呪いの子と公爵令息

ゆら

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ヴィルフレドの卒業

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 冬季休暇をリオルディ領で過ごし、とうとう卒業の日を迎えた。
 ヴィルフレドが卒業したその日の夜。王宮主催の舞踏会が行われ、卒業した令嬢達が揃ってデビュタントを迎える。
 が、アロイスは卒業生ではないので当然招待されるわけない。しかし何故かヴィルフレドに連れられ会場へと来ていた。

「ヴィルフレド!アロイスも一緒か。ん?今日は変わった眼帯だな」
「ヴィルフレドがこれをつけて欲しいって」

 服装もいつも着ているものより煌びやかなものだが、アロイスの左目を覆うのはいつもの布製の眼帯ではない。パッと見小さな宝石が散りばめられたヘッドドレスのようだが、左目の所だけ覆うように宝石が連なったチェーンが何本も垂れ下がっている。

「よく似合ってる」

 動く度に揺れるそれはいつもの眼帯に比べると心許なく思えるが、目を覆う宝石が光に反射し上手く金の目を隠してくれている。

「イール、すまないがしばらくアロイスを頼めるか。王に挨拶に行ってくる」

 王宮主催ということもあり、王族も出席している今日の舞踏会。デビュタントを迎えた令嬢達の挨拶が落ち着いた頃合いを見てヴィルフレドも王へ挨拶に向かった。
 初めての舞踏会。勿論アロイスは付き添いで来てるため誰かと踊る予定などないが、慣れない雰囲気にどことなく落ち着かない。

「ヴィルフレドならすぐ戻ってくるよ。アロイスは卒業したら何するの?」
「まだ自分に何ができるかわかんなくて…」
「なら魔術師団に入ったら?アロイスならなれるよ」

 魔力鑑定の時にもそんな話が出たが、本当になれるのだろうか。魔術師団は皆優秀な成績や戦績を残してると聞く。

「魔術師団……なれますかね」
「なれるなれる。だって今学年一の魔術使いじゃん。卒業前には王宮の方から声掛けてくるよ」
「何の話だ?」

 イールの軽い返事に苦笑を浮かべていると、王への挨拶が済んだのか、ヴィルフレドが戻ってきた。

「魔術師団に入ったらって話」
「アロイスがか?」

 ヴィルフレドの眉間に皺が寄る。王宮に所属することになるし、あまり気が進まない話なのかもしれない。

「やっぱり僕じゃ無理だよね」
「いや無理じゃない。ただ第一と第三ならいいが、第二魔術師団所属となると魔物討伐が仕事になる。正直、アロイスに危険な所には行って欲しくない」

 漠然と魔術師団に、と思っていたが、そんなに分かれていたのかとアロイスは目を丸くした。しかも魔物討伐。今まで魔物に出会ったことが無いアロイスにとっては考えたこともなかった。
 とてもじゃないが第二魔術師団で戦力になれるか怪しいところだ。

「魔物…僕には無理かも」
「第一か第三なら大丈夫でしょ。第一は王族警護がメインだし、第三なら研究できるよ」

 研究ということは今まで通り色んな魔法を使ったり、知らない魔法を学んだり、或いは生み出したりしてもいいということだろうか。

「研究……いいなぁ」
「なら第三魔術師団に入るといい」

 ヴィルフレドの勧めもありアロイスの目標が漸く明確になった。

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