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花鶏(1)
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花鶏という名は、彼の生みの母が名付けた。
彼女の名は朝月夜。没落した地方貴族の娘で、奉公先の多々良姫に仕えていた。彼女が16歳のとき、多々良姫が側室として後宮入りし、彼女も付き従った。
表向き、花鶏は多々良姫と皇帝・紫雲の間に生まれた子だ。
しかし、これはまことしやかな噂ではあったが、皇帝が朝月夜に産ませた子を、多々良姫が偽って自分の子としたのでは、とささやかれていた。
多々良姫の出産後、朝月夜が後宮から消息を絶ったことも、ほどなく知る人ぞ知るところとなった。
この件はシナリオには深く関与しないので、蘇芳も設定資料集で事実を知った。それによると、多々良姫は朝月夜が産んだ双子の赤ん坊を無理やり彼女から取り上げて自分の立場を優位にしようとしたらしい。
側室であろうが、次期皇帝となる可能性がある男児を産めば、正妃と並ぶ権力を持つ。
この時、すでに皇位継承が目された皇子は二人いたが、先のことは誰にも断言できない。
周りに怪しまれながらも、十月十日、身重の振りをし続けた多々良姫はたいしたものといえよう。
ともかく、母親から意に染まぬ形で奪われた双子の赤ん坊は4歳まで、多々良姫とお付きの者たちによって掌中の珠のごとく大切にされ、それは今後も続くと思われた。
双子の運命が変わったのは5歳を迎えた年だった。
多々良姫の父親が、隣国との貿易に絡んだ贈賄の咎で投獄された。波紋は一族全体に及び、後ろ盾を無くした多々良姫は、もはやいくら皇子を擁立しようとて、立場を保てるものではなくなったのだ。
後ろ盾を無くした姫が後宮で生きていくことは生半可ではない。
そして苦心して手元に養育した赤ん坊は、もとは自分を差し置いてそば仕えの女が皇帝の寵を得てできた子供。
その子供も、もはや多々良姫にとっては無用の長物となった。
花鶏の人生は、この瞬間歯車が狂ったと言っていいだろう。
実母の記憶はなく、多々良姫を母と慕った花鶏たち双子を、気に掛ける者は誰もいなくなった。
正妃二人が産んだ皇子が二人、もう一人の側室にも男児が一人いる状況では、没落の憂き目を見た側室の皇子皇女など、どれほどの価値があるのか。
後宮において、誰を支持するのか、これに勝る重要な選択はない。見誤れば、自分や一族が路頭に迷うこともあり得るからだ。
だからこそ、花鶏たちは放逐された。最低限の世話だけを受け、仮にも皇帝の血を引いているのは間違いのない尊い身でありながら、荒れた後宮の片隅で飢えと寒さを味わった。
この時、すでに多々良姫は心を病んでおり、花鶏たちを直接苛むことも珍しくなかった。諫める者はおろか、前途のない主人を見限って古参の使用人まで主のもとを去る始末だった。
後宮の一画で、無視され身分の低い下人にまで虐げられること数年。
更なる決定的な不幸は、花鶏たちが10歳の時。
唯一の片割れである双子の姉、花雲が病死したことによって、幼い皇子の心身は完全に崩壊した。
お互いだけが心の支え。この世でただ一人の愛する家族。優しい姉。
(ーこれがきっかけで、花鶏は心の底で人間すべてを憎んでいるんだよな。江雪以外は)
ゲームの設定とはいえ、酷な人生だ。
そんな彼を救って、自分の手元で養育を買って出たのが、他ならぬ江雪だった。
姉以外で唯一、幼い少年を認めて、励まし、慈しんで皇帝にまで押し上げた男。いっそ実の父よりも、花鶏は親と慕っていたはずだ。
結局、父親代わりの男に用済みになったとたん毒殺されるのだが。
(あーでも、手を下すのは俺なんだよな。俺というか、蘇芳だけど)
早朝。蘇芳は知識を整理しながら、早蕨に手伝わせて着替えをしつつため息を吐いた。
「お気に召しませんか?」
帯を結んでくれていた早蕨に尋ねられて、え、と首をかしげたがすぐに、蘇芳がかなりの着道楽で用意された衣装にもごちゃごちゃ文句をつける習慣があったのを思い出した。
(服なんて、似たようなのを着まわしてりゃいいのに。こんなひらひらかさばる服を一から選んでたらきりがない)
ちなみに、かつての芦屋も服にそれほどのこだわりはなく、品質がいいものを厳選して数着持っているくらいだった。蘇芳との価値観の違いはこんな所にも転がっている。
「いや、これで構わない。内親王殿下に目通りするから、髪も結ってもらえるか」
