ANGELEATER

平藤夜虎

文字の大きさ
1 / 33

text1:天使が清楚なんて誰が言った?

しおりを挟む
今からそう遠くない未来、R歴25年。

第三次世界大戦が勃発し日本は再度米国の植民地国としてその名前をネオジャパンと変えて数年の頃。

度重なる紛争と環境破壊の影響により世界の人口は半数に減少していた。この危機的状況を打開すべく戦争の勝利国になった米国や他の国は新たな生命を生み出した

愛玩用男性型人工知能人形《デウスロイド》

愛玩用女性型人工知能人形《マキナロイド》

新たな奉仕種族を生み出し新たな人類の発展にいたった各国はやがて自身をこう思うようになったのだ

神に選ばれた者

天使に祝福された者と


・・・しかし、そうだろうか?


光が深くなればそれに答えるように闇も深くなるのだと


お前たちが生み出した屍の山から天使を食らう天使が生れ、その命を奪いに行くことを

勝利者どもはしらないのだ

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
・・・



雪空の下を一人の女が一人の男を連れて歩いている。雪が降るその空と同じ灰青のミディアムウルフの髪は風に靡いており、蓮のような色の瞳は眠たそうにどこか虚空を見つめている。しかし、女の肌に見える〝火傷の跡〟と左目を覆い隠すようにつけられた眼帯、そして黒のワイシャツに黒のジーパンスタイル。そしてジャケットのように羽織られた赤黒いその羽織りのせいで〝ただの女〟には到底見えなかった



隣に立つ男は女より身長は高く、185センチほど。ダークグレーの長い髪にサイドを無造作に後ろに流している。女と同じく黒いシャツにジャケット姿からおそらくマフィアの幹部か裏組織の一員に見えるだろう

一見は、であるが


過去女はごく普通の日本人、京極美琴《きょうごくみこと》として日々を過ごしていた。



どこにでもいる、ごくごく普通の女性。地味であまり目立たず、けれど友達には恵まれて穏やかな毎日を過ごしていた



・・・それを、あの世界大戦がすべてめちゃくちゃにして奪っていったのだ。



家族も、恋人もすべて強国に奪われ、降り注いだ業火が美琴の皮膚を焼き、その背中に【天使の羽】に似た焼け跡を残したのだ。



すべて失った者の心に残るものなんて一つしか存在しない。復讐心。



「・・・・殺してやる。私からすべて奪った侵略者共全員を。」



そう心に誓い、焼けただれた顔のまま新宿の路地裏に店を構える藪医者の元に向かい【新しい顔】を貰い受けた。



そして、戦う術・・敵を殲滅する術、技術を学ぶべく、顔を作ってもらったその代金代わりに藪医者から殺しの術を学んだ。



「50くらいの偏屈な藪医者でね・・あの世界大戦にも参加した軍医だったそうだよ。整形代を持ってないって伝えたらすごく不満そうな顔で私にこう言ってくれた。」



隣をあるくツヴァイに肩をすくめて美琴は答えた





「・・・代金に釣り合うほどの殺しの術をその緩い頭に叩き込んでやる。ってね」



「っくく・・・整形の代金代わりに〝殺しを叩き込む〟なんざ面白れぇ藪医者だな・・まるで悪魔の契約だ。・・だが、それに引かず食らいついたマスターのほうが・・本物の悪魔だよ。」



「・・・引いた?」



「ハッ・・・冗談きついぜマスター。むしろ惚れ直した」



そう尋ねる美琴の腰を抱きその額にキスを落とすツヴァイの行動に通行人からは黄色い声が少し漏れる。



「・・・さて、とりあえず新宿の闇商会に足を運ばなきゃね。昨夜の報告もしなきゃいけないし・・」



あくびを噛み殺し美琴はツヴァイを引き連れて地下に続く階段を降り、重そうな鉄製の扉を開けた。



古いジャズが流れる店内には数人の男性客とこちらを見つめ溜息をつく恰幅の良さそうな男がおり、美琴は笑みを浮かべて手をふりその男の前にあるソファーに腰を下ろす



「やぁ、オーナー。・・・ずいぶん顔色が悪い。賞味期限切れの発酵食品でも食べた?」



そう美琴が声をかけるとオーナー。新宿の闇商会・・・否、日本を再び独立国にすべく水面下で活動を続けている巨大組織【ヤタガラス】の幹部、この新宿支部を任されている男は乱暴にテーブルをたたきつけ立ち上がり声を荒げる





「おい天使喰らい《エンジェルイーター》!!今朝のニュースはなんだ!?こっちの依頼よりオーバーに立ち回りやがって!!」



「官房長官はお陀仏させたし・・・例の新型重戦車も破壊したけど?ね?ツヴァイ」



「あぁ。サービスで〝大使館を綺麗な花火〟に変えておいたしな」



悪びれもせず互いに笑みを浮かべる美琴とツヴァイにオーナーは深いため息をつき、またソファーに深く座りポケットから煙草を取り出そうとするとツヴァイがジャケットの懐から高級そうな葉巻のケースを投げ渡した



「This makes us even,right.boss?」



ツヴァイの言葉を理解したらしくオーナーは素直に受け取り葉巻に火をつけ紫煙を空に吐くと美琴をじとりとにらみつける



「・・・〝犬の躾〟くらいちゃんとしやがれ。飼い主だろうが」



「十分お利巧な子たちだけど?」



オーナーの言葉に美琴がそう返せば深いため息とともに一枚の紙が手渡される。



「・・・次の依頼だ。」



「ふーん?・・どんな?」



「少々、横浜に飛んでもらう・・・そこに存在する兵器の破壊が今回の依頼だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...