俺はどうしても主人公になれない

もぐのすけ

文字の大きさ
2 / 36

2話 新入部員

しおりを挟む
 海野先輩から触りの部分しか聞いていないんだけど、桐生と知り合ったのも困った所を助けてくれたからだとさ。
 何とまぁありきたりなことだろうかね。
 でもそういうのを呼び寄せてしまう所が桐生らしいというかなんというか。

 助けてもらったついでで天文部の話をすると、桐生が渋々みたいな感じで手伝ってくれることになったんだと。

 バカか桐生。
 海野先輩から誘われて渋々とかやってるんじゃないぜ。
 海野先輩に頼られたいと思ってる男子がこの学校に何人いると思ってんだ。
 そのダルそうな感じも少しは自重しろ。

 とはいえ、だ。
 その桐生のお陰で俺も海野先輩とお近づきになることができたんだ。
 ごちゃごちゃ言ったけど、まとめてこう言おう。

 ファインプレーだ!!!


 既に顧問の先生も見つけていたみたいで、3人だけでも次の日から活動OKになった。
 だけど、活動といっても特別何かするわけじゃなかった。
 引き受けた部室に放課後集まって、海野先輩は持ってきてた望遠鏡を手入れしたり勉強したり、桐生は読書、俺は携帯をいじってダラダラ過ごしてるだけだった。
 もちろん雑談ぐらいは話すけど、桐生は自分からあまり話さないし、海野先輩も気を遣って俺に話してくれるみたいな感じだし、リラックスしてる感じはなかった。

 それでも3人共、毎日必ず放課後は部室に来てたし居心地が悪いわけじゃなかったんだと思う。
 俺なんて海野先輩と毎日一緒にいれるだけで幸福度数振り切れてたしね。
 同じクラスの奴に海野先輩と同じ部活に入ってるって言った時の優越感たるや。
 羨ましそうにしてる顔がたまらんかった。

 桐生は相変わらず女子にモテてた。
 何もしてないのにクラスの女子の連絡先ゲットしてたと思うぞたぶん。

 置いとくだけで寄ってくる。
 何ホイホイだよ。

 だけどやっぱり高校でも嫉妬する奴というか、面白くないと思う輩は少なからずいるんだよな。
 別に桐生が何かしたわけでもないのに、放課後、クラスでコソコソ愚痴ってて。
 別に誰だって一つや二つ愚痴るのは分かるけどよ、あろうことかそいつらは俺に賛同を求めてきたんだよ。

 だから思わずムカついて罵詈雑言浴びせてやったら喧嘩になった。

 3対1だぜ?
 ずるくね?
 勝てるわけなくね?
 しかもあいつら狡賢ずるがしこいことに、服の上からじゃ目立たない腹とか重点的に攻撃してきたんだぜ?
 やることが陰湿なのか開放的なのかどっちだよ。

 ボロボロで校舎裏の植え込みに放り投げ込まれて、へばってて。
 俺に主人公気質があれば3対1でも勝てたんだろーけど、流石にそんなに上手くはいかないわ。

 ついでにその日は初めて部活を休んだ。
 こんなボロボロでダサい格好で2人の前に顔なんか出したくなかったからしょうがない。
 今度あの3人には闇討ちで1人づつお礼参りしてやる。
 震えて眠れバーカバーカ。

 次の日学校に行ったら桐生に心配された。
 もしかして昨日のダサい出来事がバラされたか!? って思ったけど、「何で部活来なかったんだよ」だって。
 そういえば連絡の一つでもすりゃ良かったわ。

 放課後部室に行ったら海野先輩にも心配された。

「昨日は何か用事でもあったのかい?」って。

 冗談半分で「海野先輩の連絡先知らなかったから連絡できなかったんですよ~」って言ったら「じゃあせっかくだから交換しようか」って話になった。

 ラッキーすぎる。

 桐生に連絡したりとか、いくらでも手段はあったのに棚ぼただぜ。
 ついでに桐生と海野先輩も交換してた。


 そんなこんなで6月。
 特に大きなイベントもなく、海野先輩と特に進展もなく普段通りの1日を送っていた俺だけど、なんと『天文部』に新入部員が入ることになった。
 桐生が連れてきた部員だ。

 誰だと思う?
 なぁ誰だと思う?

 そうだよ。
 だいたい察しの通りだよ。
 海野先輩とついをなす我が校のアイドル。

 天条美咲ちゃんだ。

 もう瞳孔開いて四度見ぐらいした。
 何度も目で追ったことはあるけど、話したことはない。

「1年3組天条美咲です! 桐生君に誘われてこの部活に入ることになりました! よろしくお願いします!」

 うーん可愛い。
 海野先輩の大人のお姉さん感も良いけど、同級生のアイドル感もたまらんな。

 これでこの部活の敷居が馬鹿高くなった気がする。
 こっから入部希望者続出すんじゃねーの?
 できれば入れて欲しくはないけど、それは部長の海野先輩次第だからなぁ。
 でも現時点でも俺はすごい浮かれてた。
 そりゃ浮かれるぜ。

 あの2人と同じ部活にいるなんて、入学前の俺は思いもしないだろうな。
 俺の高校生活はバラ色待った無しだな!



 でも俺はその時、どうしようもなく周りが見えていなかった。
 客観的に見ればすぐに気付くのに、その時の俺は奇跡の展開に心浮かれて分からなかったんだ。
 …………いや、もしかすれば気付かなかったふりを無意識にしていただけなのかもしれない。
 もし、ここで気付けていたのなら、俺の未来はもう少し良いものに変わったのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

処理中です...