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先ほどオオカミだったものが狩猟小屋のテーブルを叩いた。
「これ、何とか解体出来ないでしょうか?」
「うおっ、これ君がやったのか?!」
狩猟小屋には狩人らしき青年が一人で暇そうにしていた。
僕が言うのもあれだけど、線が細く、どこか頼りなげに見える。
「出来れば肉が欲しいんですが」
「ああ、待っていてくれ! すぐに取りかかろう」
良かった、ナイフで捌くのはさすがに大変そうだったから助かる。
青年は慣れているらしくテキパキと作業を進めていく。
「それにしても君やるなぁ、ミルさんとこの人だろ?」
「ええ、まあ今回はたまたま上手くいっただけですよ」
「歳も近そうだし、もっと砕けた喋り方でいいよ。僕はエンハンス、狩人やってるけれど専ら後方支援さ」
この世界の人はどちらかと言えばみな西洋よりだ。その中で日本人の僕はどうやら実年齢より若めに見えるのかもしれなかった。
「ひじたかだよ。それにしてもこいつら危険じゃないか? 仲間も呼ぶし、知恵も回る」
「それなんだけれどね。最近、強力なリーダーが出来たみたいで、そいつを主導に急に統率を取れた動きをするようになったんだ。勢力圏を拡大しているのもそのせいさ」
「じゃあ、そのリーダーさえ倒すことが出来たら…」
「うん、僕ら狩人もそう思ってね。何とか倒そうとしたんだけれど失敗して負傷者が出た。前衛が二人ともやられて、ただでさえ人数不足だったから今動けるのはもう僕だけさ。そして情けない話、僕一人じゃどうしようもない」
「なるほど、危険な仕事なんだな」
エンハンスは苦笑しながら言う。
「ほんとはもっと大人数でやれるといいんだけどね、戦えそうな奴はみんな町へ行っちゃったよ」
処理の済んだオオカミの肉をもらう。他部位は今のところ使い道が思いつかないのでエンハンスに任せた。
「なあ、もし仕事が決まってないのならここで僕と狩人やらないかい?」
「考えておくよ。今はまったく仕事がないわけじゃないんだ」
「そっか、またな。もしまた何か狩ったら遠慮せずに持って来てくれ、使えるように加工するよ」
「ありがとう」
「ミルー、いつまでそこでへこんでるのー」
「ううぅぅぅ……」
仕立て屋の店内の一角で落ち込んでいる私の頭をトワールが突っついた。
「あなたのブラとっくに仕立て終わったわよ。今度はすぐダメにならないようにかなり補強しておいたから」
「トワー、ありがとう~」
「それとこれ、また全滅した時用の新しいサラシ布」
「はうぅぅぅ……どうして渡しちゃったんだろぅぅ……」
布が必要だって言われて、ちょうどそんな感じの布だって言われて、それじゃあって慌てて手渡しちゃった時の自分を全力ではたきに行きたい。
「気づいてなかったんでしょう? 大丈夫だって、男の人なんて妙に長い手拭いくらいにしか思わないわよ」
「そうかなぁ…?」
「まあミルの場合、かなーり長いけれど…」
「絶対ヘンに思われたよぉ~…」
「ほらほら、それよりもサイズあってるか試着する」
トワールは私を立たせると奥の試着室の方へとグイグイと押し込む。
いつまでも落ち込んでいても仕方ない。衣服を脱いで新しいブラを試着してみる。んっ、丁度かな。
「どうー?」
「うん、いけそう」
「どれどれ」
「わっ!?」
シャッとカーテンが開いた。
「相変わらず、すごいサイズね~。ミルの作る時の布の消費がすんごい」
「仕方ないでしょ、そういう生まれなんだから」
「森とか動きの激しいとこ行く時はちゃんと運動用の着けてる?」
「着けてるよ。揺れが少なくなって動きやすいかも。ごめんね、いつもオーダーメイドしてもらっちゃって」
「いいのよ、それが私の仕事なんだから遠慮しないでもっと頼ってよ。友人としてもそっちのが嬉しいし」
「トワ……良いこと言ってくれるのはいいんだけ、どぉ~……んぁっ、胸揉みながらは止めてぇ~」
「えーー? ふっへっへっへっ! やわっこいなぁ~」
「あんっ、もー、止めなさい!」
「それにしても、色は白だけでいいの」
「えっ?」
「いや、ミルがどう思ってるかは知らないけれど男って下着の色、気にしたりするじゃない?」
白ばっかりはダメなんだろうか。子供っぽく見られちゃうかな。見せる予定はないけれど。
「トワはどういう色持ってるの?」
「えー、私かー? 簡単には教えられないなー」
「どうしてよ、教えてよー」
「んー、ミルが彼の事どう思ってるのか教えてくれたらいいかな」
「ええっ!? どうって、別にそういうんじゃ…」
「でも下着の色気になったりはするんでしょー?」
「それは、もし見られてもヘンに思われたくないからで…」
「それって気になってるって事じゃない?」
「ちっ、違うよー…」
「ふーん、まあいいや。いい? まずは狙い過ぎな色は選ばない事…」
「ふんふん…」
こうしてトワ先生のレクチャーの元、新しい下着の色を考える昼下がりでした。
