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第一章・学園編
第九話
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あの夜から一夜が過ぎた。あの後自分の部屋に戻ったとき、あの場所から大勢の人の気配がした。
あそこから直ぐに離れて良かったと思ってる。
そして今現在、僕は食堂で朝食を食べているところだ。今日のメニューはパン二つとスープ、あとデザートにリンゴ一つだ。
デザートは追加料金がいるため購入した。昨日高レベル相手に勝ったため、自分への少しの祝いだ。
「なぁ聞いたか。ある生徒が寮の近くで焼死体で発見されたんだって。」
「えぇ、マジで。犯人はまだ捕まってないのか?」
「捕まってたら今ごろ広まってるよ。」
どうやら昨日のことがもう学園中に広まってるようだ。幸い僕のことは広まってないのは良かった。
「さてと、これから大変になるなぁ。」
昨日考えてたことだけど、今後の方針でどうしようか悩んでいた。
今の僕は以前と比べてかなり強くなったと思ってる。
不死鳥から授かったもので、奇跡的に強くなった。
でもだからといって、僕が欠陥であることは変わらない。
それにいきなり使える魔法の属性が増えたなんてことを喋れば面倒ごとを起こしてしまう。
これまでに新しく他の属性の魔法が使えるようになったなんて前例は聞いたことがない。つまり僕が最初の人間というわけだ。
これが広まれば僕は直ぐに有名人になる。けれど、もしまた同じことが起きたらどうなるだろうか。初級の魔法しか使えないなんてことが起きたらどうなるか。
そうなればまた二の舞いになるだけだ。欠陥はやはり欠陥だと周りから馬鹿にされるに決まってる。
だからこそ、このことは僕だけの秘密にする。訓練では今まで通りにするとして、野外では人目がないところで使う。
(でもそれがまた大変なんだよなぁ。)
なにせ人目を気にしなくてはいけないから、魔法の熟練度を上げるのが難しくなる。
森の中とかなら大丈夫かと思ったけど、そもそも炎の魔法だから森だと危険だ。
「はぁ…どうしたものかな。」
そうして僕はこれからのことで悩みながら朝食を食べ、学校の授業へと向かう。
「今日の授業はいつもより集中して学ぶことができたな。」
今日の授業は教室で座学だった。教師が黒板に文章を書いてそれをノートにとるのが当たり前のようなものだが、ノートに丸写すのは二流がすることだ。
所々に自分の考えを書き、後で見返すときに役に立つように書くのが一流のやることだ。
基本、座学は眠気を誘うものではあるが、不死鳥との契約のせいか、集中力がいつもより高い気がする。
高ランクのモンスターとの契約では、頭の性能も向上するものなのだろうか。
「ふぅ、外での授業の後でもまだ体力が残ってるな。」
座学の後に外での授業があった。基礎体力づくりの走り込み、腕立てや腹筋など、剣術などの武器を使った訓練もした。
走り込みや腕立て伏せでは今までと違い楽々とこなしたし、剣術も今までと全く違った感覚だった。
(不死鳥様々とはこういうことだな。)
「ちっ、なんであの欠陥野郎。」
「今までとは違って生き生きしやがって。」
なんだか周りから嫌味な声が聞こえてくる。
この学校では友達と呼べる生徒はいない。この学園では、友達を作ってつるむグループと上下の関係でできてるグループ、そして一人で学園生活を送るソロに分かれている。
僕は後者ではあるものの、友達がほしいという願望はなくはない。
けれど僕には才能があって、そしてその才能が欠陥のため、周りからは蔑みの目で見られてる。
頑張ったとしても、努力したとしても、周りから認められることはない。
けれど、だからといってここから去るとなれば、僕は本当に負け犬になってしまう。そうなりたくないがために、僕は最後の最後まで諦めないでいようと思っている。
「それにあと半年でこの学園を卒業するんだ。それまで諦めないでいよう。」
ここに入学してからもう3年半くらい経つ。この学校は四年制であり、僕が14の頃にここに入学してきた。
つまりあと半年ほどここを過ごせば、僕は自由の身となるわけだ。
(まぁそうなれば家からの仕送りはなしになるんだけど、どうでもいいか。)
僕の家なのだが、義両親がいる。
僕が生まれて間もない頃に両親は亡くなって、それからは義両親に育ててもらった。
僕の才能が珍しいことで有名になった最初の頃は僕のことを立派な息子と言ってたが、才能の限界の早さに気づいた時には、どうしようも無いダメ息子だと蔑まれた。僕のことを価値がないやつだと思って見捨てたのだろう。
そんな義両親なら『業火』で焼けば絶対断末魔を叫ぶこと間違いなしだろう。
(まぁそんなくだらないことには使わないんだけど。)
私利私欲でこの力を使う気は毛頭ない。学園を卒業したら直ぐに絶縁する予定だ。今更だがあんな人たちと親子だなんてこっちから願い下げだ。
(…血のつながった親子なら、僕の才能の限界が早くても両親は見捨てなかったのかな。…まぁ、そんなこと考えても意味ないか。)
~ 主人公プロフィール 適正属性編~
⬇︎
【潜在能力値】
『名前』コトノ=オオトリ
『適正属性とは?』
全ての種族には適正属性が存在する。その中で人間は四大元素である炎、水、風、土の適正率が高い。他にも、雷や氷などの四大属性の派生属性、植物、毒などの特殊属性の者もいるが、希少属性のである聖や闇、空間属性を持つ者は少ない。
ちなみに、無属性は全ての属性に当てはまらず、“仲間はずれの属性”と呼ばれている。
『属性について』
