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*番の証
しおりを挟む卒業パーティを終えて数日。
アイル領で結婚の話を詰めつつしばらく領地で過ごす。
家族とゆっくり過ごしながら、荷物の整理をしていればあっという間にローレンツか迎えに来る日となった。
「次に会うのは結婚式の日だな」
「ええ、お待ちしてます」
「父上、母上、今までお世話になりました」
「元気でね。いつでも顔を見せに来ていいからね」
「はい!」
僅かな心細さとローレンツと結ばれる幸福感を感じながら、ノヴァーリス領での婚姻式のため故郷の領地を発った。
馬車に乗って2日目。
ノヴァーリス領へと入り、日が暮れる頃にはノヴァーリス邸へと到着する予定だ。
浮き足立つ気持ちと裏腹に、朝から体が何となく重たい。
「ユーリ、もしかしてそろそろヒートか?」
ローレンツの言葉にハッとする。
医師から初めは安定しないと言われていたため周期を把握している訳では無いが、前回のことを思い出す。
「えっと、この前から……まだ定期的とは言えないからわかんないけど……匂う?」
「わずかだがな」
ローレンツが気づく程にはフェロモンが出始めているようだ。言われてみればローレンツの匂いを濃く感じる。
「そっかぁ……着くまでは何とか持って欲しいな」
そんな期待に沿ってくれたのか、ノヴァーリス邸に着くまではそれ以上の症状が出ることはなかった。
しかしノヴァーリス邸──特に準備された夫夫のための部屋は当然のようにローレンツの香りが溢れている。
そんな部屋で一晩も過ごせばユリウスの体が反応するのは当然だった。
翌日、起きたのが先か熱に目を覚まされたのかわからないくらいに本格的なヒートを迎えた。
ベッドから出ようにも体が疼いてたまらない。
隣で寝ていたローレンツが気づかないはずもない。
「ユーリがヒートだ。あとの対応頼む」
使用人にそれだけ伝えると、ローレンツはベッドへと戻ってきた。
「ユーリ……ユーリ……前よりもっと香りが甘い。俺を誘っているようだ」
興奮気味に言葉をこぼすローレンツの目には欲が滾っている。
「ロー、早く……触って」
誘うようにローレンツを抱きしめる。たったそれだけでぶわりとローレンツの匂いが増した。
「ああ」
小さく呟いてからはあっという間だった。
この家で抱かれるのは2回目だ。初めてではないのに、理性が残っている今は羞恥心が僅かに勝ってしまう。
ベッドの上で体を横たえ、顕になった場所を折った膝で隠した。
互いに一糸纏わぬ姿。
「隠すな」
「ん、ぁ…」
全身を触れるか触れないかの指先で撫でられただけで、悦ぶようにユリウスは声を上げた。
胸の突起を捏ね、尖り始めるとその先端を摘まれる。背を反らして快感を受け入れるととろりと後孔から蜜が溢れた。
「ユーリ……俺のユーリ…」
名前を呼びながら口を塞ぎ、数回触れた唇を割って舌が侵入してくる。
その間も平らな胸を揉みしだくように刺激し、掠める掌が突起を捏ねた。それだけで腰が跳ねる。
「ッあ、」
ユリウスのモノは早々に立ち上がり、雫を垂らして揺れている。
そこにローレンツの硬いモノが触れた。
その熱さにはぁっ…と息を漏らした。
同じように先端は先走りで濡れ、腰を揺らしてそれをユリウスのモノへと塗りつけていく。
ぬるい刺激ながらも益々硬度を増し、時折ピクッと揺れるそれはユリウスのモノと比べても長大でオスの様相を呈している。
2人分の先走りが陰嚢を伝い落ちた。それをジッと見つめるだけで後孔がきゅっと窄まったのがわかる。
垂れた液を辿るようにローレンツの指が撫で、行き着いた窄まりに指が触れた。
撫でる度にくちゅくちゅとローレンツの指を濡らしていく。それが2人の先走りなのかユリウスから溢れた愛液なのかわからない。しかしぬめりを帯びた指は労りを見せるようにその液を絡ませ窄まりへと指を潜らせた。
「ん……」
小さな声を漏らしながらローレンツの背に腕を回す。咥内を縦横無尽に翻弄されて塞がれた唇の感触に溺れている間に2本3本と指を増やされる。
はく、はく、と合間合間に息を吸う度にローレンツの匂いに脳内が支配され、ユリウスの体が蕩け始めた。
頃合と踏んだのか我慢できなくなったのか、馴染んだ指が抜かれ物寂しさにヒクヒクと後孔が蠢く。
そこに熱い怒張が触れた。先端がくちゅりと音を立ち、ローレンツのモノに吸い付くような動きを見せる。
その刺激にローレンツが小さく息を漏らした。
「ぅ……ッ入れるぞ」
ローレンツから濃くなった香りが溢れる。
ぐちゅっと先端が埋まる感触に抱き締める腕に力が入った。
ローレンツの匂いに包まれ、後孔からどろりと蜜が溢れる。
「あ、あぁ…ッ」
「ユーリ…」
獰猛さを隠さない目と甘い声で脳がくらりと揺れた。
はっはっ、と犬のように荒い息を吐きながら、舌を絡め、流れ込んできた唾液を飲み干す。
ゆっくりと侵入してくる熱が内襞にその形を伝えてくる。以前はよく分からないままその熱にうかされていたが今は違う。
