古兵エルフの奴隷

うろうろ

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序章 奴隷の半獣人

05隠蔽された半獣人の真実

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 一年振りに会った滑り台はまた大きくなっていたので、たくさん可愛がってやったら臍を曲げて懐かなくなってしまい、少々面倒になったのでまた庭に放してやった。

「フシャー!」

 尻尾の毛を逆立てながらこちらに威嚇すると、一目散に目の前の森へ駆け出して消えて行く。

 身体が大きくなってくると、邸内ではストレスが溜まって我慢出来ない様子だったので、庭で放し飼いにすることが多くなった。
 小さい時は身体を擽るとゴロゴロ喉を鳴らして甘える時もあって可愛かったが、猟犬の訓練を続けるうちに気性が荒くなり、しょっちゅう唸り声を上げるばかりになったので、喉鳴りをさせたくてグルーミングを始めた。

 当初はうまく行ってたが、私もだんだん欲が出て来て、尻に挿れるとまた唸り声しか出さなくなる。その内私の陽物にも慣れるかと思ったのだが、さすがに一年放置したのも良く無かったのかもしれない。

「……先祖返りのくせに。まるで本物の獣のような振る舞いをして……いや、だからなのか?」

 庭の森を歩きながら、とっくに奥に走り去って行った飼い猫を追いながら独り言を言ってしまう。

 この世は妙なもので、きちんとした情報や知識が実は作為的に隠蔽されてる真実がたくさんある。

 半獣人に関わる事など特にそうだ。

 世の中に知られる「真の純種獣人」は、獣の頭と毛皮のような体毛をもつ二足歩行の獣型の獣人を示すが、実は違う。
 獣型獣人は、リザードマンなどの亜獣化人と、純種獣人の間より生まれた、混血種の亜獣人である。

 古来の真の純種獣人は、人間の姿に獣耳や尻尾を生やす者たちを示していた。謂わゆる奴隷階級の半獣人達の姿が、実は真の純種獣人に近かった。

 人間と四つ足獣のハーフとして蔑まれ広く認知されてる半獣人が、己らの祖先に近い。獣型獣人の祖先の歴史について、研究が進み明らかになっていくと、上のお偉方はそれを不都合な事実として片付け、徹底的に真実を改竄した。

 過去度重なる大戦や紛争の最中に紛れて真実を書き記した書物や文献、さらには遺跡を裏で手を回して意図的に破壊し、燃やして、抹消していったのだ。

 そして現在生きる亜獣人達はその事実を知らず、自分らの祖先である姿によく似た者達を差別して、奴隷として所有して暮らしている。

 こうした真実の隠蔽と歴史改竄は、獣人達だけではない。エルフも同じだ。

 大昔に人間が本物の獣と交わって生まれたとされる半獣人は、実はエルフと亜獣人の混血種である。

 この事実を知ってる者は、エルフでも特権階級のごく一部の者のみ。
 恥ずべき事実として隠蔽したがったエルフの上のお偉方は、半獣人が集められた奴隷市場や幼児奴隷の保育園を見つける度に、秘密裏に処分の命令を下す。

 大多数のエルフは純血や血統というものが大好物だ。そして特に混血を嫌う。
 事実を知らずとも、世界的に認知されてる半獣人の出自から彼等は穢れた存在で、程度の差はあれど奴隷として扱うことに皆が疑わない。半獣人自身達でさえも。

 私も長い間、真実を知らずに生きていたが、ある冒険者と知り合った事がきっかけで知る事になった。
 とは言え、別にそれで私の中の半獣人に対する意識が直ぐに変わるでもなければ別に変えようとも思わず。粛々と上の命令を聞いて多くの半獣人達を秘密裏に処分してきた。

 エルフは個人主義ではなく全体主義として教育される。私も例に漏れず、上の命令に付き従うのみ。
 だからこの滑り台を拾ってからも特に変化はない。国外の外回りの任期中も何度も半獣人を処分をしたが、滑り台のような興味をそそられる出会いはなかった。多分、今後も現れることは滅多にないだろうが。



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