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6.『今日から使える初級錬成術指南書』
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結論から言うと今朝ミルティさんを絞って得た4本のミルク瓶は全部売れた。相場通りの銀貨1枚で売っていたのだが3本値切られてしまい、今日の稼ぎは銀貨3枚と銅貨が6枚になった。
昨日と同じようにまずは食料品を見て回る。これだけの量のミルクを出して頂いてるのだからミルティさんには栄養のあるものをしっかり食べてもらわないと。チーズは昨日、半ホール買ったのでまだまだあるだろう。今朝仕留めたばかりだというウサギの肉が売っていたのでそれを買い、家庭菜園では栽培していない野菜も買ってみる。そういえば昨日の食卓でミルティさんが美味しそうに果物を食べていたのを思い出した。昨日とは違う種類の果物も買っていこう。減った分の瓶も補充しないといけない。瓶の方は少し考えて、昨日買った5本セットのを1つと、少々値が張ったがスキットルと呼ばれる小型の銀メッキの水筒を1つ買った。
結局それだけ買って残ったのは銀貨1枚。昨日の分を合わせるとポケットには銀貨2枚が入っている。屋根の修繕費用は村人に聞いた話では、確か銀貨数十枚もするらしいから無駄遣いは出来ない。
冷やかし目的で昨日は見なかった書物を並べてある屋台を見る。この世界の文字、言語についてもだが、これらは学習してないのに何故か普通に話せるし、読みも書きもする事が出来た。その割に文字は明らかに見覚えのないものだったりする。見た事の無い文字なんだけれどジッと眺めていると読んだり出来るようになる。なんだか頭の中がもにょっとして気持ち悪いが、1から学習する事を考えるとこっちのが遥かに楽なので有り難いことだ。これについては何の根拠もないが、元居た世界での経験がパラメータ的に参照されてこの世界に当て嵌められているからじゃないかと雑な推論を立ててみる。まあ確かめようもないし割とどうでも良かった。
それよりも一冊、目を引く書物があった。『今日から使える初級錬成術指南書』これはまた元世界現代風なタイトルな。手に取ってパラパラとめくる。スライムの錬成、泥人形の錬成、手足のついた無機物に浮遊霊を降ろす方法等々。本当に出来るのかこんなの。
「お兄さんその本に興味あるの?」
「ん、ああ何となく見てただけだよ」
店主から声をかけられた。少女のようだ、予想以上に声が若くて驚く。やたら猫背だしフードを目深に被っていて顔が見えなかったから爺さんか婆さんかと思っていた。傍らに杖のような物も立てかけてあるし。
「そっかぁー、その本はオススメだよー、なんてったって自分が使役出来る下僕(しもべ)が作れるんだからねっ!」
きっしっしと少女が屈託なく笑う。営業スマイルというよりは純粋に愉快そうだ。
「その下僕は何が出来るんだい?」
「自分の代わりに魔物と戦う!」
「他には?」
「身代わりになる!」
「他は?」
「……初級錬成で作れる低級下僕に多くを求めちゃいけないよ、お兄さん」
どうやら複雑なことは出来ないらしい。とはいえ、自分の代わりに戦ってくれるのならそれはそれで有益だろうか。自分の非力さは何より痛感している所だし。異世界の技術を一つ身に付けるのも悪くないような気がした。
「いくらだい?」
「銀貨1枚」
「高いな」
「これだけ技術が載ってるんだから格安だって!」
「うーむ」
すみませんミルティさん、屋根を治すのはもうしばらく掛かりそうです。
「毎度ありー♪」
こうして有用かも分からない本を半ば興味本位に買ってしまってから町を出る。
気づけばもう昼だ。ミルティさんが待ってるかもしれないし、急いで戻ろう。
昨日と同じようにまずは食料品を見て回る。これだけの量のミルクを出して頂いてるのだからミルティさんには栄養のあるものをしっかり食べてもらわないと。チーズは昨日、半ホール買ったのでまだまだあるだろう。今朝仕留めたばかりだというウサギの肉が売っていたのでそれを買い、家庭菜園では栽培していない野菜も買ってみる。そういえば昨日の食卓でミルティさんが美味しそうに果物を食べていたのを思い出した。昨日とは違う種類の果物も買っていこう。減った分の瓶も補充しないといけない。瓶の方は少し考えて、昨日買った5本セットのを1つと、少々値が張ったがスキットルと呼ばれる小型の銀メッキの水筒を1つ買った。
結局それだけ買って残ったのは銀貨1枚。昨日の分を合わせるとポケットには銀貨2枚が入っている。屋根の修繕費用は村人に聞いた話では、確か銀貨数十枚もするらしいから無駄遣いは出来ない。
冷やかし目的で昨日は見なかった書物を並べてある屋台を見る。この世界の文字、言語についてもだが、これらは学習してないのに何故か普通に話せるし、読みも書きもする事が出来た。その割に文字は明らかに見覚えのないものだったりする。見た事の無い文字なんだけれどジッと眺めていると読んだり出来るようになる。なんだか頭の中がもにょっとして気持ち悪いが、1から学習する事を考えるとこっちのが遥かに楽なので有り難いことだ。これについては何の根拠もないが、元居た世界での経験がパラメータ的に参照されてこの世界に当て嵌められているからじゃないかと雑な推論を立ててみる。まあ確かめようもないし割とどうでも良かった。
それよりも一冊、目を引く書物があった。『今日から使える初級錬成術指南書』これはまた元世界現代風なタイトルな。手に取ってパラパラとめくる。スライムの錬成、泥人形の錬成、手足のついた無機物に浮遊霊を降ろす方法等々。本当に出来るのかこんなの。
「お兄さんその本に興味あるの?」
「ん、ああ何となく見てただけだよ」
店主から声をかけられた。少女のようだ、予想以上に声が若くて驚く。やたら猫背だしフードを目深に被っていて顔が見えなかったから爺さんか婆さんかと思っていた。傍らに杖のような物も立てかけてあるし。
「そっかぁー、その本はオススメだよー、なんてったって自分が使役出来る下僕(しもべ)が作れるんだからねっ!」
きっしっしと少女が屈託なく笑う。営業スマイルというよりは純粋に愉快そうだ。
「その下僕は何が出来るんだい?」
「自分の代わりに魔物と戦う!」
「他には?」
「身代わりになる!」
「他は?」
「……初級錬成で作れる低級下僕に多くを求めちゃいけないよ、お兄さん」
どうやら複雑なことは出来ないらしい。とはいえ、自分の代わりに戦ってくれるのならそれはそれで有益だろうか。自分の非力さは何より痛感している所だし。異世界の技術を一つ身に付けるのも悪くないような気がした。
「いくらだい?」
「銀貨1枚」
「高いな」
「これだけ技術が載ってるんだから格安だって!」
「うーむ」
すみませんミルティさん、屋根を治すのはもうしばらく掛かりそうです。
「毎度ありー♪」
こうして有用かも分からない本を半ば興味本位に買ってしまってから町を出る。
気づけばもう昼だ。ミルティさんが待ってるかもしれないし、急いで戻ろう。
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