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ゲーム説明
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何人もの人間が部屋の中へ入って来た。彼らはすでに来ていた二人をちらりと見やるばかりで、後は黙って自分の席に着いた。
それを確認したのか、放送を行っている声が再び聞こえてきた。
「まずは皆さんで自己紹介をお願いします。あ、自己紹介と言っても名前を言うだけで結構ですので」
その後、十三人の中に無言で最初に自己紹介をする人間を待つ雰囲気が流れた。が、その中の一人が沈黙を破った。
「はい、あたし、〝マイケル玉緒〟です。よろしく」
〝マイケル玉緒〟は外国人でも男でもなく、普通の日本人女性だった。だが、その髪は金髪で、肌は浅黒い。いわゆるギャルの格好だった。
マイケル玉緒が座ると同時に、雪崩をうつように自己紹介が始まる。
「俺は〝コッコー〟です。よろしくお願いします」
〝コッコー〟は角刈りで筋肉質な三十代の男だった。おそらくこのバイトに来る前は工事現場の作業員でもしていたのだろう。
「私は〝アンダーソン〟です」
〝アンダーソン〟の外見は見事に外国人だった。白い肌に金髪という典型的な日本人の外国人イメージを投影したような姿である。しかし、その割には日本語が流暢なのでハーフか育ちが日本かのどちらかだろう。
「〝赤城達也〟だ」
次の人物はサングラスをかけた男で、一切表情が読めなかった。だが、ほとんどの人間が顔の端に緊張を浮かべているのに、まったく物怖じしない性格のようである。
「〝ダレイオス〟です」
そう言った人物はどこにでもいるような中年男性だった。ちなみに、〝ダレイオス〟というのは昔のペルシアの王様の名前である。
「〝谷公恵〟です」
そう名乗った中年女性はすこしぽっちゃりしており、大きめの上着を羽織っていた。優しそうで、気のいいオバさんという感じだった。
「〝助さん〟です。よろしく」
今度は俺と同い歳ぐらいの大学生風の男だった。面長な顔に眼鏡をかけている。もし彼をさん付けで呼ぶのなら、〝助さんさん〟と呼ぶべきなのだろうか。
「〝雪香〟です。よろしくお願いいたします」
〝雪香〟は整った顔の持ち主だったが、赤城達也と同じく全く表情が読みとれない。白い着物を着ており、艶やかな黒髪を腰まで伸ばしている。
「〝高知丸〟です」
高知丸と名乗った男性は六十代ほどで、髪の中に時々白髪が混じっている。服装はスーツだった。
「僕は〝須良重久〟です。以後お見知りおきを」
須良は高身長でかなりのイケメンというべき顔立ちだった。いちいちきざったらしい仕草を見せるので、どこかのホストでもやっていたのではないかと思う。
「〝長崎千郷〟です」
次に出てきたのはさっき話していた千郷だった。皆の目が集まると同時に、彼女は席に着いた。
「〝羽田俊雄〟」
それだけ言うと、その男は椅子に座った。黒いコートを着込んで、手術で使うようなマスクをつけているので、鋭い目以外は顔の様子が分からなかった。
そして、最後の男が座って、俺に視線が向く。慌てて立ち上がり、
「俺は〝橋野和樹〟です。よろしく」
と答えた。
「それでは〝エンターテイメントの仕事〟もとい〝ゲーム〟の説明を始めさせていただきたいと思います」
全員の自己紹介が終わったところで、放送が待ちかねた様子で説明を始める。
「まず、舞台について説明しましょう。あなたたちにはこのビルの地下に莫大な費用を使って作られた地下一階から地下三階で成る迷路内を探索してもらいます。このゲームの目的は、その迷路内の「敵」を斃し、黄金の鍵を見つけ、それで地下一階にある脱出できるドアから脱出することでゲームクリアとなります。クリアできた人以外は皆ゲームオーバーですので、他人のゴールは阻止しなくてはなりません。ちなみに、賞金の額はゴールした時に持っているポイントの数で決まります」
