ハンカチーフから始まる恋

月城 雫

文字の大きさ
8 / 10

8話

しおりを挟む
海君と付き合い出してから2年の月日がたった。
海君は相変わらずあたしには優しくてご飯とかも家では作ってくれたり、外でも奢ってくれたり、さすがに洗濯とかはやらしてって頼んでるけどいつの間にか洗濯してくれたりする。
掃除もさっさとやちゃう器用な海君にあたしはと言うと、毎回惚れ直してる。

あたしもするんだけど海君には及ばない…
女としてどうなんだろう?と考えたりしていると、「なんか悩み事?」と、なぜか海君にバレてしまう。
見抜いてしまう海君もすごいと思うんだけど、あたしってそんなに分かりやすいのかな?
あたしは海君に「あたしも家事したいんだけど、海君が全部やるとあたしの家事が無いよう。」と言ったことがあるんだけど、海君いわく「出来る時に出来る人がやればいいんじゃない?」
と返された。
それ以降は家事の事は言わないことにした。

喧嘩になるとかじゃ無いけど、海君の言うことが正しいと思うし、海君より早くすれば良い事。
と思うことにした。
それでも海君の方がやる方が多い。
海君は、仕事場の事でも家の事でもやらなきゃいけない事はすぐやってしまう。
あたしが気付いた時には全部綺麗になってる。
さすが海君‼としか言いようがない。
料理は任してと言ったんだけどだいたい海君が作ってくれる。

海君が「春ちゃんは居てくれるだけでいいから。」と言ってくれたからって平然と居れるほどあたしは根性座ってるわけ無く…
日に日に女としての尊厳を失っていきそうな感覚に陥っていった。
それでも海君は、あたしに「好きだよ。」と言ってくれる。
あたしも海君が好き。

次の日、久々の休み。
2人でまったりするのかと思ってたら、「今日はどこ行く?」ってあたしが(え?)って顔していると、「久しぶりの休みなんだからどこか行こう。」って言うから「疲れてないの?」と聞くと、「疲れを取るために行くんだよ。行こう。」と言ってあたしの手を取って外に出た。
向かったのは老舗洋服店。
あたしは呆気に取られて周りを見ていると海君が「好きなの着てみたら?」とあたしに提案してくれてあたしは言われるがまま店の商品を見ながら(いいなぁ~)と思う服を着ていった。
それを見ていた海君は店員さんに何かを言いあたしを見ながらニコニコしていた。
あたしが着るだけで満足して試着し終わった頃、ふっと海君を見ると大きな袋を何個か抱えて「さっ次行こう。」とその店を出た。
出てすぐ「お腹空かない?」とレストランに向かった。

着いたのは高級そうなレストランでまたあたしは呆気に取られ、海君に「ここは?」って聞いたけど「レストランだよ。」とだけ。
あたしは「それは分かってるんだけど、高級そう…」と言うと海君は「そうだね。」とニコニコしながら答えた。
「それにさっきのお店も老舗店だったし、今日はどうしたの?」とあたしは海君に聞いてみた。
海君はニコリと笑いながら「今日は春ちゃんと付き合えて2年の記念日だよ。」と…
あたしはハッ‼として「それでだったのね。」とその時は、納得した振りをした。
実はあたしも海君へのプレゼントを家の方に用意している。
こんなに豪華ではないけど、喜んで貰えるのを選んだつもり。

食事はフランス料理のフルコースで本当にすごく豪華だった。
1番嬉しかったのはデザートのアイスがすごく美味しくて家でも食べたいと思ってしまったほど。
海君とも終始笑い合って楽しかった。

帰ったら海君に渡そうとその時の海君の顔を思い浮かべて帰りながらあたしはワクワクしていた。
帰るまで海君にバレないようにドキドキしながら海君の話もそこそこに聞いていたらやっぱり分かったのか?
海君に「どうしたの?上辺の空だよ?」と言われてあたしはドッキ‼としたが、「そんな事ないよ。大丈夫だよ。」とニッコリ笑って誤魔化した。
誤魔化し切れたかは分からなかったが海君は「そっか。なら良かった。」と言って納得したようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

愛はリンゴと同じ

turarin
恋愛
学園時代の同級生と結婚し、子供にも恵まれ幸せいっぱいの公爵夫人ナタリー。ところが、ある日夫が平民の少女をつれてきて、別邸に囲うと言う。 夫のナタリーへの愛は減らない。妾の少女メイリンへの愛が、一つ増えるだけだと言う。夫の愛は、まるでリンゴのように幾つもあって、皆に与えられるものなのだそうだ。 ナタリーのことは妻として大切にしてくれる夫。貴族の妻としては当然受け入れるべき。だが、辛くて仕方がない。ナタリーのリンゴは一つだけ。 幾つもあるなど考えられない。

記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛

三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。 ​「……ここは?」 ​か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。 ​顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。 ​私は一体、誰なのだろう?

処理中です...