「江雪様とのお約束の時間はどうなさるのですか?」
「まだ早いから、先に殿下にご挨拶してから向かおう。先触れをしておいてくれ」
早蕨はおや、という顔をした。
一方、蘇芳の方は早蕨の表情で、彼が考えていることが手に取るようにわかった。
珍しいこともあるものだ。いつもはそんなこと気にもせず、勝手に皇子の居室に向かうのが普通だったのに。
……とでも思っているのだろう。
(まずはこれを何とかしなくちゃいけないよな。仮にも皇族に対して、ないがしろにして当たり前って風潮が浸透してるのはおかしいだろ)
長く艶のある黒髪を結い、翠玉をはめ込んだ冠でまとめると、貴族の青年文官「蘇芳」の完成だ。
さて、気合を入れるとしよう。
何せこちらは一応「予習」もばっちり。
しかし油断は禁物だ。どんな仕事もミスをした後のリカバリは早急の着手が望ましい。
花鶏が江雪に救われ、彼の本宅に保護されてまだ半年足らず。
かわいそうな少年の洗脳をといてやって、まっとうに健やかな大人にしてやる布石を敷いてやるには、たっぷりの時間が残されているはずだった。
「殿下。蘇芳様がご面会の許可に使者を遣わしてまいりました。いかがされますか」
ここに来てから、あまり見たことがない顔の家僕に言われて、少年は黴臭い湿った寝台の上でたちまち表情を強張らせた。
思わず全身に力が入り、背中には嫌な冷や汗もかいてくる。
彼を救ってくれた優しい男がいうには、自分は病気で、回復するまで日光は浴びない方がいいらしい。
そのため部屋は窓がない半地下にあり、いつも薄暗く少年の表情は判別しづらい。
もし明るければ、顔色が悪いせいで陰気に見える幼い顔にまぎれもない嫌悪が浮かんでいたのがわかっただろう。
ただし分かっても、だからどうしたと思うような人間しか、ここにはいないと少年は承知している。
最近、そうでない例外も「つくった」が、結局、彼女は汚らわしい男が他所にやってしまった。
その汚らわしい男が、ここに来るという。
しかも、普段はしない先触れをして。まるで貴人に対して礼儀を尽くすように。
ここで否と言う権利は自分にはない。奴の前で生意気な態度をとり、少しでも機嫌を損ねたり怒らせたりすれば、どんな仕打ちがあるか、もう知っている。
体罰はもちろん、真っ暗闇の地下室に一昼夜放り込まれたのはまだ我慢ができた。
大きな酒樽に鼠と閉じ込められたときはなどは発狂しそうだった。前の晩に、ネズミを使って罪人に罪を吐かせる拷問の話を蘇芳本人から聞かされたばかりだったからなおさら、自分もそうなる未来を想像してすくみ上った。
あれ以来、花鶏は蘇芳が憎いのと同じくらい、怖くて逆らえなくなった。
そしてそのことがまた、憎しみの火に油を注いだ。
後宮の下人や母親も花鶏たちをないがしろにしたが、どちらかと言えば無視して放っておかれた。
なぜそれまで会ったこともない蘇芳からこんなにも加虐されるのか花鶏には理解できず、それがまた意図の読めない執着を感じさせるようで気味悪かった。
半刻後。
薄暗がりを優雅に歩んできた蘇芳は、寝台の上の花鶏と目が合う前にそのまま床に叩頭した。
花鶏は思わずびっくりして固まった。そんなことは江雪以外にされたことがなかった。
ましていつもの蘇芳なら、死んでも絶対にしないだろう。
そしてすぐに視線を合わせずに済んだことで、花鶏には知らず、蘇芳をよくよく見る余裕が生まれた。
いつもの二人の間には一方的な加虐の空気が張り詰めていて、そんな余裕はなかったのだ。
蘇芳の雰囲気はいつもと違っているように思えた。何が、と言われてもすぐには言葉にできない。
床に広がった淡い浅黄色の裾と、藍色の帯、薄紫の組紐でゆるくまとめた長い髪。
いつもの上品だが華美な衣装ではない。むしろ地味と言っていい色合い。帯玉も重ね襟裳も、精緻な刺繍もない。
何より、いつもは鮮やかな砡の嵌った冠で髪をくくっていたが、今は何の変哲もない組紐でそっけなく後ろに纏めているのみ。
案内してきた家僕も、やはり変化を感じ取ってか、ちらちらと蘇芳へ視線をやっている。
身なりがだいぶ簡素になっただけと言えばそれまでだが、普段の蘇芳を知る者からすると、まとう雰囲気がまったく変わって見えた。
「殿下」
花鶏ははっとした。声を発したのは蘇芳ではなく家僕の男だった。叩頭を解くための花鶏の声が無かったので、仕方なく花鶏を促した形となった。
「顔を上げてよい」
花鶏は何となく、いつもと違う雰囲気を感じて警戒しながら声を絞った。
蘇芳はゆっくりと顔を上げて花鶏を見た。その瞬間、なぜか驚いたような表情が美しい青年の顔に浮かんだ。