「ポイント?」
コッコーが呟く。
「はい。0ポイントでゴールした場合は、ペナルティが課せられます。ポイントは、迷宮内で出会うことになる十二の「敵」を倒すことで得られます。一つ倒すごとに100ポイント、その敵が元々持っていたポイントも加算されます。ゴールした際に1ポイントが50万円と交換できます。ちなみにゲーム中でも迷宮内にあるショップで物を買うことができ、他のプレイやーよりも有利にゲームを進められますが、あまり使いすぎると賞金の額が減ってしまいますので、そこは計画的にお使いください」
つまり、一体の「敵」を倒すだけで1千万円になるということか。しかし、「敵」とは一体何を指すものなのだろうか。それに、他のプレイヤーよりも有利に進められるといっていたが、具体的にどう有利になるのだろうか。
「迷宮内の「敵」を倒すために、皆さんには一人一つずつ「武器」が支給されます。それぞれランダムで配られますが、説明がついているので必ずゲーム開始時に読んでおくことをお勧めします」
「ちょっと待ってください」
コッコーが手を上げる。
「なんでしょうか」
「「武器」とか「敵」とか言ってますが、俺たちが死ぬ危険はあるんでしょうか」
「もちろんあります。そうでなければこの〝ゲーム〟を面白がる方はいないでしょう」
その言葉に、かなりの人数がざわめいた。
「エンターテイメントを提供させていただく貴賓室の方々は誰がゴールするか賭けて楽しみながら、ゲームの見物を迷宮内の監視カメラで行っています。監視カメラを故意に破壊した場合、賞金は一切支払われず、重大なペナルティが課せられるので気を付けてください」
この〝ゲーム〟が開催される目的は、要するに人間を使った競馬のようなものであるらしい。しかも死の危険があるときている。うまい話はないものだ。
「じゃあ降りさせてほしいんですけど」
マイケル玉緒はそう言ったが、
「これ以降途中でゲームを辞めることは出来ません。無理にでもゲームを降りようとする方は射殺させていただきます」
という声で黙った。
「えー、ルール説明に戻りますね。迷宮内には色のついた鍵が存在しており、さらに迷宮のあちこちに存在している「ボックス」からその鍵や他のアイテム、新しい武器や食べ物などを得ることが出来ます。ただし、迷宮内には罠が仕掛けられていることもありますので十分に気を付けて進んでください。罠にかかって死亡なんて盛り下がりますから。あ、ちなみに、罠を利用して敵を倒した場合はその人物にポイントが加算されます」
放送は続く。
「迷宮内にはアイテムショップのほかに休憩所が設けられています。そこではトイレ、飲み水、食事を得て、中のベッドで最大九時間休むことが出来、端末の充電も可能ですが、一つの休憩所には基本一人しか入れません。鍵が掛かるため、他のプレイヤーが入る心配はしなくても良いでしょう。また、制限時間の三十分前には知らせますが、それでも休憩室から出ない場合はペナルティーとしてその部屋の酸素を全て抜かせていただきます。休憩所の外で敵が出るのを待っていたり、物理的に閉じ込めていたりする場合は閉じ込めているほうを射殺します」
この発言で、「敵」とは一体誰のことを指すのかが分かった。自分以外の十二人のプレイヤーである。彼らを殺さなくては賞金をもらうことはできないという寸法なのだ。
「要するに、僕たちに殺し合えって言ってるんですかね」
須良の発現に、放送を行っている人間は意外と簡単に肯定した。
「ま、そういうことです。頑張ってください」
周りに目を向けると、それに気がついたらしい他のプレイヤーもお互いの様子をうかがっていた。
「さて、最後にこの携帯端末を皆さんにお渡しします」
その声と共に、黒服、サングラスの男が後ろのドアからやって来て、全員に端末を渡した。その男に誰も飛び掛かるでもなく、そのまま男は出て行ってしまった。
「電源を入れると、〝橋野和樹〟という名前が表示され、「パスワードを設定してください」
