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酔っ払い
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「……トイレ」
「いってら」
「気をつけねー」
徐ろに立ち上がり振り向くと、ガヤガヤと盛り上がる中同じように立ち上がった人がいる。
「っと、すみません」
思わぬ近さに謝ると、相手も同じタイミングで頭を下げた。
それが何となくおかしくて笑ってしまう。
「あはは、すみません。トイレに行こうと思って」
頭を掻きながら話しかけた。どうやら向こうも同じだったのか笑っている。
「そらくーん?」
「な、何してんの?」
振り返れば心配そうに2人が見ていた。
「なんか、タイミングが一緒だったから面白くって。ねぇ?」
相手に同意を求めるが返事はない。ただヘラヘラと笑っている。
「あれ?そらくんもしかしてお酒飲んだ?」
別の配信者と話していた旬莉が立ち上がった茉昊に気づき振り返った。
飲んで悪いのか。お酒に弱くても飲みたい時だってある。
「飲んでもいいだろぉ。ねぇ?」
折角水を差した旬莉に向かって口を尖らせた。そして同じタイミングて立ち上がっていた人に同意を求めながら「あ、先にどうぞ」と促した。
「あははははっ!!!まーたやってるじゃん!それ、ガラスに映ったそらくんだからっ!先どうぞじゃねーんだよ!!」
テーブルを叩きながらお腹を抱えて笑い始めた旬莉に何を言ってるんだ、と冷たい視線を向ける。
「そらくん、ガチ、ちょっとッ」
「やばー、そらくん面白すぎ」
だが柧木澤とJoxも肩を震わせていた。
振り返り、立ったままの人に軽く頭を下げる。
「煩くしてすみません」
「だはははっ!もうやめてッ!」
「そらくん、もう、ホントっ」
「そらくん、早くトイレ行ってきなー」
「トイレ?ほら、行くよ」
旬莉に背中を押され、トイレへと連れて行かれた。
用を足し、トイレから戻ると旬莉はまた元のメンバーと盛り上がっている。
「おかえりー。大丈夫?」
「大丈夫」
確かに少し飲み過ぎたかも知れない。
先ほど立った場所から後ろを見ても大きなガラス窓しかなく、そこに向かって話しかけたり頭を下げたりしていたと思うと恥ずかしくなった。
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