〈四大属性〉→炎、水、風、土
〈派生属性〉→氷、雷、etc
〈特殊属性〉→毒、植物、etc
〈希少属性〉→光、闇、空間
あそこから直ぐに離れて良かったと思ってる。
そして今現在、僕は食堂で朝食を食べているところだ。今日のメニューはパン二つとスープ、あとデザートにリンゴ一つだ。
デザートは追加料金がいるため購入した。昨日高レベル相手に勝ったため、自分への少しの祝いだ。
「なぁ聞いたか。ある生徒が寮の近くで焼死体で発見されたんだって。」
「えぇ、マジで。犯人はまだ捕まってないのか?」
「捕まってたら今ごろ広まってるよ。」
どうやら昨日のことがもう学園中に広まってるようだ。幸い僕のことは広まってないのは良かった。
「さてと、これから大変になるなぁ。」
昨日考えてたことだけど、今後の方針でどうしようか悩んでいた。
今の僕は以前と比べてかなり強くなったと思ってる。
不死鳥から授かったもので、奇跡的に強くなった。
でもだからといって、僕が欠陥であることは変わらない。
それにいきなり使える魔法の属性が増えたなんてことを喋れば面倒ごとを起こしてしまう。
これまでに新しく他の属性の魔法が使えるようになったなんて前例は聞いたことがない。つまり僕が最初の人間というわけだ。
これが広まれば僕は直ぐに有名人になる。けれど、もしまた同じことが起きたらどうなるだろうか。初級の魔法しか使えないなんてことが起きたらどうなるか。
そうなればまた二の舞いになるだけだ。欠陥はやはり欠陥だと周りから馬鹿にされるに決まってる。
だからこそ、このことは僕だけの秘密にする。訓練では今まで通りにするとして、野外では人目がないところで使う。
(でもそれがまた大変なんだよなぁ。)
なにせ人目を気にしなくてはいけないから、魔法の熟練度を上げるのが難しくなる。
森の中とかなら大丈夫かと思ったけど、そもそも炎の魔法だから森だと危険だ。
「はぁ…どうしたものかな。」
そうして僕はこれからのことで悩みながら朝食を食べ、学校の授業へと向かう。
「今日の授業はいつもより集中して学ぶことができたな。」
今日の授業は教室で座学だった。教師が黒板に文章を書いてそれをノートにとるのが当たり前のようなものだが、ノートに丸写すのは二流がすることだ。
所々に自分の考えを書き、後で見返すときに役に立つように書くのが一流のやることだ。
基本、座学は眠気を誘うものではあるが、不死鳥との契約のせいか、集中力がいつもより高い気がする。
高ランクのモンスターとの契約では、頭の性能も向上するものなのだろうか。
「ふぅ、外での授業の後でもまだ体力が残ってるな。」
座学の後に外での授業があった。基礎体力づくりの走り込み、腕立てや腹筋など、剣術などの武器を使った訓練もした。
走り込みや腕立て伏せでは今までと違い楽々とこなしたし、剣術も今までと全く違った感覚だった。
(不死鳥様々とはこういうことだな。)
「ちっ、なんであの欠陥野郎。」
「今までとは違って生き生きしやがって。」
なんだか周りから嫌味な声が聞こえてくる。
この学校では友達と呼べる生徒はいない。この学園では、友達を作ってつるむグループと上下の関係でできてるグループ、そして一人で学園生活を送るソロに分かれている。
僕は後者ではあるものの、友達がほしいという願望はなくはない。
けれど僕には才能があって、そしてその才能が欠陥のため、周りからは蔑みの目で見られてる。
頑張ったとしても、努力したとしても、周りから認められることはない。
けれど、だからといってここから去るとなれば、僕は本当に負け犬になってしまう。そうなりたくないがために、僕は最後の最後まで諦めないでいようと思っている。
「それにあと半年でこの学園を卒業するんだ。それまで諦めないでいよう。」
ここに入学してからもう3年半くらい経つ。この学校は四年制であり、僕が14の頃にここに入学してきた。
つまりあと半年ほどここを過ごせば、僕は自由の身となるわけだ。
(まぁそうなれば家からの仕送りはなしになるんだけど、どうでもいいか。)
僕の家なのだが、義両親がいる。
僕が生まれて間もない頃に両親は亡くなって、それからは義両親に育ててもらった。
僕の才能が珍しいことで有名になった最初の頃は僕のことを立派な息子と言ってたが、才能の限界の早さに気づいた時には、どうしようも無いダメ息子だと蔑まれた。僕のことを価値がないやつだと思って見捨てたのだろう。
そんな義両親なら『業火』で焼けば絶対断末魔を叫ぶこと間違いなしだろう。
(まぁそんなくだらないことには使わないんだけど。)
私利私欲でこの力を使う気は毛頭ない。学園を卒業したら直ぐに絶縁する予定だ。今更だがあんな人たちと親子だなんてこっちから願い下げだ。
(…血のつながった親子なら、僕の才能の限界が早くても両親は見捨てなかったのかな。…まぁ、そんなこと考えても意味ないか。)
~ 主人公プロフィール 適正属性編~
⬇︎
【潜在能力値】
『名前』コトノ=オオトリ
『適正属性とは?』
全ての種族には適正属性が存在する。その中で人間は四大元素である炎、水、風、土の適正率が高い。他にも、雷や氷などの四大属性の派生属性、植物、毒などの特殊属性の者もいるが、希少属性のである聖や闇、空間属性を持つ者は少ない。
ちなみに、無属性は全ての属性に当てはまらず、“仲間はずれの属性”と呼ばれている。
『属性について』
〈四大属性〉→炎、水、風、土
〈派生属性〉→氷、雷、etc
〈特殊属性〉→毒、植物、etc
〈希少属性〉→光、闇、空間
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