やや見開かれた目と、小さく息をのんだような気配。
「?」
訝る少年の前で、なんと彼の仇敵はほろ、と涙をこぼした。
彼女の名は朝月夜。没落した地方貴族の娘で、奉公先の多々良姫に仕えていた。彼女が16歳のとき、多々良姫が側室として後宮入りし、彼女も付き従った。
表向き、花鶏は多々良姫と皇帝・紫雲の間に生まれた子だ。
しかし、これはまことしやかな噂ではあったが、皇帝が朝月夜に産ませた子を、多々良姫が偽って自分の子としたのでは、とささやかれていた。
多々良姫の出産後、朝月夜が後宮から消息を絶ったことも、ほどなく知る人ぞ知るところとなった。
この件はシナリオには深く関与しないので、蘇芳も設定資料集で事実を知った。それによると、多々良姫は朝月夜が産んだ双子の赤ん坊を無理やり彼女から取り上げて自分の立場を優位にしようとしたらしい。
側室であろうが、次期皇帝となる可能性がある男児を産めば、正妃と並ぶ権力を持つ。
この時、すでに皇位継承が目された皇子は二人いたが、先のことは誰にも断言できない。
周りに怪しまれながらも、十月十日、身重の振りをし続けた多々良姫はたいしたものといえよう。
ともかく、母親から意に染まぬ形で奪われた双子の赤ん坊は4歳まで、多々良姫とお付きの者たちによって掌中の珠のごとく大切にされ、それは今後も続くと思われた。
双子の運命が変わったのは5歳を迎えた年だった。
多々良姫の父親が、隣国との貿易に絡んだ贈賄の咎で投獄された。波紋は一族全体に及び、後ろ盾を無くした多々良姫は、もはやいくら皇子を擁立しようとて、立場を保てるものではなくなったのだ。
後ろ盾を無くした姫が後宮で生きていくことは生半可ではない。
そして苦心して手元に養育した赤ん坊は、もとは自分を差し置いてそば仕えの女が皇帝の寵を得てできた子供。
その子供も、もはや多々良姫にとっては無用の長物となった。
花鶏の人生は、この瞬間歯車が狂ったと言っていいだろう。
実母の記憶はなく、多々良姫を母と慕った花鶏たち双子を、気に掛ける者は誰もいなくなった。
正妃二人が産んだ皇子が二人、もう一人の側室にも男児が一人いる状況では、没落の憂き目を見た側室の皇子皇女など、どれほどの価値があるのか。
後宮において、誰を支持するのか、これに勝る重要な選択はない。見誤れば、自分や一族が路頭に迷うこともあり得るからだ。
だからこそ、花鶏たちは放逐された。最低限の世話だけを受け、仮にも皇帝の血を引いているのは間違いのない尊い身でありながら、荒れた後宮の片隅で飢えと寒さを味わった。
この時、すでに多々良姫は心を病んでおり、花鶏たちを直接苛むことも珍しくなかった。諫める者はおろか、前途のない主人を見限って古参の使用人まで主のもとを去る始末だった。
後宮の一画で、無視され身分の低い下人にまで虐げられること数年。
更なる決定的な不幸は、花鶏たちが10歳の時。
唯一の片割れである双子の姉、花雲が病死したことによって、幼い皇子の心身は完全に崩壊した。
お互いだけが心の支え。この世でただ一人の愛する家族。優しい姉。
(ーこれがきっかけで、花鶏は心の底で人間すべてを憎んでいるんだよな。江雪以外は)
ゲームの設定とはいえ、酷な人生だ。
そんな彼を救って、自分の手元で養育を買って出たのが、他ならぬ江雪だった。
姉以外で唯一、幼い少年を認めて、励まし、慈しんで皇帝にまで押し上げた男。いっそ実の父よりも、花鶏は親と慕っていたはずだ。
結局、父親代わりの男に用済みになったとたん毒殺されるのだが。
(あーでも、手を下すのは俺なんだよな。俺というか、蘇芳だけど)
早朝。蘇芳は知識を整理しながら、早蕨に手伝わせて着替えをしつつため息を吐いた。
「お気に召しませんか?」
帯を結んでくれていた早蕨に尋ねられて、え、と首をかしげたがすぐに、蘇芳がかなりの着道楽で用意された衣装にもごちゃごちゃ文句をつける習慣があったのを思い出した。
(服なんて、似たようなのを着まわしてりゃいいのに。こんなひらひらかさばる服を一から選んでたらきりがない)
ちなみに、かつての芦屋も服にそれほどのこだわりはなく、品質がいいものを厳選して数着持っているくらいだった。蘇芳との価値観の違いはこんな所にも転がっている。
「いや、これで構わない。内親王殿下に目通りするから、髪も結ってもらえるか」
「江雪様とのお約束の時間はどうなさるのですか?」
「まだ早いから、先に殿下にご挨拶してから向かおう。先触れをしておいてくれ」