という文章が表示された。
「皆さん表示されている通りにパスワードを設定してください。その後に私が解説いたしますので」
俺は、端末の中に1215、と入力した。安易に誕生日だ。
「えー入力し終わったら、「掲示板」と「地図」、「現在の状況」という三項目が表示されているはずです。「掲示板」では他のプレイヤーの様子を一部知ることができます。黄金の鍵を入手したプレイヤーは現在位置が表示されるので留意してください」
黄金の鍵を所有している者は常に皆から狙われるという事か。となると、黄金の鍵は脱出口より遠く配置されている可能性が高い。勿論ゲームを楽しみたい人間の心理からすると、だが。
「地図では迷宮の様子が表示されます。罠やアイテムショップ、休憩所などは通り過ぎたり近くに来たりした時に地図に記録されます。「現在の状況」ではポイントや同盟者の確認や交渉を行うことが出来ます」
「同盟者?」
「はい。三人まで同盟を組むことができ、同盟者を負傷させたり殺したりした場合は賞金が半分になります。誰と誰が同盟したという情報は掲示板に表示されます。同盟を抜ける場合はその人物が同盟を辞めて通達が届き、それから一時間は同盟していた者と交戦することはできないようになっています」
なるほど。同盟者による奇襲を防ぐためか。とはいえ、賞金半額でデスペナルティであるわけでは無いので、少し不安だが。
「休憩所には同盟者同士で一緒に入ることができますが、同盟解消を行った方は休憩所から退去しなければなりません。しなかった場合は射殺いたします。さて、質問は?」
ダレイオスが手を上げる。
「スタート位置はどこからになりますか」
「はい。それはプレイヤーの間隔を均等にしつつ、階層もばらばらに配置いたします。最初は同じフロアに四人がいるわけですね。他には?」
次に質問は無かった。
「ではゲームの開始を宣言させていただきます。皆さん、ご武運を……」
そんな声と共に部屋にガスが満ちて、俺を含めた一三人は皆眠ってしまった。俺は眠る間際に腕時計で時刻を確認する。
時計の針は一三時二四分を指していた。
それを確認したのか、放送を行っている声が再び聞こえてきた。
「まずは皆さんで自己紹介をお願いします。あ、自己紹介と言っても名前を言うだけで結構ですので」
その後、十三人の中に無言で最初に自己紹介をする人間を待つ雰囲気が流れた。が、その中の一人が沈黙を破った。
「はい、あたし、〝マイケル玉緒〟です。よろしく」
〝マイケル玉緒〟は外国人でも男でもなく、普通の日本人女性だった。だが、その髪は金髪で、肌は浅黒い。いわゆるギャルの格好だった。
マイケル玉緒が座ると同時に、雪崩をうつように自己紹介が始まる。
「俺は〝コッコー〟です。よろしくお願いします」
〝コッコー〟は角刈りで筋肉質な三十代の男だった。おそらくこのバイトに来る前は工事現場の作業員でもしていたのだろう。
「私は〝アンダーソン〟です」
〝アンダーソン〟の外見は見事に外国人だった。白い肌に金髪という典型的な日本人の外国人イメージを投影したような姿である。しかし、その割には日本語が流暢なのでハーフか育ちが日本かのどちらかだろう。
「〝赤城達也〟だ」
次の人物はサングラスをかけた男で、一切表情が読めなかった。だが、ほとんどの人間が顔の端に緊張を浮かべているのに、まったく物怖じしない性格のようである。
「〝ダレイオス〟です」
そう言った人物はどこにでもいるような中年男性だった。ちなみに、〝ダレイオス〟というのは昔のペルシアの王様の名前である。
「〝谷公恵〟です」
そう名乗った中年女性はすこしぽっちゃりしており、大きめの上着を羽織っていた。優しそうで、気のいいオバさんという感じだった。
「〝助さん〟です。よろしく」
今度は俺と同い歳ぐらいの大学生風の男だった。面長な顔に眼鏡をかけている。もし彼をさん付けで呼ぶのなら、〝助さんさん〟と呼ぶべきなのだろうか。
