ワガママ公爵娘の暴走記

籠志摩琢朗

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「お、お嬢様!」
「どうしたの?」

 それから私は、ナヨちゃんにここぞとばかりに情報を聞きまくった。

 ここが何処なのかとか、兄弟の話とか。
 まとめるとこうだ。

 モンクレイ家は魔法に秀でた一族で、この王国で四本の指に入ると言われている名家。

 魔法のモンクレイ。
 剣のイージス。
 拳のガレット。
 そして富のヴェイリア。

 このエオルゼア大陸は複数の王国で構成されているらしい。

 そしてその中でもこのセレスティアル王国は、2番目に大きい国土と軍事力を持った国とのことだ。

 一番と言われている大陸はまた別らしいんだけど、事実上このセレスティアル王国が一番の王国と言われているらしい。
 
 それには軍事力が大きく関わっているらしく、それに最も関与しているのが──この家の現当主であるロデック・モンクレイ。
 歴代魔法使いの中でも3本に入るまでの天才という部類の人間らしく、モンクレイが現在の地位に長くいるのも⋯⋯ほとんどが彼のおかげとも言われていることから、公爵家の中でも陛下の次に権力があるとまで言われているんだとか。

 そして私はその公爵家の一番末っ子である五番目の娘であり、一番の問題児である事が徐々にナヨちゃんの反応から察した。

 幼いながらも家に関わるメイドや執事ですら道具扱い。
 兄弟ですら手が付けられないほど暴君っぷりを日々披露しているのだとか。
 もはや父からも見放されかかっていて、淑女教育の方は問題ないのだが、勉学自体の方はからっきし。

 もはや関わることが破滅の道へと続くとまで言われるほどの暴君少女。

 ⋯⋯なんて子なんだろう、酷い。
 この子まだ8歳でしょ。
 
 なるほど、それならこの反応も納得だ。
 突然暴君が敬語なんて使いだしたら槍が降ってきそうだ。

「こ、これでよろしかったでしょうか?」
「ええ、問題ないわ。ありがとう」

 私のありがとうという言葉に過剰に反応して更に地面に頭をぶつけながら感謝の言葉を返すナヨちゃん。

 なんか見ててこっちが辛くなってくるからやめてほしい。
 ⋯⋯とは言えない。

「では、何かありましたらベルをお願いいたします」
「分かったわ」

 出ていくのを確認した私は、ひとまずのことを考え始めた。

 この子は8歳のスーパー暴君。
 勉学は出来ていない⋯⋯と、思われている。

 思われているというのは、あくまで少し前までのこの子だったらの話で、私自身は元大学生なので、多分この歳で私の他に私以上に頭が良い子なんていないでしょ。
 それに、経済学の方も学ぼうとテキストで勉強もしていたし、今の内にセレブ生活満喫し放題ってことじゃん。

 よし! この暴君の力を活かして、今回はド派手に生きよう!
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