「これ、何とか解体出来ないでしょうか?」
「うおっ、これ君がやったのか?!」
狩猟小屋には狩人らしき青年が一人で暇そうにしていた。
僕が言うのもあれだけど、線が細く、どこか頼りなげに見える。
「出来れば肉が欲しいんですが」
「ああ、待っていてくれ! すぐに取りかかろう」
良かった、ナイフで捌くのはさすがに大変そうだったから助かる。
青年は慣れているらしくテキパキと作業を進めていく。
「それにしても君やるなぁ、ミルさんとこの人だろ?」
「ええ、まあ今回はたまたま上手くいっただけですよ」
「歳も近そうだし、もっと砕けた喋り方でいいよ。僕はエンハンス、狩人やってるけれど専ら後方支援さ」
この世界の人はどちらかと言えばみな西洋よりだ。その中で日本人の僕はどうやら実年齢より若めに見えるのかもしれなかった。
「ひじたかだよ。それにしてもこいつら危険じゃないか? 仲間も呼ぶし、知恵も回る」
「それなんだけれどね。最近、強力なリーダーが出来たみたいで、そいつを主導に急に統率を取れた動きをするようになったんだ。勢力圏を拡大しているのもそのせいさ」
「じゃあ、そのリーダーさえ倒すことが出来たら…」
「うん、僕ら狩人もそう思ってね。何とか倒そうとしたんだけれど失敗して負傷者が出た。前衛が二人ともやられて、ただでさえ人数不足だったから今動けるのはもう僕だけさ。そして情けない話、僕一人じゃどうしようもない」
「なるほど、危険な仕事なんだな」
エンハンスは苦笑しながら言う。
「ほんとはもっと大人数でやれるといいんだけどね、戦えそうな奴はみんな町へ行っちゃったよ」
処理の済んだオオカミの肉をもらう。他部位は今のところ使い道が思いつかないのでエンハンスに任せた。
「なあ、もし仕事が決まってないのならここで僕と狩人やらないかい?」
「考えておくよ。今はまったく仕事がないわけじゃないんだ」
「そっか、またな。もしまた何か狩ったら遠慮せずに持って来てくれ、使えるように加工するよ」
「ありがとう」
「ミルー、いつまでそこでへこんでるのー」
「ううぅぅぅ……」
仕立て屋の店内の一角で落ち込んでいる私の頭をトワールが突っついた。
「あなたのブラとっくに仕立て終わったわよ。今度はすぐダメにならないようにかなり補強しておいたから」
「トワー、ありがとう~」
「それとこれ、また全滅した時用の新しいサラシ布」
「はうぅぅぅ……どうして渡しちゃったんだろぅぅ……」
布が必要だって言われて、ちょうどそんな感じの布だって言われて、それじゃあって慌てて手渡しちゃった時の自分を全力ではたきに行きたい。
「気づいてなかったんでしょう? 大丈夫だって、男の人なんて妙に長い手拭いくらいにしか思わないわよ」
「そうかなぁ…?」
「まあミルの場合、かなーり長いけれど…」
「絶対ヘンに思われたよぉ~…」
「ほらほら、それよりもサイズあってるか試着する」
トワールは私を立たせると奥の試着室の方へとグイグイと押し込む。
いつまでも落ち込んでいても仕方ない。衣服を脱いで新しいブラを試着してみる。んっ、丁度かな。
「どうー?」
「うん、いけそう」
「どれどれ」
「わっ!?」
シャッとカーテンが開いた。
「相変わらず、すごいサイズね~。ミルの作る時の布の消費がすんごい」
「仕方ないでしょ、そういう生まれなんだから」
「森とか動きの激しいとこ行く時はちゃんと運動用の着けてる?」
「着けてるよ。揺れが少なくなって動きやすいかも。ごめんね、いつもオーダーメイドしてもらっちゃって」
「いいのよ、それが私の仕事なんだから遠慮しないでもっと頼ってよ。友人としてもそっちのが嬉しいし」
「トワ……良いこと言ってくれるのはいいんだけ、どぉ~……んぁっ、胸揉みながらは止めてぇ~」
「えーー? ふっへっへっへっ! やわっこいなぁ~」
「あんっ、もー、止めなさい!」
「それにしても、色は白だけでいいの」
「えっ?」
「いや、ミルがどう思ってるかは知らないけれど男って下着の色、気にしたりするじゃない?」
白ばっかりはダメなんだろうか。子供っぽく見られちゃうかな。見せる予定はないけれど。
「トワはどういう色持ってるの?」
「えー、私かー? 簡単には教えられないなー」
「どうしてよ、教えてよー」
「んー、ミルが彼の事どう思ってるのか教えてくれたらいいかな」
「ええっ!? どうって、別にそういうんじゃ…」
「でも下着の色気になったりはするんでしょー?」
「それは、もし見られてもヘンに思われたくないからで…」
「それって気になってるって事じゃない?」
「ちっ、違うよー…」
「ふーん、まあいいや。いい? まずは狙い過ぎな色は選ばない事…」
「ふんふん…」
こうしてトワ先生のレクチャーの元、新しい下着の色を考える昼下がりでした。
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