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8話。

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妊娠が分かって安定期に入ってからお母さんたちにも妊娠した事を報告した。
案の定、みんな喜んでくれた。
もう、性別を聞いてきたり、服の色決めようとしたりで双子以上にはしゃいでる。
「まだ、性別は分かんないよ。まだ4ヶ月だよ‼」とあたしも笑いながら答えた。
お母さんに「なんでもっと早く教えてくれなかったの?安定期に入るまで大変だったんじゃない?」と聞かれて「そうでもなかったよ。優誠も子供たちも手伝ってくれてたし、優誠と話し合ってみんなに言うのは安定期に入ってからにしようと決めたの。安心してお腹の子も順調よ。毎月の検診も優誠と2人で行ってるから。」
あたしがそう言うとお母さんに「そっか。それなら安心ね。せな、無理せずね。」と言われ、あたしは「分かってるよ。ありがとう。」と言った。

妊娠してから3ヶ月は本当は辛い日もあった。
つわりも酷くて1ヶ月の大半は動けなかった、でもそんな時は優誠が常に一緒に居てくれて、家事もしてくれてあたしが「ごめんね。家事できなくて…」って言うと「俺達の子供なんだ。せながしんどい時は俺がやるのが当たり前だよ。」と普通にやってくれた。
優哉もせりかもちゃんと聞き分けよくしてくれて助かった。

4ヶ月に入って少しずつ体調も安定してきたが優誠が大方やってくれた。
あたしが「もう安定したし、あたしも出来るよ。」と言うと「俺も出来ることはやる。もしもの時の事考えないとな。」と言ってあたしがするのは軽い洗い物と洗濯物を畳む事ぐらいだった。
それも8ヶ月になるまで、8ヶ月過ぎるとお腹が大きくなって動きづらくなってまた優誠がほとんどの家事をやってくれた。
あたしはと言うと優誠に「安静に。」と言われて安静にしていた。
でも、出来る事はやった。
その都度、優誠はハラハラしながらも見守ってくれた。


そんなこんなでもうすぐ子供が産まれる時期に来て、あたしは念の為に優誠や病院の先生の勧めで入院する事にした。
双子と離れるのが淋しかったが、優誠もお義父さんもあたしの両親もそこは、毎日代わる代わる双子を連れてお見舞いに来てくれた。
双子は毎日元気に会いに来てくれて、毎回一緒に遊んだり、本読んだりして楽しかったし嬉しかった。
そして入院して1週間後、あたしは無事男の子を出産した。
あたしが出産で苦しんでいる間も優誠はずっと側に居てくれた。
双子の時よりは軽かったけど、やっぱり出産は痛かったから優誠が居てくれて安心して出産に挑めた。
みんなも待合室であたしと赤ちゃんの事を待ってくれていた。

赤ちゃんの名前は、あたしのお父さんの翔と優誠の誠を一文字ずつ取って翔誠に決めた。
翔誠はとにかく元気でよくミルクも飲んで小さい手足をバタバタさせてよく動く子で一安心した。

退院する時に検査したが、病院の先生も「活発でどこにも異常ないです。大丈夫ですよ。」とお墨付きをくれるぐらい元気であたしも優誠も安心した。
(家に帰ったらする事多いんだろうな~?)
と思いながら家路に付いたが、家の中が綺麗で逆にする事が無かった…
あたしが家の中をキョロキョロ見ていると、優哉とせりかが「みんなで家綺麗にしたよ。お母さんが大変なの分かったから3人でお片付けしたんだ。」と言ってぎゅっと抱きしめてくれて「お母さんおかえりなさい。」と言ってくれた。
あたしは「ありがとうね。ただいま。」と泣きそうになった。
双子がこんなにお兄ちゃんとおねえちゃんになっていた事が嬉しかった。
そうやって3人で抱き合ってると優誠が「俺も」と抱きついてきた。
あたし達はそのまま一緒に居れなかった時間を埋めるように抱き合い続けた。
その間、翔誠は機嫌良くしていてくれた。
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