23 / 24
三章
六、いざ、出発ー虹色隊ー
しおりを挟む
「みんな、もう準備できた?」
もうすぐ約束の時間だ。
ユメは、カイが収納していたし準備は万端。
リクは、イカさんを持って行くか行かないか、迷ってるんだろうな。
神様、人間に転生させるって言ってた。こういう風にしてくださいって見せるモデルの写真も用意しておこうかな。
パラパラと今月号の雑誌を捲りながら、パンは馴染みのある白髪にするか、思い切って金髪にするか頭を悩ませる。
「あたちはきっとなんでも似合っちゃうのよねぇ。シェルはどんなのにしてもらうの?」
「わたし、一度くるんくるんにしてみたかったの!茶髪のパーマがいい!」
次のページを指差しながらシェルが目を輝かせていると…………やっぱり飛んできた。
「えー?!それじゃあカイと見分けがつかなくなるじゃない!……ちなみに、私はねぇ」
「ちょっと!見分けがつかないってどういう意味よ!性別がまず違うじゃない!」
――またやってる。
この二人、生前は気が合わなくて顔を合わさないようにしていた位なんだから、一度気の済むまで喧嘩してみるのも良いのかもしれない。
もう怪我をする心配もないしね。
やれやれ、とため息をいて隣を見ると、リクが首を傾げている。
「イカさんの事、まだ迷ってるの?」
「いやぁ。この前の神様、名前はなんて言ったっけ?」
「ポ?ポ……ポ……。ねぇカイ、覚えてる?」
カイは、さっきから無限の収納スペースでのユメの様子が気になって、魔法を発動させては中を覗き、また閉じて……と、ソワソワしている。
「えっと……ポイドン?」
「ぶっっ!ポセイドンでしょ?それじゃ、おいどん見たいじゃない!ぶっっ!」
一文字違うだけだが余程、シェルの笑いのツボに入ったらしい。ひっくり返って笑い転げている。
「あぁ、そうだ。ポセイドン。……うーん」
「どうしたの?イカさんじゃないなら、何が気になるの?」
「どこかで聞いたことあるような……ないような。見たことあるような、ないような……?うーん」
「気のせいじゃない?」
転がっているシェルをぴょんっと飛び越えて、マリンが駆け寄ってきた。
「それより、もう時間でしょ?パンもリクも、忘れ物はない?」
「「「ない!ばっちり!」」」
「ない!……ぶぶぶぶぶ!」
まだツボから抜け出せないでいるようだ。
「じゃあ待ち合わせ場所に向かいましょ!」
早くに支度を終わらせて、ゆっくりお茶を飲みながら待っていたマリンが、立ち上がっていそいそと先頭を歩き始めた。
「マリン、足速い!あたち追いつけない!」
「ごめんごめん、ついワクワクしちゃって」
「気を取り直して、レッツゴー!」
歩き始めた皆に気付いたシェルも慌てて後を付いてきた。
「ああ!!!」
「なんだい、リク。オイラびっくりしたよ」
「そうだ…やっぱり…………」
「ポイドンの事、何か思い出したの?」
「やっぱり…………イカさん持って行く!」
踵を返し猛ダッシュするリクの背中を皆が振り返った。
――だから、イカさんどうするのってさっき確かめたのに。
いつも通りに二人は喧嘩するし、リクはなんだかこの前からボケっとしている時があるし……これは先が思いやられるなと、パンとカイは肩を竦めて笑い合った。
もうすぐ約束の時間だ。
ユメは、カイが収納していたし準備は万端。
リクは、イカさんを持って行くか行かないか、迷ってるんだろうな。
神様、人間に転生させるって言ってた。こういう風にしてくださいって見せるモデルの写真も用意しておこうかな。
パラパラと今月号の雑誌を捲りながら、パンは馴染みのある白髪にするか、思い切って金髪にするか頭を悩ませる。
「あたちはきっとなんでも似合っちゃうのよねぇ。シェルはどんなのにしてもらうの?」
「わたし、一度くるんくるんにしてみたかったの!茶髪のパーマがいい!」
次のページを指差しながらシェルが目を輝かせていると…………やっぱり飛んできた。
「えー?!それじゃあカイと見分けがつかなくなるじゃない!……ちなみに、私はねぇ」
「ちょっと!見分けがつかないってどういう意味よ!性別がまず違うじゃない!」
――またやってる。
この二人、生前は気が合わなくて顔を合わさないようにしていた位なんだから、一度気の済むまで喧嘩してみるのも良いのかもしれない。
もう怪我をする心配もないしね。
やれやれ、とため息をいて隣を見ると、リクが首を傾げている。
「イカさんの事、まだ迷ってるの?」
「いやぁ。この前の神様、名前はなんて言ったっけ?」
「ポ?ポ……ポ……。ねぇカイ、覚えてる?」
カイは、さっきから無限の収納スペースでのユメの様子が気になって、魔法を発動させては中を覗き、また閉じて……と、ソワソワしている。
「えっと……ポイドン?」
「ぶっっ!ポセイドンでしょ?それじゃ、おいどん見たいじゃない!ぶっっ!」
一文字違うだけだが余程、シェルの笑いのツボに入ったらしい。ひっくり返って笑い転げている。
「あぁ、そうだ。ポセイドン。……うーん」
「どうしたの?イカさんじゃないなら、何が気になるの?」
「どこかで聞いたことあるような……ないような。見たことあるような、ないような……?うーん」
「気のせいじゃない?」
転がっているシェルをぴょんっと飛び越えて、マリンが駆け寄ってきた。
「それより、もう時間でしょ?パンもリクも、忘れ物はない?」
「「「ない!ばっちり!」」」
「ない!……ぶぶぶぶぶ!」
まだツボから抜け出せないでいるようだ。
「じゃあ待ち合わせ場所に向かいましょ!」
早くに支度を終わらせて、ゆっくりお茶を飲みながら待っていたマリンが、立ち上がっていそいそと先頭を歩き始めた。
「マリン、足速い!あたち追いつけない!」
「ごめんごめん、ついワクワクしちゃって」
「気を取り直して、レッツゴー!」
歩き始めた皆に気付いたシェルも慌てて後を付いてきた。
「ああ!!!」
「なんだい、リク。オイラびっくりしたよ」
「そうだ…やっぱり…………」
「ポイドンの事、何か思い出したの?」
「やっぱり…………イカさん持って行く!」
踵を返し猛ダッシュするリクの背中を皆が振り返った。
――だから、イカさんどうするのってさっき確かめたのに。
いつも通りに二人は喧嘩するし、リクはなんだかこの前からボケっとしている時があるし……これは先が思いやられるなと、パンとカイは肩を竦めて笑い合った。
0
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しとグルメに満ちた気ままな旅の物語!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』
雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。
前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。
しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。
これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。
平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる