龍神の巫女

月城 雫

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6話。

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わしは龍神。
瑞希憑きの神じゃ。
小さい頃の瑞希はよくわしと話をしてくれていたのじゃ。
人間には分からななったが瑞稀の言葉はわしには分かったのじゃ。
よく心で会話していたのう。

小さい頃の瑞希は可愛くてちょっとお転婆でおっちょこちょい。
わしからしたら可愛い孫みたいなものじゃ。

ある日突然瑞希達が住む母屋が火に包まれた火事になったのじゃ。
わしは雨を降らせる以外何もしてやれなかったんじゃ。
わし達神や霊は物体に触る事が出来ないからじゃ。
母屋は全焼し瑞稀の母親のゆりが亡くなってしもうた。
父親の湧昇(ゆうしょう)は軽傷を負ったが他の者達は無事のようじゃった。
その日を境に瑞希が居なくなったのじゃ。
わしはあらゆる所を探したのう。
神主の頭の中も覗いたが山奥の小屋しか分からんかった。

わしは瑞希が心配で心配でたまらんかった。

月日が経ちわしはもう諦めかけておった。
だが瑞希はわしらの前に戻ってきたのじゃ。
わしは嬉しかったのう。

あれから4年。
また瑞希が昔みたいに話をしてくれるようになったのじゃ。
だいたいが学校での出来事じゃが。
ずっと近くにいるから知っとるが瑞希の口から聞けるのが嬉しゅうて毎回毎回聞く。

瑞希は山小屋から帰ってきてからおゆうに勉強を教わっておったからかなり成績がいいが本人はテストの問題が安易過ぎて退屈だと申す。
わしはこうやって毎日瑞希が話してくれるだけで嬉しくて仕方ないのじゃ。
そんなわしは毎回
「それだけ瑞希の頭が飛び抜けとるのじゃ。」と諭している。
本人は納得しとらんようじゃが元々頭のいい子じゃから仕方ないと言えば仕方ないと思うのじゃがなかなか伝わらんでやきもきしておるんじゃ。
瑞稀の母親にでも頼んでみるかのう。

あたしは瑞希。
今は学校からの帰り道。
今日テストが帰ってきたけど満点だらけそれもそのはずテストの問題が安易過ぎて簡単だったから。
毎回思うんだけど簡単すぎる。
同級生とは上手くやっている。同じ歳の子とも話は合うし楽しい。
勉強はおゆうが教えてくれる哲学とか数学とかの方が難しい。
おゆうは手を抜かないから毎回分からないと怖い。
いつもは優しいおゆうが勉強の事になると豹変する。
でもおゆうとの勉強は難しい分面白く感じる。
お母さんの居ないあたしにはお母さん的存在で大切な人かな。
って言ったらお母さん泣いちゃうかも知れないから言わない。

本当のお母さんはあたしが2歳の時に火事で死んじゃった。
だからあんまり記憶は無いけど龍神様が言うには今もあたしの事心配してるらしい。
お母さん本人は会いたいと思ってくれてるけどあたしが混乱しないように影から見守ってくれてるんだと龍神様は言ってた。
あたしも会いたいけどあたしの事思って影にいてくれるお母さんに申し訳なくて龍神様には言えてない。
言ったら速攻でお母さんに話しそうだから。


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