「〝雪香〟です。よろしくお願いいたします」
〝雪香〟は整った顔の持ち主だったが、赤城達也と同じく全く表情が読みとれない。白い着物を着ており、艶やかな黒髪を腰まで伸ばしている。
「〝高知丸〟です」
高知丸と名乗った男性は六十代ほどで、髪の中に時々白髪が混じっている。服装はスーツだった。
「僕は〝須良重久〟です。以後お見知りおきを」
須良は高身長でかなりのイケメンというべき顔立ちだった。いちいちきざったらしい仕草を見せるので、どこかのホストでもやっていたのではないかと思う。
「〝長崎千郷〟です」
次に出てきたのはさっき話していた千郷だった。皆の目が集まると同時に、彼女は席に着いた。
「〝羽田俊雄〟」
それだけ言うと、その男は椅子に座った。黒いコートを着込んで、手術で使うようなマスクをつけているので、鋭い目以外は顔の様子が分からなかった。
そして、最後の男が座って、俺に視線が向く。慌てて立ち上がり、
「俺は〝橋野和樹〟です。よろしく」
と答えた。
「それでは〝エンターテイメントの仕事〟もとい〝ゲーム〟の説明を始めさせていただきたいと思います」
全員の自己紹介が終わったところで、放送が待ちかねた様子で説明を始める。
「まず、舞台について説明しましょう。あなたたちにはこのビルの地下に莫大な費用を使って作られた地下一階から地下三階で成る迷路内を探索してもらいます。このゲームの目的は、その迷路内の「敵」を斃し、黄金の鍵を見つけ、それで地下一階にある脱出できるドアから脱出することでゲームクリアとなります。クリアできた人以外は皆ゲームオーバーですので、他人のゴールは阻止しなくてはなりません。ちなみに、賞金の額はゴールした時に持っているポイントの数で決まります」
「ポイント?」
コッコーが呟く。
「はい。0ポイントでゴールした場合は、ペナルティが課せられます。ポイントは、迷宮内で出会うことになる十二の「敵」を倒すことで得られます。一つ倒すごとに100ポイント、その敵が元々持っていたポイントも加算されます。ゴールした際に1ポイントが50万円と交換できます。ちなみにゲーム中でも迷宮内にあるショップで物を買うことができ、他のプレイやーよりも有利にゲームを進められますが、あまり使いすぎると賞金の額が減ってしまいますので、そこは計画的にお使いください」
つまり、一体の「敵」を倒すだけで1千万円になるということか。しかし、「敵」とは一体何を指すものなのだろうか。それに、他のプレイヤーよりも有利に進められるといっていたが、具体的にどう有利になるのだろうか。
「迷宮内の「敵」を倒すために、皆さんには一人一つずつ「武器」が支給されます。それぞれランダムで配られますが、説明がついているので必ずゲーム開始時に読んでおくことをお勧めします」
「ちょっと待ってください」
コッコーが手を上げる。
「なんでしょうか」
「「武器」とか「敵」とか言ってますが、俺たちが死ぬ危険はあるんでしょうか」
「もちろんあります。そうでなければこの〝ゲーム〟を面白がる方はいないでしょう」
その言葉に、かなりの人数がざわめいた。
「エンターテイメントを提供させていただく貴賓室の方々は誰がゴールするか賭けて楽しみながら、ゲームの見物を迷宮内の監視カメラで行っています。監視カメラを故意に破壊した場合、賞金は一切支払われず、重大なペナルティが課せられるので気を付けてください」
この〝ゲーム〟が開催される目的は、要するに人間を使った競馬のようなものであるらしい。しかも死の危険があるときている。うまい話はないものだ。
「じゃあ降りさせてほしいんですけど」
マイケル玉緒はそう言ったが、
「これ以降途中でゲームを辞めることは出来ません。無理にでもゲームを降りようとする方は射殺させていただきます」
という声で黙った。