微かな理性が触れる怒張の形一つ一つをはっきりと認識し、与えられる感触を快感として受け入れていた。
奥まで入り込むと、喜ぶように内壁が屹立を食んだ。
「くっ」
ローレンツの口から小さな呻きが漏れる。同時に中のものが膨張するのがわかった。
ただでさえ広がりきっていた窄まりの皮膚が引き攣る。
繋がった局部をそっと撫で、労わるようにゆっくりと抽挿が始まった。
「んんッ、は、ぁ…あ」
「ユーリ、大丈夫か?」
ローレンツの声にただ頷くことしか出来ない。
理性が残っているのかどうかすらもう分からない。繋がった熱に幸福を感じ、与えられる快感に腰が勝手に揺れていた。
「気持ちいいな、ユーリ」
「あ、あ、ッロー…っふ、んんッ」
中から溢れる愛液によってぬめりを帯た熱は徐々に滑らかに中を抉り始める。
嬌声が止まらなくなる頃には出し入れする速度も早くなり、ユリウスは腰をくねらせた。掠めるように奥を突かれるとビクッと背中がしなる。
「ユーリ……はぁ、はぁ……かわいい、ユーリ」
どろりと欲にとけた蜂蜜のような瞳。僅かに開いた口からは腰を前後する度に荒い息が漏れている。
その頃には思考がどろどろに溶け、ユリウスは与えられる快感に覆い被された隙間の中で体をくねらせていた。
「ぁ、やぁ……っダメ、イくッ」
「く、ぅ………ッ」
大きく弓なりに反る体をローレンツが押さえつけ、低い呻きと共に奥を貫いた。今まで開かれたことのない隘路にローレンツのモノが入り込んだ。反射的に中にある怒張に内襞がきつく絡む。
途端、目の前が真っ白になっていく感覚。初めての感覚に目を白黒させている間にユリウスの小ぶりなモノから白濁が飛び出した。
同時に中に熱い熱が広がっていくのを感じ、ローレンツも達したことを感じたのも束の間。ぐるりと体がひっくり返される。
「悪いッ」
「え?ああぁッ!」
拍子に抜け出でしまった屹立が再び間を開けずに挿入され、ユリウスは過ぎた快感に嬌声を上げた。
果てたはずのローレンツのものは萎える様子もなく、またしても開けと言わんばかりに奥を穿つ。
覆いかぶさったローレンツの体に閉じ込められ、逃げ場なく奥を突かれれば、一生誰かに使うことの無いユリウスモノがシーツの間で揉まれながら再び勃起していた。
前で得られる快感など、右手かローレンツに与えられるものしか知らない。
さっきはそれすら必要なく、体の最奥を擦られる快感だけでイッてしまった。前世でもこんな経験は無い。ただただ翻弄されるまま、ユリウスはシーツに縋った。
それが気に食わなかったのかローレンツの手がユリウスの手に重なる。
「ユーリ……ッ、ユーリ」
「ろ、ぉ」
耳元に落ちるローレンツの荒い息に鼓膜が蕩けるような感覚だ。
小さく名前を呼べばローレンツの腰の動きが速さを増していく。
もっと奥に。
そう言わんばかりに腰を打ち付けられ、パンッパンッと肌がぶつかる音が部屋に響いた。繋がった場所からはぐぢゅっぬぼっと淫靡な音が立て続けに漏れる。
まるで交尾のようだ。
アルファのものだと知らしめるような激しい交尾。このアルファの──ローレンツのものだと主張する行為にユリウスの頭は溶けていった。
耳を食み、舌が這う。くちゅ、と濡れた音が直接鼓膜を刺激し、背筋がゾクッと震えた。
ギュッと孔が窄まりローレンツがはぁ…と息を漏らす。
「んあぁ、あっあっ、ふぅ、んんッ」
それにすら感じユリウスは喘いだ。
何度も舌先が耳穴に挿入され、犯す。逃げようと顔を傾けた顔は反対側から押さえられ体を震わすことしか出来ない。
震える度に後孔が中のモノを締め付ける。それを悦ぶようにローレンツの腰の動きが早くなった。
イきそうなのだ。
さっき突き破られた奥へ入ろうとする動きにユリウスの体は受け入れるように中を弛緩させていく。
「ユーリ……噛むぞッ」
「ぅん……ッ、はぁ……あッ!?」
宣言されると同時に屹立が奥へと捩じ込まれ、項に歯が当たる感触がした。グッと力が入りユリウスの白い皮膚にローレンツの歯がめり込んでいく。
瞬間、全身に今まで感じたことの無い電流のようなものが走った。
「ぁ……あ……ぁ、」
快感ではない。
全身がローレンツに染まっていくような感覚に不思議な多幸感が押し寄せてくる。緊張した体が弛緩し、ビクッ、ビクッと小さく痙攣するが止められない。
体の奥では再びローレンツが達したのだろう。熱いものが広がっていく感覚に内襞が震えて悦ぶ。まさにアルファと言える程大量に注がれる精液が隘路の奥まで侵入していく。
それを塗りつけるように奥を捏ねられ、いつの間にか果てていたユリウスのものからビュクッと残滓が漏れた。
荒い息を吐きながら、ローレンツの指がユリウスのそれに絡む。
「愛してる」
ローレンツの言葉を惚けた頭で理解しながらユリウスも掠れた声で答えた。
「僕も……愛してる」
囁く程の声量しか出なかったがローレンツにはしっかり聞こえたようで、獰猛な目はそのままに、優しく口付けられる。
項には欲してやまなかった番の証がくっきりと刻まれていた。
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