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3.配達開始
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居候させてくれているミルティさんだが決して暮らし向きがいい訳ではない。言っては難だが家は小さいし、食糧の備蓄も充分ではない為、家の横の家庭菜園で野菜や近くの森でキノコを採ったりしなくてはならない。そんな中、僕なんかを家に置いてくれているのだから、力になれる事があれば何だってやらなくちゃな。
そんな訳で今、大きめのカバンを肩に提げて町への道をえっちらおっちら歩いている。カバン中には大きめの瓶が3つ、その瓶の中には今朝絞り立ての彼女のミルクが入っている。彼女が言うにはどうやらケモヒトの乳は滋養が高く、売れるらしい。とはいえ住んでいる村には乳牛が居るのでミルクは間に合っているし、売ろうとするなら町へ出るのがいいとの事だった。
カバンで揺れる瓶はけっこうな重さだ。こんなに絞って大丈夫なのかと瓶を渡された時に心配になって尋ねてみたが、彼女の種族は日に何度か乳を搾らないと胸が張って辛くなる体質なのだそうだ。今まで何度も絞っては無駄に捨てる分ばかりだったのでちょうど良いのだと。ちなみにもう一つ気になってので聞いたみた。
「捨てるくらいだったら今まで自分で売りに行こうとは思わなかったんですか?」
すると彼女は顔を赤らめながら答えた。
「だって、自分で絞ったものを自分で売るだなんて恥ずかしいじゃないですか」
といったミルティさんとのやり取りを思い出していると町についた。村よりもしっかりとした丸太の柵で囲われており、門を通って中に入る。寄り道をせずにひとまず聞いていた広場へ。広場の中央のスペースは市場のようになっており、外から来た者が自由に商売できることになっているらしい。フリーマーケットのようなものかな。いや、むしろ蚤の市といった方が合っているかもしれない。
空いたスペースを見つけて、自分も商品である瓶を3本と値札を並べてみる。値段に関しては見当がつかなかったのでミルティさんに聞いてみた所、一本銅貨2,3枚くらいかなとのことだったので3枚に設定した。
朝早くに出た割に市は賑わっていた。見渡してみると食料品店が多いか。毛皮や書物、得体の知れない薬を扱っている店なんかもある。いろいろ見て回りたい気もするが、どうせ売れるまでお金はない、気長に構えよう。
「おい兄さん、これは何のミルクだね?」
えっ? おっ、声をした方を見ると尖り帽子を被った白髭の男が話しかけて来ている。何だ、客か? お客さんなのか!
「あっ、はい、こちらは乳牛のケモヒトから採れたミルクになります」
ぼうっとしていた頭を切り替えて何とかそう答えた。
「ふむ…この値段に間違いはないんだな?」
「えっ、ええ…」
「一応、鑑定の魔法を使わせてもらってもいいか?」
「あ、ええ、どうぞ…」
魔法? 魔法といったのか。元居た世界には存在し得なかった技術体系の一つが今見られるのか。
男が杖を瓶にあてがうと一瞬だけまばゆく光った。
「ふむ、どうやら本物のようだな、3本とも頂こう」
魔法はやっ!? いや、それよりも。
「まっ、待ってくれ!」
「何だ? 値段に間違いがないといったのはそっちだぞ」
その応答はやはりそうか。
「ひょっとしてこのミルクの相場はもっと高いんじゃないか?」
「ふん、相場も知らないで売ろうとしてたのか、吊り上げるつもりなら買わんぞ」
「ああいや、ええと……、一本はさっき言った通りこの値段で構いません。その代り、正しい相場を教えてはもらえませんか?」
交渉はほどなくして成立した。正しく教えてもらった値段は銀貨1枚。なんと設定額の3倍以上だった。ケモヒトのミルクが滋養があるという話は聞いていたが、実は体力増進などの一時的な副次効果も持ち、その効力を求めて冒険者と呼ばれる危険に飛び込む界隈に需要が高いそうだ。
一本を銅貨3枚で売った後、値段を銀貨1枚に設定し直す。それでも1時間に1本くらいのペースで残りの2本もはけた。そうして手に入れた銀貨2枚と銅貨3枚である。
