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text13:幕間~Pygmalion~
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ギリシャ神話に、女性に失望し理想の女性を作り上げた〝愚者の王〟が居たそうだ。
それから数百年の時を経て、米国のある心理学者が〝他者からの期待がその人物の行動や成果に影響を与える心理現象〟の名称を【ピグマリオン効果】と呼んだ。
生きている者に絶望し、それならばと〝理想の存在〟を作り上げた愚かな王
己が作り上げた彫刻に衣服を着せ、食事を与える周りの従者から見て王の行動は凶行に見えただろう。
・・その彫刻が人間であるようにと祈る王の姿は当時の人間から見れば悍ましい者に見えただろう
・・けど私は思うのだ。〝王も彫刻も幸福だったのではないか〟と
『・・・祈りが届いて人間になれたなら、君も人間に戻れたりするのかな。』
そんな事をぽつりと思いながら美琴は自分のベッドで穏やかな寝息を立てるデウスロイドを静かに眺める。
ほんの気まぐれだった。雨の夜にふらりと外に散歩に出て、何気なく立ち寄った路地裏で見つけてしまったのだ。
「・・・疲れ果ててスリープモードに移行はしてくれたけど・・」
包帯塗れのそのデウスロイドの髪を撫でて美琴はふと思い出す。
ー また、何人・・・・殺した?・・・ふざけやがって・・・プロメテウスの外道ども!!・・・ ー
ー ・・近寄るな・・俺は兵器だ・・・人間じゃねぇ!!! ー
「ーーー 人間だよ。君は」
その人工皮膚で作られた頬を撫でながら美琴はぽつりと呟く。確かにデウスロイドは人間ではないのかもしれない。
機械の体の中に〝人間の一部〟を埋め込んだだけの人間もどき、創造物なのかもしれない
それでも、美琴はこの目で見てきたのだ
惨い生体実験の果てに、「心なんていらなかった」と記録を残して自壊した個体。
幼い少女を守っただけなのに犯人扱いされスクラップされた個体。
ーー マスターに対して芽生えた感情をバグだと否定し誹られたあげく、無理やり記憶を改ざんされた個体。
「・・・・人間より人間らしいよ。君たちのほうが」
気絶し、眠るデウスロイドを見つめながら自分の腕にできた傷跡や痣を見る。
隠れ家にまで連れてきたのはよかったが、彼は中々食事に手をつけてくれなかった。挙句、治療しようとすれば暴れてソレを必死に抑えてなんとか宥めようとすれば、彼は美琴の首に歯を立てたり、その腕をもの凄い力でへし折ろうとしてきた。
その様子に無理やり彼を止めようと新宿支部のオーナーは鎮静剤を打とうとしたが美琴は必死にそれを止めたのだ
「大丈夫。」
「彼を治せるなら私の腕くらい無くなってもかまわない」
脂汗を流し痛みに耐えながら笑う美琴にオーナーは絶句し、そして先ほどまで暴れていたデウスロイドもついに動きを止めた。
・・その後は大人しく、オーナーからの治療を受けて食事も取ってくれた。
オーナーが帰った後に彼が美琴にかけた言葉は冷たくも少し呆れと動揺が混ざっていた
「・・・イカれてるなお前」
うまく包帯を巻けなかった美琴の手から包帯を奪い取り自分が嚙みついた場所に包帯を巻きながらそう悪態をつく彼に美琴は笑みを浮かべた
「うん。自覚してる。」
「・・・死にたかったのか」
「私の命一つで貴方が治るなら、まぁ、うん。」
そう平然と言ってのける美琴に彼は言葉を失った。まっすぐこちらを見つめる瞳に嘘の色は見えない。
「-----。」
「とりあえず傷が癒えるまでは此処に居ればいいよ。疑うなら別に武器とか遠慮なく「もうしねぇ。」
その言葉に美琴は一瞬きょとんとするがまたすぐに笑みを浮かべる
「・・・あ、名前なんて呼べばいい?」
「・・・・ツヴァイ。」
「ツヴァイ?・・・へぇー・・2って意味だよね?偶然!私二月生まれなんだよね」
デウスロイド、ツヴァイの言葉に美琴は嬉しそうに笑みを浮かべ、その手を握る。
この雨の日の夜の出来事を切っ掛けに、俺は美琴と行動を共にすることになった。
・・まぁ、端折愚かな愛った所もあるがそこはまた俺の気が向いたら語ることにするが
さて、愚王と壊れた人形は幸福かどうかだって?
俺からしたら「外野の意見なんざクソ食らえ」に決まってるだろ?
