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横暴な勇者
しおりを挟む「精霊王の元まで辿り着く道をお教えします。まず、この道を…」
ゲーム内でのセリフをツラツラと述べ、精霊王に会うために必要なレッドベリーとシロクサの夜露を持っているか訊ねる。
「そんなのが必要なのか……ショーマ知ってたか?」
「あぁ?そういやそんなのもあったかも?てか、その薬師が持ってんじゃねぇの?」
「ねぇショーマ様ぁ、リリス疲れちゃったぁ」
話に飽きたのか最初から聞く気がなかったのか、白魔道士風の女性がショーマの腕に自身のそれを絡めた。慣れた動作に普段からこうなのだろうと想像に易い。
「そうだよなぁ。リリスは聖女なんだから、冒険なんて不慣れだもんな。おい、お前!話なんてとっとと終わらせて家に入れろ!リリスが可哀想だろ!」
家に入れろと言われても、狭い家に5人も入ればパンパンだ。
「いやぁ、狭い家ですし……それより先を急がれた方がいいんじゃないんですか?魔王討伐なんて勇者様にしか出来ないことですし」
ヨイショするだけで出てってくれるなら何度でもしてやる。
「まぁ、俺しか倒せないからわざわざ召喚なんかしたんだろうからな」
リリスの腰に手を回しながらふふん、と鼻を鳴らしたショーマに内心ヨシッと拳を握るが、次の瞬間ガクッと肩を落とすことになった。
「今日はここに泊まってやる。レッドベリーだっけ?明日までに揃えておけよ」
それはお前のタスクだろ、と心の中で悪態をつく。ゲーム内では素材集めした上で薬師の元を訪ねなくてはいけないのだ。それなのに他人頼りな言動に勇者がこれでいいのか、と呆れるしかない。
理不尽で傲慢な言動に仲間は何も思わないのかと視線を向ければ、ライアンは苦い顔をしている。その申し訳なさそうな顔を見て今までも散々振り回れてきたのだろうと察した。
「はぁ疲れた。おい薬師、メシ」
まるで使用人にでも言うような言い方だ。しかもズカズカと家に入ったと思えば家主に断りもなく寝室へ向かい、ベッドに寝そべりながら。
その隣に当然のようにリリスが添い寝を始め、まさかコイツら…と慌ててベッドから降りるよう促す。
「ちょ、ちょっと!狭いので2人で寝るのは」
「えー、他にないんだから仕方ないじゃない。あ、もしかして私がショーマさんとナニかするんじゃって思ってますぅ?薬師さんやらしいー」
「ちょっと横になってるだけだろ。早くメシ作ってこいよ」
なんで自分が、と思いながらジロッとショーマを見るが、「なんだ?」と気にもかけてない。
呆れてベッドを汚されるようなことだけはないようにと願いながら食事を急いで作った。
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