完結、溺愛されていると思っていたら突然婚約破棄と言われました

青蘭鈴花

文字の大きさ
9 / 10

ヒースとレオン

しおりを挟む
 アイリスはヒースとレオンの間に流れる張り詰めた空気を感じ、息をのむ。普段のヒースならレオンと争いを起こすようなことはしない。レオンも、争いになる前にヒースの体面を保つ行動をとっていた。そのため、レオンが話に加わってきたとき、何とか丸く収めてくれると思い、安心していたのだ。それが、こんなことになるなんて。ただ、呆然と二人を見つめるしかできなかった。
 先に動いたのはレオンだ。いや、動いたというのは間違いだろう。なんと深い溜息を吐いたのだ。それはわざとらしく強調したものではなく、心からあきれているような深い深いものだった。
 「兄上、そんなに大切ならアイリス嬢を傷つけるようなことはすべきではなかったよ。むしろ、その手にある力で守るべきだったんだ。今回は僕が相手だったからよかったけれど、これが隣国の貴族だったらどうするつもりだったの? 
 それでもアイリス嬢を手放すつもりだった?」
剣はさやに収めたまま、ヒースを見つめて静かに問いかける。
 「そんなはずはないだろう。アイリスを手放すぐらいなら、どんな手を使ってでも私の妻にする」
ヒースもレオンから目をそらさず、さも当然といったように答えた。
 「そうだよね。なら、なぜ僕が相手になったとたん身を引こうとするのかな。しかも、僕が兄上にそんなことをいったことは一度もないのに。」
 「そ、それは、レオンになら任せても安心だと思ったからだ。」
 「その理由で行けば、兄上がアイリス嬢に結婚を申し込む前に、婚姻を打診してきた大国の皇帝の方が任せるに値する力も、気持ちも持ち合わせていると思うけど。そもそも、アイリス嬢の気持ちはちゃんと確かめた?まさか、何の調査もしないで、兄上が勝手に決めつけたわけではないよね。」
 「レオンとアイリスは仲睦まじそうだったじゃないか。二人の幸せを願って何が悪い。アイリスに気持ちを確かめて、レオンに対する恋情を語られるなんて耐えられなかったからわざわざ計画を立てたんだ。レオンは良い王になれると信じているからな。」
ヒースは早口でまくし立てた。
 「僕が良い王になれることと、アイリス嬢を預けても心配ないということにどんな関係があるというの?兄上が王位を継げば良いことだよね。」
 「私は良い王にはなれない。レオンのほうが才能がある。これは動かしがたい事実だ。」
 「それは、、兄上が側室の子だから?」
 「そんなことはない。母上は父をしっかりサポートしている。母上に落ち度はないし、その子である私が悪く言われる覚えはない。ただ能力が足りないだけだ。」
 「そうだよね。でも、能力が足りないと決めつけているのは兄上だよ。なんなら、どれだけアルゴンに貢献しているか一つ一つ上げようか?1日じゃ終わらないと思うけど。」
レオンの言葉にヒースは返す言葉が出なかった。
 レオンはそんなヒースを見て
 「その様子だと気が付いたみたいだね。兄上は自分に自信がないことを正当化しようとしてるんだ。兄上が背負うべきものを僕に渡そうとしている。ここまで言ったらどうするべきか、もう決まったよね。これは返しておくよ」と告げて、探検をヒースに返した。
 「それじゃあ、ごゆっくり。あと、そこの君、ちょっと僕についてきてくれるかな。話を使用」。最後にそういうと、レオンはリリを伴って、東屋を去った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

せめて、淑女らしく~お飾りの妻だと思っていました

藍田ひびき
恋愛
「最初に言っておく。俺の愛を求めるようなことはしないで欲しい」  リュシエンヌは婚約者のオーバン・ルヴェリエ伯爵からそう告げられる。不本意であっても傷物令嬢であるリュシエンヌには、もう後はない。 「お飾りの妻でも構わないわ。淑女らしく務めてみせましょう」  そうしてオーバンへ嫁いだリュシエンヌは正妻としての務めを精力的にこなし、徐々に夫の態度も軟化していく。しかしそこにオーバンと第三王女が恋仲であるという噂を聞かされて……? ※ なろうにも投稿しています。

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

氷の騎士と契約結婚したのですが、愛することはないと言われたので契約通り離縁します!

柚屋志宇
恋愛
「お前を愛することはない」 『氷の騎士』侯爵令息ライナスは、伯爵令嬢セルマに白い結婚を宣言した。 セルマは家同士の政略による契約結婚と割り切ってライナスの妻となり、二年後の離縁の日を待つ。 しかし結婚すると、最初は冷たかったライナスだが次第にセルマに好意的になる。 だがセルマは離縁の日が待ち遠しい。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

「予備」として連れてこられた私が、本命を連れてきたと勘違いした王国の滅亡フラグを華麗に回収して隣国の聖女になりました

平山和人
恋愛
王国の辺境伯令嬢セレスティアは、生まれつき高い治癒魔法を持つ聖女の器でした。しかし、十年間の婚約期間の末、王太子ルシウスから「真の聖女は別にいる。お前は不要になった」と一方的に婚約を破棄されます。ルシウスが連れてきたのは、派手な加護を持つ自称「聖女」の少女、リリア。セレスティアは失意の中、国境を越えた隣国シエルヴァード帝国へ。 一方、ルシウスはセレスティアの地味な治癒魔法こそが、王国の呪いの進行を十年間食い止めていた「代替の聖女」の役割だったことに気づきません。彼の連れてきたリリアは、見かけの派手さとは裏腹に呪いを加速させる力を持っていました。 隣国でその真の力を認められたセレスティアは、帝国の聖女として迎えられます。王国が衰退し、隣国が隆盛を極める中、ルシウスはようやくセレスティアの真価に気づき復縁を迫りますが、後の祭り。これは、価値を誤認した愚かな男と、自分の力で世界を変えた本物の聖女の、代わりではなく主役になる物語です。

処理中です...