他の聖人君子面した独裁者や異常者共がどれだけ綺麗ごと語ろうが俺にはそんな物どうでもいい。
愚かな王のためなら世界すら壊す。
その愚かな愛を手に入れるためなら王を閉じ込めさえもする。
「ーーーー 狂ってるって?。・・ははっ、上等だよ」
それが俺の美琴へ対す真実の愛なんだからさ。
それから数百年の時を経て、米国のある心理学者が〝他者からの期待がその人物の行動や成果に影響を与える心理現象〟の名称を【ピグマリオン効果】と呼んだ。
生きている者に絶望し、それならばと〝理想の存在〟を作り上げた愚かな王
己が作り上げた彫刻に衣服を着せ、食事を与える周りの従者から見て王の行動は凶行に見えただろう。
・・その彫刻が人間であるようにと祈る王の姿は当時の人間から見れば悍ましい者に見えただろう
・・けど私は思うのだ。〝王も彫刻も幸福だったのではないか〟と
『・・・祈りが届いて人間になれたなら、君も人間に戻れたりするのかな。』
そんな事をぽつりと思いながら美琴は自分のベッドで穏やかな寝息を立てるデウスロイドを静かに眺める。
ほんの気まぐれだった。雨の夜にふらりと外に散歩に出て、何気なく立ち寄った路地裏で見つけてしまったのだ。
「・・・疲れ果ててスリープモードに移行はしてくれたけど・・」
包帯塗れのそのデウスロイドの髪を撫でて美琴はふと思い出す。
ー また、何人・・・・殺した?・・・ふざけやがって・・・プロメテウスの外道ども!!・・・ ー
ー ・・近寄るな・・俺は兵器だ・・・人間じゃねぇ!!! ー
「ーーー 人間だよ。君は」
その人工皮膚で作られた頬を撫でながら美琴はぽつりと呟く。確かにデウスロイドは人間ではないのかもしれない。
機械の体の中に〝人間の一部〟を埋め込んだだけの人間もどき、創造物なのかもしれない
それでも、美琴はこの目で見てきたのだ
惨い生体実験の果てに、「心なんていらなかった」と記録を残して自壊した個体。
幼い少女を守っただけなのに犯人扱いされスクラップされた個体。
ーー マスターに対して芽生えた感情をバグだと否定し誹られたあげく、無理やり記憶を改ざんされた個体。
「・・・・人間より人間らしいよ。君たちのほうが」
気絶し、眠るデウスロイドを見つめながら自分の腕にできた傷跡や痣を見る。
隠れ家にまで連れてきたのはよかったが、彼は中々食事に手をつけてくれなかった。挙句、治療しようとすれば暴れてソレを必死に抑えてなんとか宥めようとすれば、彼は美琴の首に歯を立てたり、その腕をもの凄い力でへし折ろうとしてきた。
その様子に無理やり彼を止めようと新宿支部のオーナーは鎮静剤を打とうとしたが美琴は必死にそれを止めたのだ
「大丈夫。」
「彼を治せるなら私の腕くらい無くなってもかまわない」
脂汗を流し痛みに耐えながら笑う美琴にオーナーは絶句し、そして先ほどまで暴れていたデウスロイドもついに動きを止めた。
・・その後は大人しく、オーナーからの治療を受けて食事も取ってくれた。
オーナーが帰った後に彼が美琴にかけた言葉は冷たくも少し呆れと動揺が混ざっていた
「・・・イカれてるなお前」
うまく包帯を巻けなかった美琴の手から包帯を奪い取り自分が嚙みついた場所に包帯を巻きながらそう悪態をつく彼に美琴は笑みを浮かべた
「うん。自覚してる。」
「・・・死にたかったのか」
「私の命一つで貴方が治るなら、まぁ、うん。」
そう平然と言ってのける美琴に彼は言葉を失った。まっすぐこちらを見つめる瞳に嘘の色は見えない。
「-----。」
「とりあえず傷が癒えるまでは此処に居ればいいよ。疑うなら別に武器とか遠慮なく「もうしねぇ。」
その言葉に美琴は一瞬きょとんとするがまたすぐに笑みを浮かべる
「・・・あ、名前なんて呼べばいい?」
「・・・・ツヴァイ。」
「ツヴァイ?・・・へぇー・・2って意味だよね?偶然!私二月生まれなんだよね」
デウスロイド、ツヴァイの言葉に美琴は嬉しそうに笑みを浮かべ、その手を握る。
この雨の日の夜の出来事を切っ掛けに、俺は美琴と行動を共にすることになった。
・・まぁ、端折愚かな愛った所もあるがそこはまた俺の気が向いたら語ることにするが
さて、愚王と壊れた人形は幸福かどうかだって?
俺からしたら「外野の意見なんざクソ食らえ」に決まってるだろ?
他の聖人君子面した独裁者や異常者共がどれだけ綺麗ごと語ろうが俺にはそんな物どうでもいい。
愚かな王のためなら世界すら壊す。
その愚かな愛を手に入れるためなら王を閉じ込めさえもする。
「ーーーー 狂ってるって?。・・ははっ、上等だよ」
それが俺の美琴へ対す真実の愛なんだからさ。
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