月がきれい・・・ですね・・・。

川島 慈水

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始業式の日

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 今日から新学期。長い春休みが明け、最後の中学校生活が始まる。
 
 毎年この日は皆がそわつき、盛り上がっている。それは、大事な一年を過ごす、クラス発表があるからだ。喜ぶ者もいれば、落胆する者もいる。
 
 そんな盛り上がりの中、俺も自分の名前を探していた。
 「かーなーでー。」その呼び声と共にいつも飛びついてくるやつがいる。
 「何組だった?俺はね~一組」
 「とも。いつも飛びつくなって言ってんだろ。ギックリ腰にでもなったらどうすんだよ」
 「それは大丈夫。その年でギックリはあり得ないから。」
 屈託のない笑顔でいつもふざけてるけど、こいつは俺の一番仲のいい友達の、安達友樹あだちともきだ。俺はともって呼んでる。
 「で、何組だったの?」
 「えーと、あっ、俺も一組だ」
 「やったねー。これで中学も三年間コンプリートだよ。」
 そう、俺たちは中学に入ってからずっと同じクラス。というか、ともとは、小学一年の時からずっと同じクラスだった。
 「ほんとっ、俺たちって縁があるよねー。他には誰が一緒なのかな~」
 ともがクラス割に目を向けている中、俺は少し向こうの人集りを見ていた。

 「私、二組だったよー。美月は?」
 「私は~、一組だ」
 「あっ、私も一組だよ」
 「私だけ違うクラスじゃーん。美月と菜摘なつみはいいなー。」
 相澤美月。俺の好きな人。好きな人って言っても、一年の時に同じクラスになったけど、ほとんど話せず。二年では違うクラスだったから、ほぼ面識はないんだけど。

 相澤さん、同じクラスなんだ。そんな事を思い、見つめていると急に視線が合わさる。すぐに目を逸らし、頰が赤くなるのを感じた。
 「この調子だと、付き合うとか夢のまた夢だよな~」
 俺はうなだれるように呟いた。
 「うん?なになにー。」
 「なんでもねーよ。」
 「えー、教えてよー。てか奏、顔赤くない?」
 俺たちは、新しい教室に向かい歩いていった。

 教室に入ると、すでにガヤガヤと騒がしかった。また、同じクラスになり、喜び、盛り上がる人や、新しく友達になり、グループを作る人。こう見ると、面白いなって思う。

 自分の席に座り、クラスを見ていると相澤さん達が教室に入ってきた。一緒にいるのは、石川・・・菜摘・・だったかな?確か、相澤さんと同じバスケ部だったよな。

 「美月、席どこ?」
 「私、一番前だよ~」
 「ありゃ~。まぁそう落ち込まないの。勉強頑張ると思ってさ」
 「菜摘、人ごとすぎ~」
 二人が談笑していると、先生が入ってきた。先生の話の後、一人一人自己紹介を行い、軽い連絡があり、この日は終わった。

 「母さんただいま~」
 「おかえり、奏。学校どうだった?」
 「始業式と新しいクラス発表だけだったから、特に何もなかったよ」
 俺は母さんと二人で暮らしている。父さんは俺が小三の時に事故で亡くなっている。いわゆる母子家庭ってやつだ。でも、俺は結構幸せに暮らせてると思う。
 「ご飯、冷蔵庫に入れてあるから、温めて食べてね。多分十時ぐらいには帰ってこれると思うから」
 「はいよー。いってらっしゃ~い」
 母さんは、医療事務で朝と夜に働いている。間の昼に、家のことをしてくれてるから、ほんとありがたい。
 飯の前に、先に風呂でも入るか。

 「あれ?お湯が・・・出ない。故障かなー。」って言っても直せる訳でもないし。
 「はぁー。母さんが帰ってきたら相談しよう。」
 でも、風呂には入りたいからなー。たまには銭湯でも行くか。
 俺は、家から十分程歩いた所にある銭湯に行くことにした。
 
 「ふぅー。」風呂の中は、俺以外誰も居らず、貸し切り状態になっていた。
 家の風呂もいいけど、たまには大浴場もいいよなー。そろそろ上がるか。
 俺は風呂から出て、お決まりのフルーツ牛乳を飲み干し、外に出た。すると、聞いたことのあるような声が聞こえてきた。

 「お姉ちゃん、早く帰るよ。お姉ちゃんは家でも、どこでも、お風呂長すぎだよ。」
 「美月は分かってないねー。女にはお風呂での美容とかあるのよ。」
 「それにしても・・・あっ、」
 相澤・・・さん!?まさかこんなとこで会うとは。
 俺は二人に会釈だけして、その場を去った。でも、後ろから相澤さんが追いかけてきた。
 「待って。真城君・・だよね?」
 「えっ?あ、うん。」
 「なんか、変なとこ、見せちゃってごめんね。このことは、あんまり学校では・・言わないで・・ほしい。なんか、恥ずかしい・・・から。」少しうつむき加減で、恥ずかしそうに言う彼女に、俺まで緊張した。
 「うん。分かった。」そう伝えると彼女は、少し表情が、晴れた気がした。
 「ありがとう。じゃあ、また学校でね。」

 「なに?彼氏?」
 「もぅ、お姉ちゃん変なこと言わないで。クラスメイトだから。」
 「ふぅーん。」
 「ほんとに違うんだから。」
 俺には二人が何を話しているかは聞こえなかったが、学校とは違う相澤さんが、とても新鮮に感じた。
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