってくれていた。
「だってさニーナ」
「えへへ~」
「このままゾーンディフェンスを続けてくれるならもっと楽になると思いますけど、そうはならないでしょうね」
俺の予想通り、それからの相手は元のマンマークに戻っており、一進一退の攻防が続いた。
終盤、疲れが出て来た一瞬の隙をつかれて一点を返されてしまい再び同点に。
前橋にも疲労の色が見えてきており、新波先輩にはほとんどゴール前で待機してもらっている状況だ。
ただし、それは相手にも同じことが言える。
走る相手にマンマークでつくというのはディフェンスの方がしんどかったりする。
肩で息している人もいるほどだ。
まだまだ動けるのは山田くらいだろう。
「ラストワンプレーです!」
梨音の声が聞こえた。
タイムアップからのラストワンプレー。
こちらのボールからのスタート。
同点の場合にどうなるのか分からないが、これを決めればこちらの勝ち。
ブザービートみたいなものだ。
「さぁ! ラスト頑張ろう!」
神奈月先輩の励ます声が響いた。
この人だけがサッカー未経験者の中で未だに元気だ。
あれだけ攻撃に守備と走り回っているのに、むしろ誰よりも。
さすが完璧超人と自負しているだけのことはある。
「よし、行くか」
俺は自分の右足に言い聞かせるようにそう言った。
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