「えー、ルール説明に戻りますね。迷宮内には色のついた鍵が存在しており、さらに迷宮のあちこちに存在している「ボックス」からその鍵や他のアイテム、新しい武器や食べ物などを得ることが出来ます。ただし、迷宮内には罠が仕掛けられていることもありますので十分に気を付けて進んでください。罠にかかって死亡なんて盛り下がりますから。あ、ちなみに、罠を利用して敵を倒した場合はその人物にポイントが加算されます」
放送は続く。
「迷宮内にはアイテムショップのほかに休憩所が設けられています。そこではトイレ、飲み水、食事を得て、中のベッドで最大九時間休むことが出来、端末の充電も可能ですが、一つの休憩所には基本一人しか入れません。鍵が掛かるため、他のプレイヤーが入る心配はしなくても良いでしょう。また、制限時間の三十分前には知らせますが、それでも休憩室から出ない場合はペナルティーとしてその部屋の酸素を全て抜かせていただきます。休憩所の外で敵が出るのを待っていたり、物理的に閉じ込めていたりする場合は閉じ込めているほうを射殺します」
この発言で、「敵」とは一体誰のことを指すのかが分かった。自分以外の十二人のプレイヤーである。彼らを殺さなくては賞金をもらうことはできないという寸法なのだ。
「要するに、僕たちに殺し合えって言ってるんですかね」
須良の発現に、放送を行っている人間は意外と簡単に肯定した。
「ま、そういうことです。頑張ってください」
周りに目を向けると、それに気がついたらしい他のプレイヤーもお互いの様子をうかがっていた。
「さて、最後にこの携帯端末を皆さんにお渡しします」
その声と共に、黒服、サングラスの男が後ろのドアからやって来て、全員に端末を渡した。その男に誰も飛び掛かるでもなく、そのまま男は出て行ってしまった。
「電源を入れると、〝橋野和樹〟という名前が表示され、「パスワードを設定してください」
という文章が表示された。
「皆さん表示されている通りにパスワードを設定してください。その後に私が解説いたしますので」
俺は、端末の中に1215、と入力した。安易に誕生日だ。
「えー入力し終わったら、「掲示板」と「地図」、「現在の状況」という三項目が表示されているはずです。「掲示板」では他のプレイヤーの様子を一部知ることができます。黄金の鍵を入手したプレイヤーは現在位置が表示されるので留意してください」
黄金の鍵を所有している者は常に皆から狙われるという事か。となると、黄金の鍵は脱出口より遠く配置されている可能性が高い。勿論ゲームを楽しみたい人間の心理からすると、だが。
「地図では迷宮の様子が表示されます。罠やアイテムショップ、休憩所などは通り過ぎたり近くに来たりした時に地図に記録されます。「現在の状況」ではポイントや同盟者の確認や交渉を行うことが出来ます」
「同盟者?」
「はい。三人まで同盟を組むことができ、同盟者を負傷させたり殺したりした場合は賞金が半分になります。誰と誰が同盟したという情報は掲示板に表示されます。同盟を抜ける場合はその人物が同盟を辞めて通達が届き、それから一時間は同盟していた者と交戦することはできないようになっています」
なるほど。同盟者による奇襲を防ぐためか。とはいえ、賞金半額でデスペナルティであるわけでは無いので、少し不安だが。
「休憩所には同盟者同士で一緒に入ることができますが、同盟解消を行った方は休憩所から退去しなければなりません。しなかった場合は射殺いたします。さて、質問は?」
ダレイオスが手を上げる。
「スタート位置はどこからになりますか」
「はい。それはプレイヤーの間隔を均等にしつつ、階層もばらばらに配置いたします。最初は同じフロアに四人がいるわけですね。他には?」
次に質問は無かった。
「ではゲームの開始を宣言させていただきます。皆さん、ご武運を……」
そんな声と共に部屋にガスが満ちて、俺を含めた一三人は皆眠ってしまった。俺は眠る間際に腕時計で時刻を確認する。
時計の針は一三時二四分を指していた。
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