とりあえず食料品を見て回り、銀貨1枚で干し肉と果物とチーズを買った。銅貨3枚で減った分の瓶の補充、こちらは5本セットが買えた。異世界の本も気になったがまたの機会にして、それらを手に村へと戻る。
そんな訳で今、大きめのカバンを肩に提げて町への道をえっちらおっちら歩いている。カバン中には大きめの瓶が3つ、その瓶の中には今朝絞り立ての彼女のミルクが入っている。彼女が言うにはどうやらケモヒトの乳は滋養が高く、売れるらしい。とはいえ住んでいる村には乳牛が居るのでミルクは間に合っているし、売ろうとするなら町へ出るのがいいとの事だった。
カバンで揺れる瓶はけっこうな重さだ。こんなに絞って大丈夫なのかと瓶を渡された時に心配になって尋ねてみたが、彼女の種族は日に何度か乳を搾らないと胸が張って辛くなる体質なのだそうだ。今まで何度も絞っては無駄に捨てる分ばかりだったのでちょうど良いのだと。ちなみにもう一つ気になってので聞いたみた。
「捨てるくらいだったら今まで自分で売りに行こうとは思わなかったんですか?」
すると彼女は顔を赤らめながら答えた。
「だって、自分で絞ったものを自分で売るだなんて恥ずかしいじゃないですか」
といったミルティさんとのやり取りを思い出していると町についた。村よりもしっかりとした丸太の柵で囲われており、門を通って中に入る。寄り道をせずにひとまず聞いていた広場へ。広場の中央のスペースは市場のようになっており、外から来た者が自由に商売できることになっているらしい。フリーマーケットのようなものかな。いや、むしろ蚤の市といった方が合っているかもしれない。
空いたスペースを見つけて、自分も商品である瓶を3本と値札を並べてみる。値段に関しては見当がつかなかったのでミルティさんに聞いてみた所、一本銅貨2,3枚くらいかなとのことだったので3枚に設定した。
朝早くに出た割に市は賑わっていた。見渡してみると食料品店が多いか。毛皮や書物、得体の知れない薬を扱っている店なんかもある。いろいろ見て回りたい気もするが、どうせ売れるまでお金はない、気長に構えよう。
「おい兄さん、これは何のミルクだね?」
えっ? おっ、声をした方を見ると尖り帽子を被った白髭の男が話しかけて来ている。何だ、客か? お客さんなのか!
「あっ、はい、こちらは乳牛のケモヒトから採れたミルクになります」
ぼうっとしていた頭を切り替えて何とかそう答えた。
「ふむ…この値段に間違いはないんだな?」
「えっ、ええ…」
「一応、鑑定の魔法を使わせてもらってもいいか?」
「あ、ええ、どうぞ…」
魔法? 魔法といったのか。元居た世界には存在し得なかった技術体系の一つが今見られるのか。
男が杖を瓶にあてがうと一瞬だけまばゆく光った。
「ふむ、どうやら本物のようだな、3本とも頂こう」
魔法はやっ!? いや、それよりも。
「まっ、待ってくれ!」
「何だ? 値段に間違いがないといったのはそっちだぞ」
その応答はやはりそうか。
「ひょっとしてこのミルクの相場はもっと高いんじゃないか?」
「ふん、相場も知らないで売ろうとしてたのか、吊り上げるつもりなら買わんぞ」
「ああいや、ええと……、一本はさっき言った通りこの値段で構いません。その代り、正しい相場を教えてはもらえませんか?」
交渉はほどなくして成立した。正しく教えてもらった値段は銀貨1枚。なんと設定額の3倍以上だった。ケモヒトのミルクが滋養があるという話は聞いていたが、実は体力増進などの一時的な副次効果も持ち、その効力を求めて冒険者と呼ばれる危険に飛び込む界隈に需要が高いそうだ。
一本を銅貨3枚で売った後、値段を銀貨1枚に設定し直す。それでも1時間に1本くらいのペースで残りの2本もはけた。そうして手に入れた銀貨2枚と銅貨3枚である。
とりあえず食料品を見て回り、銀貨1枚で干し肉と果物とチーズを買った。銅貨3枚で減った分の瓶の補充、こちらは5本セットが買えた。異世界の本も気になったがまたの機会にして、それらを手に村へと戻る。
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