転生した世界で深愛に触れる

ゆら

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誰が為の番

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 学園内では度々ランスと共に過ごすカロリーナの姿を見掛ける。

「ほら、またランス様と一緒にいるわよ」
「本当…前は誰彼構わずだったのに、結局玉の輿狙いなんでしょ」

 入学して直ぐから噂には上がっていたが、最近またしてもランスとの話題で持ちきりだ。嘲笑や批判的な内容も多いが、カロリーナの耳には入っていないのだろうか。そんな心配が過ぎる。

「カロリーナ嬢はランスに落ち着いたようだな」

 ローレンツがどこか安堵したような、不快そうな複雑な表情を浮かべた。
 それを見てユリウスは眉を下げる。後悔してないだろうか。

「……ローは、カロリーナと番になりたいのかと思った」
「そんなわけないだろう」

 勘弁してくれ、と苦い顔を見せている。
 そして深い溜息の後、言葉を続けた。

「ユリウスに近づいて欲しくなかっただけだ」

 何気なく言った言葉なのはわかっている。父から頼まれたとダニエルに言っていたのだ。
 そうだとわかっていても、そんなローレンツの言葉に一喜してしまう。
 こんな単純な性格ではいけないと理解していても、つい気持ちがふわふわと浮つく。
 今はこの距離感で困らなくても、いつかはローレンツも番を見つける日が来る。そうなったらなんの遺恨もなく離れないといけないのだ。

「またそんなこと言って……番にしたい人が見つかって勘違いされても知らないよ」
「ユーリが気にすることはない」

 その微笑みに何も言えなくなる。
 もしかするとローレンツには婚約まではしてなくても、既にそういう相手がいるのかも知れない。
 辺境伯爵が決めたのか、それより高位の者が決めたのか……あるいは、ローレンツが求めたのかはわからないが、そういう人物がいるというのならば、学園に入学してから積極的に番を探していないことも納得できてしまう。いや、それしかないような気がする。
 ユリウスの家である伯爵家は両親ともにユリウスの気持ちを優先してくれるが、貴族としては稀な方だ。恋愛結婚がない訳では無いが、政略結婚の方がよく聞く話ではある。
 辺境伯爵とも幼少期から仲良くさせてもらっているが、それほど貴族然とした厳しさを見たことはない。剣術の訓練ともなれば別だが。
 出来れば辺境伯爵も自身の親と同じ考えであって欲しいと願う。ローレンツにも心から好きなった人と結ばれて欲しいのだ。
 驕った考えかもしれないが、そうすれば少しはこの気持ちも報われるかも知れない。
 誰の為でもなく、ローレンツの幸せの為に。
 大きくなるこの気持ちを必死に抑えながら、ユリウスは切に願った。

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