早蕨はおや、という顔をした。
一方、蘇芳の方は早蕨の表情で、彼が考えていることが手に取るようにわかった。
珍しいこともあるものだ。いつもはそんなこと気にもせず、勝手に皇子の居室に向かうのが普通だったのに。
……とでも思っているのだろう。
(まずはこれを何とかしなくちゃいけないよな。仮にも皇族に対して、ないがしろにして当たり前って風潮が浸透してるのはおかしいだろ)
長く艶のある黒髪を結い、翠玉をはめ込んだ冠でまとめると、貴族の青年文官「蘇芳」の完成だ。
さて、気合を入れるとしよう。
何せこちらは一応「予習」もばっちり。
しかし油断は禁物だ。どんな仕事もミスをした後のリカバリは早急の着手が望ましい。
花鶏が江雪に救われ、彼の本宅に保護されてまだ半年足らず。
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思わず全身に力が入り、背中には嫌な冷や汗もかいてくる。
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そのため部屋は窓がない半地下にあり、いつも薄暗く少年の表情は判別しづらい。
もし明るければ、顔色が悪いせいで陰気に見える幼い顔にまぎれもない嫌悪が浮かんでいたのがわかっただろう。
ただし分かっても、だからどうしたと思うような人間しか、ここにはいないと少年は承知している。
最近、そうでない例外も「つくった」が、結局、彼女は汚らわしい男が他所にやってしまった。
その汚らわしい男が、ここに来るという。
しかも、普段はしない先触れをして。まるで貴人に対して礼儀を尽くすように。
ここで否と言う権利は自分にはない。奴の前で生意気な態度をとり、少しでも機嫌を損ねたり怒らせたりすれば、どんな仕打ちがあるか、もう知っている。
体罰はもちろん、真っ暗闇の地下室に一昼夜放り込まれたのはまだ我慢ができた。
大きな酒樽に鼠と閉じ込められたときはなどは発狂しそうだった。前の晩に、ネズミを使って罪人に罪を吐かせる拷問の話を蘇芳本人から聞かされたばかりだったからなおさら、自分もそうなる未来を想像してすくみ上った。
あれ以来、花鶏は蘇芳が憎いのと同じくらい、怖くて逆らえなくなった。
そしてそのことがまた、憎しみの火に油を注いだ。
後宮の下人や母親も花鶏たちをないがしろにしたが、どちらかと言えば無視して放っておかれた。
なぜそれまで会ったこともない蘇芳からこんなにも加虐されるのか花鶏には理解できず、それがまた意図の読めない執着を感じさせるようで気味悪かった。
半刻後。
薄暗がりを優雅に歩んできた蘇芳は、寝台の上の花鶏と目が合う前にそのまま床に叩頭した。
花鶏は思わずびっくりして固まった。そんなことは江雪以外にされたことがなかった。
ましていつもの蘇芳なら、死んでも絶対にしないだろう。
そしてすぐに視線を合わせずに済んだことで、花鶏には知らず、蘇芳をよくよく見る余裕が生まれた。
いつもの二人の間には一方的な加虐の空気が張り詰めていて、そんな余裕はなかったのだ。
蘇芳の雰囲気はいつもと違っているように思えた。何が、と言われてもすぐには言葉にできない。
床に広がった淡い浅黄色の裾と、藍色の帯、薄紫の組紐でゆるくまとめた長い髪。
いつもの上品だが華美な衣装ではない。むしろ地味と言っていい色合い。帯玉も重ね襟裳も、精緻な刺繍もない。
何より、いつもは鮮やかな砡の嵌った冠で髪をくくっていたが、今は何の変哲もない組紐でそっけなく後ろに纏めているのみ。
案内してきた家僕も、やはり変化を感じ取ってか、ちらちらと蘇芳へ視線をやっている。
身なりがだいぶ簡素になっただけと言えばそれまでだが、普段の蘇芳を知る者からすると、まとう雰囲気がまったく変わって見えた。
「殿下」
花鶏ははっとした。声を発したのは蘇芳ではなく家僕の男だった。叩頭を解くための花鶏の声が無かったので、仕方なく花鶏を促した形となった。
「顔を上げてよい」
花鶏は何となく、いつもと違う雰囲気を感じて警戒しながら声を絞った。
蘇芳はゆっくりと顔を上げて花鶏を見た。その瞬間、なぜか驚いたような表情が美しい青年の顔に浮かんだ。
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「?」
訝る少年の前で、なんと彼の仇敵はほろ、と涙をこぼした。
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